放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。3月20日(日)の放送では、東京23区で唯一の酒蔵である「東京港醸造」代表の寺澤善実(てらさわ・よしみ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)小山薫堂、寺澤善実さん、宇賀なつみ
東京港醸造は、酒蔵のプロデュースやお酒のプロデュースなどを手掛ける会社で、東京・港区芝で東京23区唯一の酒蔵として、酒造メーカー「若松屋」のお酒を造っています。
酒蔵といえば、水がおいしくて自然が豊かな場所にあるといったイメージを抱く人が少なくありません。大都会・東京のほぼど真ん中に位置する東京港醸造の立地環境について、「普通、酒蔵というのは窓が小さくて白壁ですよね。あれは直射日光や温度管理のためにああいう形に作っているんですね。(東京のように)ビルで光が直接当たらないというのは、実は温度管理がしやすいんです」と寺澤さん。
そして、お水については「2013(平成25)年に、高度浄水処理という処理方法が東京23区全部に網羅されているんです。このお水が本当に良くて、ミネラルウォーターと変わらないぐらいのおいしいお水がどんどん供給されている」と説明します。
これに小山が「東京の水道水はそんなにおいしいんですか!?」と驚くと、寺澤さんは「ぜひ一度、ご自宅で浄水器を通らないものを口にしていただいて、浄水器を通ったものと比べていただければ、“変わらない”というのがわかると思います」とキッパリ。
宇賀からの「あえて東京でやっていらっしゃるということですか?」との質問に対し、「そうですね」とうなずく寺澤さん。「流通(の負担が)が小さくなるのと、消費地がまわりにあるので経費が抑えられる。仮に敷地がどんどん広がって、温かい麹を作るエリア、発酵するエリアを横に並べると、扉を開けた瞬間に全部一体化するので温度管理がしにくいんです。
温度管理を考えたときに、上のほうに温かい麹ものや蒸す作業、下のほうに発酵室を持っていくと、わざわざ扉を作らなくても温度管理がしやすい」とメリットを挙げます。
都会の酒蔵ならではの理にかなっているメリットに、小山と宇賀は思わず口を揃えて「なるほど~!」と納得の様子。
1891(明治24)年の文献によると、現在の23区内に64社の酒蔵があったそうですが、なぜ数が減ったのかというと「日清、日露、第一次世界大戦に入ってしまうんですけど、当時、戦費が(充てられていたのが)酒税だったんですね。どんどん酒税が上がることで、経営が成り立たなくなったんです。今と同じように地価も高いので、他業種に変わるほうがよかったんですよね。『若松屋』という屋号でやっていたんですけど、1909(明治42)年に一度廃業したんです」と寺澤さん。
しかしその後、2011年に「東京港醸造」として開業。敷地22坪、鉄筋コンクリートの4階建てのビル内で徹底した温度管理のもと、年間を通して酒造りをしています。
今回、スタジオで東京港醸造の日本酒を試飲させてもらうことに。
目の前に並ぶ日本酒の数々に、宇賀は「見た目がオシャレじゃないですか!? パッと見、日本酒っぽくなくてワインボトルみたい」とビックリ。日本酒のボトルの多くが720ml(四合瓶)であるのに対し、東京港醸造では四合瓶だけでなく、お試しや飲み比べ、飲み切りなどに適した290mlのボトルも展開。今回、寺澤さんには、290mlの「All Tokyo」、「All Edo」、「江戸開城」の3種類をご用意いただきました。
「All Edo」について、寺澤さんは「1898(明治31)年に単独純粋培養された本当に古い酵母なんですよ。造ってみると、すごく丸いお酒ができて。香りが今流行りのりんごやバナナの香りがするとか、そういうものじゃないんですけど、食中酒としてはバランスのいい味になりました」とその特徴を解説。
「All Edo」
“Edo”と命名したのは、「(このお酒の酵母が)江戸酵母と言われているんです。あと、多摩地区の東京のお米、東京の水道水と、(原料の)すべてが東京なので」と由来を語ります。
早速「All Edo」を味わってみると、宇賀は「おいしい~!」と満面の笑み。「いわゆる甘くて香り高いという感じではなくて、ちゃんとお酒の味がしてお食事に合いそうな。私、好きです!」と絶賛すると、小山もその味わいに「僕も好きです。流行りの感じじゃないのがいいですね」と大きくうなずきます。
「All Edo」を試飲中の宇賀なつみと小山薫堂
続いては、「All Tokyo」を試飲。こちらのお酒には、東京酵母という酵母が使われていて「2018年に蒲田の東京バイオテクノロジーという専門学校で、“産学連携”という産業と学校で一緒にものを作りましょう、という取り組みのなかで始めて、やっと3年間かけてお酒になったという酵母です。実はこれ、日比谷公園のハチのお尻についていた酵母なんです」と説明します。
「All Tokyo」
「All Tokyo」を口に含むと、宇賀は「さっきのと比べると、ちょっと酸味があっておいしい!」と笑顔。寺澤さんによると、原料は「All Tokyo」と同じで、酵母の違いだけだそう。すっかり気に入った様子の宇賀が「購入したい場合、どうするといいですか?」と尋ねると、寺澤さんは「『東京港醸造』のオンラインショップで買っていただくか、地酒専門店に『江戸開城』があれば、ぜひ手に取っていただきたい」と話していました。
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/post/