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“日本のマチュピチュ”が徳島県に!? 旅先としても魅力的な「重要伝統的建造物群保存地区」の穴場スポットを紹介
2025-07-14 (月) 20:00
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
7月13日(日)の放送テーマは、「暮らしに息づく“まちなみ遺産”伝建制度50年」。文化庁文化財第二課 文化財調査官の村上玲奈さんから、伝建制度と日本全国の歴史的な集落・町並みについて伺いました。
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
7月13日(日)の放送テーマは、「暮らしに息づく“まちなみ遺産”伝建制度50年」。文化庁文化財第二課 文化財調査官の村上玲奈さんから、伝建制度と日本全国の歴史的な集落・町並みについて伺いました。

◆伝建制度によって守られた地区が世界遺産に
1995年、岐阜県の白川郷は富山県の五箇山とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコ世界遺産に登録されました。この登録が実現したのは、伝建制度が一役買っていると言われています。
伝建制度(正式名称:伝統的建造物群保存地区制度)とは、歴史的な建造物が多く残る地区をまるごと「集落・町並み」として守る制度です。1975年に創設され、白川郷は翌年の1976年に白川村荻町として「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。白川郷は伝建制度によって守られてきたからこそ、今も昔ながらの町並みが残され、“かけがえのない集落”として世界遺産に登録されたと言えます。
この制度について、村上さんは「人々の暮らしや文化が今でも感じられる歴史的な集落や町並みを保存し活用していく制度です。伝統的な建物を単体でとらえるのではなく、同じような特徴を持った建物が集まっていることを評価し、その周囲の環境も含めて価値があるとして、大切にするところがポイントです」と解説します。なお現在、全国43道府県106市町村129地区が伝建制度による重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
◆人々の暮らしと文化を守る伝建制度
伝建制度では、伝統的な建造物の集まりで価値の高い「伝統的建造物群」と、それらを取り囲む環境を一体的に面として守るために、市町村が「伝統的建造物群保存地区」というエリアを定め、その地域の保存活用に向けた計画を策定し、保存・活用を進めていきます。国は市町村からの申し出に基づき、日本にとって価値が特に高いものを「重要伝統的建造物群保存地区」に選定して、地元の取り組みを支援します。
この制度がなぜ生まれたのかというと、戦後の日本は都市部に人口が集中し、道路などの整備が急速に進みましたが、それに伴って昔からあった建物が次々と姿を消し、昔ながらの風景が少なくなってしまいました。「この状況に危機感を抱いた市民の方々が、懐かしいと感じる風景を大切にしながら、まちづくりを進めようと市民運動を興しました。その声に応えて市町村が独自に条例を制定し、歴史的な集落や町並みを保護する取り組みが生まれたのです」と村上さんは説明します。
また、伝建制度によって歴史的な集落や町並みが守られるだけでなく、人々の暮らしや食文化、伝統的な建築技術、お祭りなど、地域に根ざした文化も守ることにもつながります。
伝建制度は“地区の保存と活用”を目的としているため、昔の風景をそのまま残すわけではありません。「例えば、伝統的建造物は定期的に修理し、外観を維持するだけでなく、安全に暮らし続けるために必要な耐震補強などもおこないます。また、石垣や樹木など、地区の特徴を示すものも必要があれば整備します」と村上さん。
また、伝統的建造物以外の既存の建造物や、地区内に新築される建造物の工事の際には、周りと調和するように外観を整備。これを修景(しゅうけい)と言います。このように、人々が伝統を守りつつ、そこで快適に暮らし続けられるように、地元の市町村では計画的な修理や整備がおこなわれています。
◆オススメの“まちなみ遺産”を紹介!
白川郷や京都の保存地区のように、旅先としても魅力的な場所は数多くあります。そこで、“まちなみ遺産”ともいえる全国129地区の重要伝統的建造物群保存地区のなかから穴場スポットを紹介します。
【オススメ“まちなみ遺産”スポット①高岡市金屋町(富山県)】
加賀藩の藩主である前田利長が高岡城築城にあたり、城下町が栄えるように鋳物師(※)を招いたことで形成された町並みで、今でも銅器をはじめとする鋳物(いもの)の一大産地として知られています。
※鋳物師(いもじ)…銅や鉄、錫などの金属を溶かして型に流し込み、鍋や釜、銅像、お寺の鐘などを造る職人
この地区について、村上さんは「400年以上続く高岡銅器を身近に感じられる宿泊施設や鋳物資料館、富山の魚を味わえる飲食店、ブルワリー(醸造所)などもあり、町並みと合わせて食や伝統工芸に触れることができます。また、職人体験ができる工房もあって、子どもから大人まで楽しめます」とコメントします。
【オススメ“まちなみ遺産”スポット②三好市東祖谷山村落合(徳島県)】
落合地区は山の急斜面上に沿って広がる集落で、“日本のマチュピチュ”とも呼ばれています。江戸時代に建てられた民家などの伝統的建造物が石垣や里道など周辺環境と見事に調和し、美しい景観を形成しています。
また、保存地区内の空き家は古民家の宿泊施設として整備。現在は一棟貸しの茅葺(かやぶき)屋根の宿泊施設が8棟あり、2023年は約2,300人が宿泊されました。
この地区について、村上さんは「日常の喧騒から離れ、豊かな自然を感じて自分と向き合う時間を楽しむことができます。街灯も最小限に抑えているので、満天の星空も楽しめます。さらに、各施設にはキッチンがあり、自分自身で料理することもできますが、晩御飯を地元のお母さんにお願いして作ってもらうこともできますし、地元の方と郷土料理の調理体験もできます」と紹介します。
今回、取り上げた場所以外にも、文化庁のホームページでは、全国各地の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)が記載されています。
最後に村上さんは、「今年で伝建制度は50周年を迎え、各地でスタンプラリーなど、さまざまなイベントを開催しています。ぜひ、実際に現地を訪れて、歴史的集落や町並みを見て、地区の生活文化を肌で感じてください。そして、“未来に伝統的な町並みを伝えていくこと”について考えていただければと思います」と話していました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「伝建制度」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず、村上は “夏休みの旅先を伝建地区から選んでみてね!”とスケッチブックに記入します。続けて、杉浦は“まちなみ遺産 伝建制度50年”とポイントを挙げ、「伝建制度やまちなみ遺産とも言える保存地区について知りたい方は、文化庁の伝建制度のページをご覧ください!」と呼びかけました。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
7月13日(日)の放送テーマは、「暮らしに息づく“まちなみ遺産”伝建制度50年」。文化庁文化財第二課 文化財調査官の村上玲奈さんから、伝建制度と日本全国の歴史的な集落・町並みについて伺いました。

(左から)杉浦太陽、村上玲奈さん、村上佳菜子
◆伝建制度によって守られた地区が世界遺産に
1995年、岐阜県の白川郷は富山県の五箇山とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコ世界遺産に登録されました。この登録が実現したのは、伝建制度が一役買っていると言われています。
伝建制度(正式名称:伝統的建造物群保存地区制度)とは、歴史的な建造物が多く残る地区をまるごと「集落・町並み」として守る制度です。1975年に創設され、白川郷は翌年の1976年に白川村荻町として「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。白川郷は伝建制度によって守られてきたからこそ、今も昔ながらの町並みが残され、“かけがえのない集落”として世界遺産に登録されたと言えます。
この制度について、村上さんは「人々の暮らしや文化が今でも感じられる歴史的な集落や町並みを保存し活用していく制度です。伝統的な建物を単体でとらえるのではなく、同じような特徴を持った建物が集まっていることを評価し、その周囲の環境も含めて価値があるとして、大切にするところがポイントです」と解説します。なお現在、全国43道府県106市町村129地区が伝建制度による重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
◆人々の暮らしと文化を守る伝建制度
伝建制度では、伝統的な建造物の集まりで価値の高い「伝統的建造物群」と、それらを取り囲む環境を一体的に面として守るために、市町村が「伝統的建造物群保存地区」というエリアを定め、その地域の保存活用に向けた計画を策定し、保存・活用を進めていきます。国は市町村からの申し出に基づき、日本にとって価値が特に高いものを「重要伝統的建造物群保存地区」に選定して、地元の取り組みを支援します。
この制度がなぜ生まれたのかというと、戦後の日本は都市部に人口が集中し、道路などの整備が急速に進みましたが、それに伴って昔からあった建物が次々と姿を消し、昔ながらの風景が少なくなってしまいました。「この状況に危機感を抱いた市民の方々が、懐かしいと感じる風景を大切にしながら、まちづくりを進めようと市民運動を興しました。その声に応えて市町村が独自に条例を制定し、歴史的な集落や町並みを保護する取り組みが生まれたのです」と村上さんは説明します。
また、伝建制度によって歴史的な集落や町並みが守られるだけでなく、人々の暮らしや食文化、伝統的な建築技術、お祭りなど、地域に根ざした文化も守ることにもつながります。
伝建制度は“地区の保存と活用”を目的としているため、昔の風景をそのまま残すわけではありません。「例えば、伝統的建造物は定期的に修理し、外観を維持するだけでなく、安全に暮らし続けるために必要な耐震補強などもおこないます。また、石垣や樹木など、地区の特徴を示すものも必要があれば整備します」と村上さん。
また、伝統的建造物以外の既存の建造物や、地区内に新築される建造物の工事の際には、周りと調和するように外観を整備。これを修景(しゅうけい)と言います。このように、人々が伝統を守りつつ、そこで快適に暮らし続けられるように、地元の市町村では計画的な修理や整備がおこなわれています。
◆オススメの“まちなみ遺産”を紹介!
白川郷や京都の保存地区のように、旅先としても魅力的な場所は数多くあります。そこで、“まちなみ遺産”ともいえる全国129地区の重要伝統的建造物群保存地区のなかから穴場スポットを紹介します。
【オススメ“まちなみ遺産”スポット①高岡市金屋町(富山県)】
加賀藩の藩主である前田利長が高岡城築城にあたり、城下町が栄えるように鋳物師(※)を招いたことで形成された町並みで、今でも銅器をはじめとする鋳物(いもの)の一大産地として知られています。
※鋳物師(いもじ)…銅や鉄、錫などの金属を溶かして型に流し込み、鍋や釜、銅像、お寺の鐘などを造る職人
この地区について、村上さんは「400年以上続く高岡銅器を身近に感じられる宿泊施設や鋳物資料館、富山の魚を味わえる飲食店、ブルワリー(醸造所)などもあり、町並みと合わせて食や伝統工芸に触れることができます。また、職人体験ができる工房もあって、子どもから大人まで楽しめます」とコメントします。
【オススメ“まちなみ遺産”スポット②三好市東祖谷山村落合(徳島県)】
落合地区は山の急斜面上に沿って広がる集落で、“日本のマチュピチュ”とも呼ばれています。江戸時代に建てられた民家などの伝統的建造物が石垣や里道など周辺環境と見事に調和し、美しい景観を形成しています。
また、保存地区内の空き家は古民家の宿泊施設として整備。現在は一棟貸しの茅葺(かやぶき)屋根の宿泊施設が8棟あり、2023年は約2,300人が宿泊されました。
この地区について、村上さんは「日常の喧騒から離れ、豊かな自然を感じて自分と向き合う時間を楽しむことができます。街灯も最小限に抑えているので、満天の星空も楽しめます。さらに、各施設にはキッチンがあり、自分自身で料理することもできますが、晩御飯を地元のお母さんにお願いして作ってもらうこともできますし、地元の方と郷土料理の調理体験もできます」と紹介します。
今回、取り上げた場所以外にも、文化庁のホームページでは、全国各地の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)が記載されています。
最後に村上さんは、「今年で伝建制度は50周年を迎え、各地でスタンプラリーなど、さまざまなイベントを開催しています。ぜひ、実際に現地を訪れて、歴史的集落や町並みを見て、地区の生活文化を肌で感じてください。そして、“未来に伝統的な町並みを伝えていくこと”について考えていただければと思います」と話していました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「伝建制度」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず、村上は “夏休みの旅先を伝建地区から選んでみてね!”とスケッチブックに記入します。続けて、杉浦は“まちなみ遺産 伝建制度50年”とポイントを挙げ、「伝建制度やまちなみ遺産とも言える保存地区について知りたい方は、文化庁の伝建制度のページをご覧ください!」と呼びかけました。

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm