作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。3月30日(日)の放送は「村上RADIO~二人の伝説のギタリスト チェット・アトキンスとデュアン・エディ~」をオンエア。今回は1950年代後半~60年代に活躍したアメリカのギタリスト、チェット・アトキンスとデュアン・エディに焦点を当てました。さらになんと、収録時に来日していたイギリスのロックバンド「ポリス」のギタリスト、アンディ・サマーズの飛び入り出演も!
この記事では中盤4曲(チェット・アトキンス)と「収録中のつぶやき」について語ったパートを紹介します。
◆「Concerto In C Minor」Chet Atkins
◆「I Feel Fine」Chet Atkins
チェット・アトキンスはカントリー音楽に限らず、ジャズからロックからクラシック音楽に至るまで、広いレパートリーの楽曲を取り上げて演奏しました。そしてどんな曲でも、自分のスタイルに引き寄せて楽々と心地よさそうに演奏しました。YouTubeで彼の演奏ぶりを見ることができますので、是非ごらんになっていただきたいのですが、なにしろすごいテクニックです。
彼の演奏は「ピッキング・スタイル」と呼ばれていまして、独特のものです。ピックをつけた親指で低音弦を弾き、トントントンと軽やかなベースノートをつけます。そして残りの3本の指でメロディーを奏でます。よくまあそんな器用なことができるものだと感心してしまうのですが、本人はニコニコしながら演奏しています。昔はYouTubeなんてありませんでしたから、「いったいどうやってこんな演奏ができるんだろう?」と不思議に思っていたものです。
それでは彼の広いレパートリーの中から、チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番 第1楽章と、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」を聴いてください。でもね、僕の持っているレコード・ジャケットのクレジットはチャイコフスキーではなく、「ラフマニノフのハ短調ピアノ協奏曲」になっています。チャイコフスキーとラフマニノフ、どっちでも同じようなものだと思ったんでしょうかね。しかし考えてみれば、とんでもない間違いですよね。
◆「One Mint Julep」Chet Atkins
◆「Bluesette」Chet Atkins
うちにはチェット・アトキンスのLPがけっこうたくさんあります。どうしてこんなにあるんだろうと自分でも不思議に思っていたのですが、要するに中古レコード屋さんに行って、レコードあさりをしていて、ジャズにもクラシックにもロックにもめぼしいものがなく、しょうがないからカントリー音楽のコーナーをぱらぱらと見ているようなとき、アトキンスのレコードが安い値段で売られていると、つい買ってしまうんですよね。そういう事情もあります。せっかくレコード屋に来たからには、何か買って帰りたいと。
あと2曲かけましょう。レイ・チャールズの歌でヒットした「ワン・ミント・ジュレップ」と、ハーモニカも吹くジャズ・ギタリスト、トゥーツ・シールマンズが作曲した「ブルーゼット」です。
<収録中のつぶやき>
これは親指で低音を引きながらこっちでメロディーを引く。すごくややこしいでしょ。テクニックがすごいんだよね。でも、それを感じさせないんですよね。のんびり弾いているように聴こえてしまう。
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3月30日(日)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 4月7日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:村上RADIO~二人の伝説のギタリスト チェット・アトキンスとデュアン・エディ~
放送日時:3月30日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/