手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、令和6年能登半島地震の「被災地の今」をお届けしました。
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今回スポットを当てたのは“能登の漁港復旧・復興”について。石川県防災会議震災対策部会委員で能登半島地震の復興・復旧の助言もおこなっている金沢大学・青木賢人(あおき・たつと)准教授に話を伺いました。
石川県には69の漁港があり、そのほとんどが能登半島にありますが、能登半島地震の影響で海底が隆起してしまった港は、今も船を出せない状況が続いています。能登の海では西側を“内海”東側を“外海”と呼んでいますが、地震の影響で隆起してしまったのは、輪島市などがある内海です。
内海は、外海よりも海が穏やかで、魚が安定して獲れる漁場が広がっています。しかし、1月1日(月・祝)に発生した地震で海の生業は止まってしまいました。青木准教授は「輪島港は非常に大きい漁港ですけれども、それ以外に小さな集落に一つひとつみんな港を持っており、船溜まりも含めたら、輪島市だけで約10(の漁港が)あったと思いますが、それらが基本的に全部使えない状態になっています。こういう仕事やっていますので、私もいろいろな地震の現場に行きますが“あれだけ大きな隆起は見たことがなかった”というのが正直なところです」と驚きます。
また、漁業ができない理由について、「海底が持ち上がってしまい水深が足りない状態ですから、何とかして(漁船が行き来できるぐらい)水深を深くしてあげないといけない。そのためには(海底を)掘るか港自体を沖に出して、深いところにもう一度港を作り直すしか選択肢がありません。しかし、港を作り直すのは非常に長い時間がかかってしまいますので、短い時間で早急に船を出せるようにするには、まずは浚渫(しゅんせつ/水底の土砂等を掘りあげる工事)をおこない、それで足りなければ、岩盤を掘り下げる掘削作業をおこなっていくと思います」と語ります。
地震前に水深3~4メートルほどあった輪島港ですが、現在は浅いところで1メートル前後。また、1~2メートル近い隆起が確認されています。そのため、輪島港や他の港は復旧に向けて水深2~2.5メートルまでの浚渫作業を進めています。
また青木准教授は「石川県にとって、魚を獲る、魚を食べるということは、とても重要な暮らしの一部でもあります。そういう意味では、石川県民の暮らしにとっても“魚”というのは、ものすごく大事なものです」と言及。石川県の文化の1つでもある“能登の魚”、能登の漁師の生業再開に向けて今も港では工事が続いています。
<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋