ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
今回のテーマは日米カルチャー討論会・番外編「日本のZ世代が質問:ネット vs 海外体験 国境を越えてより良い社会を作るために役立つのはどっち?」。日本人の高校生と、アメリカ人のZ世代が、“より良い社会の築き方”についてディスカッション。

※写真はイメージです
◆デジタル世代の可能性とは?
冒頭で日本人高校生のケント君は「Z世代は他世代よりもSNSでつながりやすい環境にあるが、日本では政治や宗教の話がタブー視される雰囲気がある。もっと海外の人とこうした話題を普通に語ることができる機会があればいい」と問題提起します。これに対してアメリカ在住のノエは「日本には今の『問題』について普段から話す文化があまりない」と同調します。
一方、メアリーはデジタル世代の可能性を強調しました。TikTok禁止騒動の際、アメリカの若者が中国系アプリ「rednote」に大挙移動し、米中の若者が直接つながり始めた事例を挙げて、「SNSのおかげで国境がどんどん曖昧になっている」とポジティブに捉えます。また、「ラブライブ!」の音源やインド映画の楽曲がメイク動画と共にバズるなど、世界のZ世代がネットを通じてごく自然と文化をシェアしている現象にも触れました。
しかし、高校時代からアメリカに留学・永住している日本人のヒカルは「ネット上の関わりだけでは不十分」との立場を取ります。「日本から出てしまうのが一番手っ取り早い。日本にはすごく分厚い壁がある」と日本社会の閉鎖性に言及します。ニューヨーク在住のミクアも「日本には多様性が少ないから、外に出てみないと他文化を体験できない」としつつ、「アメリカ人ももっと海外に行くべき」とアメリカ社会の内向性も指摘しました。
デジタルネイティブ世代が直面する国際交流の可能性と限界、そして各国の文化的価値観の違いを浮き彫りにし、より良い社会構築に向けた多角的な視点の重要性を示したと言えます。今回のメンバーの発言に対して、SNS上ではなかなかに手厳しい声があがりました。
◆個人体験による社会判断への懸念
「こういった『個人的体験だけで社会を知った気になっているイタイ若者』の記事は、昔から繰り返し取り上げられますが、内容は変わらないですね。閉じていることや多様性が少ないこと=道徳的に悪と設定しているようですが、その思想が本当に正しいのかあらためて学ぶべきです」
◆アメリカ側の理解力不足?
「アメリカのZ世代が勝手に自分たちの低い理解力を他人のせいにしているだけ。トランプさんの『何故日本にはフォードの大型車が売れないのか』って言っているのと同じ。彼らの理解力が問題なだけです」
◆歴史・文化の違いへの配慮
「各国には歴史があります。その間に醸成された国民の感情や文化がどこまで理解できるのか? そこも大きな課題でしょう。歴史の浅いアメリカと長い歴史のある日本を単純には比較できないとも思います」
◆滑稽な矛盾への指摘
「日本の文化、社会、慣習を批判しながら、結局は、自分たち自身がエスノセントリック(自分化中心主義)な考えに陥っている矛盾に気付いていないようですね。自分もアメリカで10年以上暮らしましたが、アメリカもかなり『閉鎖的』なところがあるだけに、この記事が滑稽にも感じてしまいました」
◆閉鎖性ゆえの日本文化の価値
「閉鎖性があったからこそ、漫画などのサブカルチャーが発展した。日本人も日本の良さを理解してから、海外からも学ぶという手順を踏むべきでは? 治安が良いこと、水道の水がそのまま飲めること、国民皆保険制度など、日本には良いインフラが多くある」
◆批判への過敏反応への懸念
「海外と比べて日本のこういう部分はちょっと良くないかもね……みたいな意見に対してすごいヒステリックに反応する人が多いと感じる。日本は海外よりも絶対的に優れていて、どんな批判も受け入れないって姿勢の人をネットではよく見かける」
<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
番組公式X:
@NYFL897