笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月27日(土)の放送は、株式会社サンリオエンターテイメント 代表取締役社長の小巻亜矢(こまき・あや)さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)小巻亜矢さん、笹川友里
1959年生まれの小巻さんは1983年に株式会社サンリオに入社し、結婚を機に一度は退社しましたが、出産などを経て45歳のときにサンリオ関連会社で仕事復帰。その後、2013年に東京大学大学院教育学研究科修士課程を修了。2014年にサンリオエンターテイメントの顧問となり、2015年にはサンリオエンターテイメント取締役に就任。2019年6月より現職に就いています。
◆一時は経営難に陥るも…10年間で劇的に変化
小巻さんが代表取締役社長をつとめるサンリオエンターテイメントは、ハローキティやマイメロディなどのオリジナルキャラクターを数多く世に送り出している「サンリオ」のグループ企業として、テーマパーク事業を展開。東京・多摩にある「サンリオピューロランド」と大分県日出町にある「サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド」の2つを運営しています。
小巻さんが2014年にサンリオエンターテイメントの顧問として赴任してから丸10年になりますが、「10年前は、実は“むしろスタッフのほうが多いのではないか”という日があるくらい閑散としていた時期もあって……。しかし、そこからの10年で、スタッフ一人ひとりのアイデアが花開いたり、デジタルやSNS(の普及)、国が“アニメ・キャラクターを日本が誇るカルチャーだ”と振り切ってくれたことも大きく、いろいろな外的要因と内的要因で大きな変化を遂げた面白い事例だと思います」と振り返ります。
◆DX化の取り組みとして印象に残る施策
小巻さんによると、最近の客層は、ファミリーだけでなく、大人の女性グループや男性1人だけで来場する方も増加。さらには「“昔、娘と行って懐かしくて……”というお父さま世代がグループでいらっしゃったり、あとはインバウンドの方々にものすごくたくさん来ていただいている状況です」と話します。そうしたサンリオピューロランド躍進の大きな要因がDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みです。
笹川が、具体的にどんなことに着手したのかを聞いてみると、「最初にインパクトがあったデジタル施策は2015年の夏のプロモーションで、『ちゃんりおメーカー』という自分のアイコンをキャラクターのデザイン風にアレンジできるサービス。これが世の中的に結構インパクトがあったのかなと思っています」と声を大にします。
この「ちゃんりおメーカー」は、当時活躍していた有名アイドルや海外の著名人によって瞬く間に拡散されたそうですが、この体験がターニングポイントの1つだったと言い、「インパクトが大きかったこともそうですが、プロモーションのあり方や拡散のスピード……いろんな要素で目から鱗が落ちる出来事だったなと思っています」と振り返ります。
◆凄まじい反響があった“バーチャルイベント”
サンリオエンターテイメントは近年、新たなチャレンジとしてバーチャルの世界にも進出しています。「具体的には、2021年、2023年、2024年と3回(メタバースイベントを)開催していまして、最初は“音楽フェス”、その後が“コミュニケーションフェス”、そして今年は“バーチャルテーマパーク”をテーマに、年々育ってきているところです」と小巻さん。
特に2021年に初めて開催したバーチャルイベント「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」の反響はかなりのものだったそうで、「ビジネスとして“大成功!”とまでは言えないんですけれども、“新しいエンターテインメント”の姿に誰もがビックリしている状態でした」と胸を張ります。
また、同イベントをおこなって驚いたことが“来場者の客層”だったと言います。「皆さんはアバターで参加するので、性別・国籍の垣根を超えていろいろな方が参加されているのですが、データ上では400万人以上が参加されて、そのうちの8割が海外からでした」と明かし、サンリオエンターテイメントからは積極的に海外への情報発信をおこなっていなかったものの、「そういうところでもインターネットの今までにないつながり方や、拡散されていく流れにビックリしました」と語ります。
現在は1人のインフルエンサーが告知をするだけで瞬時に拡散される時代に「ある意味“恐ろしさ”もあるんですけれども、それでエンタメが広がるのは良いことですし、ましてや私どもが提供しているものは笑顔になるものが多いと自負していますので、『世界中がみんななかよく』という(会社の)企業理念を具現化していくうえで、こんなにいいツールはないと確信しています」と胸を張ります。
◆現在はグローバル事業にも
小巻さんいわく、サンリオは元来“宣伝をしない会社”でありながら、現在128ヵ国以上の国で愛されているキティちゃんの存在はやはり大きく、その影響から社内でも世界への意識が大きく高まり、2020年から代表取締役社長をつとめる辻朋邦(つじ・ともくに)氏は“より多くの人に魅力を届けたい”とグローバル化を推進。企業改革を推し進め、順調に拡大しています。
そんな積極的な海外展開が功を奏し、6月に天皇・皇后両陛下がイギリスを訪問した際、晩餐会でチャールズ国王がキティちゃんに言及する一幕も。「チャールズ国王が公の場で『ハローキティはロンドンで生まれたんですよね?』と言ってくださり、さらには『(生誕)50周年おめでとうございます』と天皇陛下にお伝えいただいて……ものすごく光栄でうれしい出来事でした」と感慨深げに話していました。
次回8月3日(土)の放送も、小巻さんをゲストに迎えてお届けします。小巻さんの仕事術や未来のビジョンについてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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7月27日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年8月4日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里