TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。1月24日(金)の放送テーマは、「冬のスリップ事故対策」。日本自動車ジャーナリスト協会会長で日本自動車連盟 交通安全委員会委員の菰田潔(こもだ・きよし)さんから、路面が凍結しやすい場所と走行時の注意点を伺いました。
※写真はイメージです
◆運転中は“凍った路面”に要注意
1年を通して最も寒いこの時期に車を運転する際、気をつけなければならないことの1つが「路面の凍結」です。積雪がない地域でも、早朝などの時間帯はスリップ事故の危険があります。
菰田さんは、アイスバーンはスケートリンクと同じようなものだと言い、「ツルツルした氷の上では、性能がいいスタッドレスタイヤでも摩擦力は小さくなるため、ブレーキの効きも悪くなります」と説明。
というのも、菰田さんは以前、氷結した沼で車を時速100kmまで走らせた状態で急ブレーキをかける、という実験をおこなったそうで、「思い切り急ブレーキを踏めば、乾いた路面だと40mぐらい進んで止まるのですが、氷結路面では300mぐらいまで止まりませんでした。私もそこまで進むとは思わなかったので驚きました」と話します。ブレーキをかけて停まろうとしても停まれない、という状況に陥らないためにも、道路がアイスバーンになる状況や場所を覚えおく必要があります。
◆“路面が凍結しやすい場所”とは?
路面が凍結しやすい状況として、まず挙げられるのが“気温”です。外気温3度以下になると路面が凍る可能性が高くなる、というデータがあります。
続いて“路面が凍結しやすい場所”について。その1つに、菰田さんは“橋の上”を挙げ、「橋の下を風が吹き抜けるため、冷やされて舗装道路の表面の水分が凍ることがあります」と理由を説明します。たとえ、手前の道路が乾いた路面だったとしても細心の注意を払って走行しましょう。
トンネルのなかは温度が低くなりにくい一方で、入口や出口付近は、トンネル内の湿気が低い外気温の影響を受け、凍ってしまう恐れがあるので注意が必要です。「この“注意”というのは『確実に先のほうまで路面を見ること』『車のスピードを落とすこと』を指します」と菰田さん。さらに、山道の北斜面は、ずっと陽が当たらないので路面温度も低いです。“凍っているかも”と意識しながら車を走行させてください。
◆危険予測と心の余裕が安全運転のカギ
道路の凍結が考えられる状況では、どんな運転を心がければ良いでしょうか?
まず、直線の道路を走っていて前に車がいる場合は、“2秒ぶん”の車間距離を取るのが世界的な標準です。一方、路面が凍結・積雪している場合は、減速したり、回避する能力が低下するため、それよりも長い時間の間隔をとって、自分がスリップしたり、前の車がスリップしても事故を回避できる確率を高めましょう。
また冬は、カーブでのスリップ事故にも要注意です。カーブでの事故は、スピードを出しすぎて外側にはみ出してしまうケースが多いので、事故を防ぐため、カーブに入る前にしっかりスピードを落としてください。菰田さんは「カーブに入ってからスピードを落とそうとすると、タイヤのグリップは、曲がる力とブレーキで止まる力の両方を使うことになります。滑りやすい路面だと、グリップが限界を超えるため滑ってしまいます」と解説します。
改めて、冬のスリップ事故対策について、まずは路面の凍結を予測し、走行中はスピードを出さず、前の車と間隔を空けて、急にハンドルを切るような状況をつくらないようにしましょう。また、路面が完全に凍っているときよりも、溶けているときのほうが滑るケースもあります。凍っている・いないに関わらず、寒い日の走行には充分に気をつけてハンドルを握ってください。
<番組概要>
番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全
放送日時:毎週金曜 7:20~7:27