TOKYO FM 開局55周年と桑田佳祐がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのレギュラーラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」の放送30周年を記念して、桑田佳祐発案によるスペシャル・イベント『TOKYO FM 開局55周年×「桑田佳祐のやさしい夜遊び」放送30周年 九段下フォーク・フェスティバル’25』が、10月12日(日)に日本武道館で開催されました。
数多くのファン&リスナーからの熱いラブコールに応え、伝説的な本公演の模様の一部が、特別番組『FM FESTIVAL 2025 桑田佳祐スペシャル企画!! 九段下フォーク・フェスティバル’25』として、11月3日(月・祝)にTOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネットでオンエア! 各地で大きな反響を呼びました。ここでは、大きな感動と興奮に包まれたライブレポートをお届けします。

「九段下フォーク・フェスティバル’25」©西槇太一
◆桑田佳祐ならではの超豪華な共演が実現!
1995年4月の放送開始以来、毎週土曜日23時からTOKYO FMをはじめJFN 38局ネットで放送中の本番組が、今年4月に放送30周年を迎えました。時を同じくして、TOKYO FMも今年4月に開局55周年を迎えたことから、「番組と局が大きな節目を迎えるにあたり、何か特別なイベントをやりませんか?」と、TOKYO FMからの提案に桑田佳祐が賛同。自ら「九段下フォーク・フェスティバル’25」を企画発案し、一夜限りのスペシャル・イベントが日本武道館で開催されました。
“The・秋の文化祭(ミュージック・フェス)”と打ち出されたこのイベントは、ギター1本持ち寄れば気軽に誰でも楽しめる“フォーク・ソング(大衆音楽)”への愛とリスペクトが込められています。
特に注目を集めていたのは、桑田に加えて“他ゲストあり”と書かれていた一文。蓋を開けてみれば、桑田のソロライブ以外に、信じられないようなスペシャル・ゲストが続々と登場! あいみょん、桜井和寿、原由子、吉井和哉、竹内まりや(出演順)……桑田でしか成し得ない奇跡のラインナップによるコラボレーションが実現し、会場は大きな感動と興奮に包まれた一夜となりました。
◆オープニングアクトは“流し”のシンガー、田内洵也!
開演時刻になり、まずは唯一事前に発表されていたオープニングアクトの田内洵也が呼び込まれました。田内は都内近郊のバーを拠点に“流し”として研鑽を重ねてきたシンガーソングライターで、2017年にバーで田内と桑田が出会ったことをきっかけに、自身の楽曲「深川のアッコちゃん」を桑田が“夏 螢介 a.k.a KUWATA KEISUKE”名義でプロデュース・編曲する流れになり、さらには本イベントの前座の大役を任せられたという、数奇な幸運を掴んだ男です。ギター一本で「深川のアッコちゃん」を弾き語りし、会場を惹き込みました。当該曲がCDシングルとして11月19日(水)に発売されることも紹介時に発表されました。
前座も終わり、司会のTOKYO FMパーソナリティ・住吉美紀がナレーションで開演を宣言し、いよいよ桑田佳祐が登場。日本フォークソング史の立役者である吉田拓郎の「今日までそして明日から」を歌唱。続けて披露した「明日へのマーチ」で、アコギを背負って歌う桑田佳祐と共に、長年桑田の活動を支える豪華なミュージシャン陣が極上の音楽を奏で、早くも会場は多幸感に包まれます。しかし、まだこれは序の口だったことは、ここからの流れで全員が知ることに……。
◆あいみょんと「白い色は恋人の色」をデュエット
このイベントが“フォーク”イベントであることから、桑田がお客さんたちに向けて意味ありげに「今日、君はロックを聴かないんですよ」と突然言い出し、演奏が始まると出てきたのはなんと【あいみょん】! 1組目のシークレットゲスト・あいみょんが、自身の代表曲である「君はロックを聴かない」を披露。桑田がギター&コーラスとして後方を固め、その横で堂々と歌い上げる姿は、今の日本の音楽シーンを代表する女性アーティストとしての風格で満ちていました。
「私から出ていただきたいという風に今回オファーしたら、快くお越しいただきました。本当に嬉しいです」と桑田。音楽は父親の影響が大きいと話すあいみょんが、幼少の頃から父親が好きで聞いていたという浜田省吾の「悲しみは雪のように」をカバーし、桑田が大好きでリクエストしたというあいみょん自身の楽曲「偽者」を披露します。そして「おじさんとデュエットしませんか? あいみょんさんはね、古いおじさん世代の曲もよくご存知なんですけど、私からの猛烈なリクエスト曲を一緒に歌わせていだきたいと思います」と、ベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」をデュエットするなど、そもそも舞台で共演するのが初の中、異例の共演に観客は大興奮。

あいみょん×桑田佳祐によるデュエットを披露 ©西槇太一
◆桜井和寿と19年ぶりの共演!
突如上がった会場の熱気をクールダウンするように、サザンオールスターズの「SEA SIDE WOMAN BLUES」を桑田がゆったりと歌い上げると、その余韻を残したまま、次なるシークレットゲストが呼び込まれました。日本のフォークデュオ・バズが1972年に発表した楽曲「ケンとメリー〜愛と風のように〜」のイントロに乗せて、なんとMr.Children【桜井和寿】が登場! 大歓声と共に会場が驚きどよめく中、そのまま桑田とのデュエットになだれ込みます。桑田と桜井の共演は、2006年の“THE 夢人島 Fes.”以来なんと19年ぶり。
「『ケンとメリー〜愛と風のように〜』は、桜井さんが打ち合わせのときに“この曲をやりたいな”って言ってくれてね」とセレクトの経緯を明かします。続いて、桑田率いるバンドの演奏でMr.Childrenの名曲「HANABI」を熱唱し、桜井がサザンで大好きな曲と挙げる「慕情」をデュエット。この二人が揃って期待されるのは、桑田佳祐&Mr.Children名義で1995年にリリースされた「奇跡の地球(ほし)」。未だJ-POPシーンで燦然と輝き続ける名曲が、前置きなく19年ぶりに突然披露されるこの瞬間こそ“奇跡”です。

桜井和寿と桑田佳祐、19年ぶりの共演! ©西槇太一
◆原 由子とボブ・ディランを熱唱
桑田とバンドだけで歌う場面と、シークレットゲストと共に歌う場面が交差していく構成であることが見えてきた中、尊敬する大先輩・加山雄三の「夜空の星」を終え、3組目に登場したシークレットゲストは、桑田の公私の戦友であるサザンオールスターズ【原 由子】。普段はピアノを担当している原ですが、元はと言えば学生時代にエリック・クラプトンに憧れてギターを始め、吉田拓郎を敬愛しアコギを片手に“ジェロニモ”というフォーク・デュオをやっていた程のフォーク女子。この日はアコースティック・ギターを肩に下げ、桑田とともに自身のソロ曲「いちょう並木のセレナーデ」、そして2025年現在もCMで起用されており、長く愛され続ける楽曲「花咲く旅路」を披露。
「原さんはね、フォーク・ギターが僕より本当にうまいんです。カレッジフォークとか、叙情派フォークとかいろんなフォークがあるんだけど、やっとフォークイベントらしくなってきたということで、ボブ・ディランの『風に吹かれて』という曲を、日本語に訳したもので原さんとやってみたいと思います」と、ボブ・ディランの名曲を桑田による日本語詞にしたバージョンで、ふたりで歌い上げます。この曲が発表されてから60年以上が経つ今も変わらず、混沌を極める今の世界に対して普遍的なメッセージを訴えかけました。プロテストソングとしての側面も持ち合わせるフォークの真髄です。

原 由子と桑田佳祐のセッション ©西槇太一
◆吉井和哉のリクエスト曲は「東京」
拍手喝采で原 由子が舞台を後にすると、桑田が美輪明宏の「ヨイトマケの唄」を歌い始めます。自身のライブで度々好んで歌唱する曲ですが、一部民放局では放送禁止楽曲とされていた時期も。労働者を歌うこの曲はまさに大衆歌。会場が感動に包まれ温かいムードになる中、一風変わってロックな演奏がスタート。THE YELLOW MONKEY「太陽が燃えている」です。イントロに乗って登場したのは、【吉井和哉】。まさか桑田率いるミュージシャンの演奏で、この曲が聴ける日が来るとは誰も想像していなかったでしょう。
2024年のサザン最後の夏フェス出演「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」で、桑田と吉井は同日に出演。サザンの「勝手にシンドバッド」にサプライズ登場したのが初共演となり、1年越しの再会を果たしました。「高齢化じゃないけどさ、この年まで音楽をやれるっていうのはありがたいよね。これからもお互いに頑張ろうぜ」とある意味での戦友仲間を労います。
そして、吉井和哉のリクエストで、桑田のソロ曲「東京」を吉井が熱唱。桑田も“大好きな曲”と語る吉井和哉ソロ曲「みらいのうた」を逆リクエスト。日本のトップ・アーティスト同士がリスペクトを持って共演する舞台が実現しました。

昨年に引き続き、吉井和哉と桑田佳祐のコラボ ©西槇太一
◆デビュー同期の竹内まりやは「涙のキッス」を!
その後、昭和の雰囲気を醸すSEの中、再び桜井和寿が登場し、ザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」を桑田と歌唱。さらにそこに吉井和哉を呼び込み3人で北山修・加藤和彦の名曲「あの素晴しい愛をもう一度」を歌い、あいみょんと桑田佳祐で歌う「なごり雪」と、昭和を代表するフォークソングの名曲を令和現在のトップアーティストが歌う時間は、どれもあまりにもエポックな瞬間です。
そして最後の最後に、まさかの超豪華シークレットゲストが登場。耳馴染みのあるイントロに乗せて登場したのは、なんと【竹内まりや】。最後の最後にとびきりのゲストが登場し、会場のボルテージは最高潮に。「元気を出して」を歌唱し、続けて「今日はちょっとザ・ビートルズでもやってみましょう。昔は『If I Fell』とかを一緒にやらせてもらってね。今回はやったことのない曲をやります」と「Two Of Us」をデュエット。
さらにはサザンオールスターズの「涙のキッス」では竹内まりやがボーカルをとります。「今回のTOKYO FMさんの企画で、なんかフォークの学園祭みたいなことをやりたいなと思ったんです。そのときにうちのマネージャーと“まりやちゃん、出てくれないかな”とか言っていたんですよ。“無理だよね”なんて思いながら(竹内さんの)マネージメントにオファーしてみたら“嬉しい”っておっしゃっていただいて。その言葉を糧に、私もスタッフも背中を押されました」と、桑田が感謝と本イベントへの思いを明かす場面も。
最後の曲では、原 由子までも登場。プライベートでも親交のある桑田と原がレコーディングでコーラスとして参加し、2014年に発表された「静かな伝説(レジェンド)」を、楽曲が生まれて以来初めて3人で歌唱し本編は終了。語り尽くせないほどの極上のひと時が流れました。

竹内まりやと桑田佳祐&原 由子による夢のような共演 ©西槇太一
鳴り止まない拍手に応えるように、アンコールが始まると、桑田の呼び込みで、あいみょん、桜井和寿、原 由子、吉井和哉、竹内まりや(出演順)の全ゲストが登場!「軽音楽サークルでは、必ずシングアウトをいっしょにする通例になっています。シングアウト!」と、フォークの原点とも言えるママス&パパスの「California Dreaming (夢のカリフォルニア)」を全員で熱唱し、「今日の日はさようなら」を観客も含めて会場全体で合唱。夢のようなひと時は、あっという間に過ぎ、ゲストの5人が舞台を去ると、イベントの発案者である桑田が自身のソロナンバー「祭りのあと」を披露し、合計29曲、約3時間におよんだ奇跡のイベントの幕を下ろしました。
“フォーク・ソング(大衆音楽)”への愛とリスペクトを込めたイベントとして開催された「九段下フォーク・フェスティバル’25」。その言葉通り、今のシーンで活躍する現役のアーティストたちからの先達への愛、そしてお互いへのリスペクトに溢れた、特別な一夜となりました。
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<番組概要>
番組名:FM FESTIVAL 2025 桑田佳祐スペシャル企画!! 九段下フォーク・フェスティバル’25
放送日時:11月3日(月・祝)16:00~19:00
パーソナリティ:住吉美紀