ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
3月26日(水)のテーマは「ブロンド、濃い眉毛……アメリカの新ビューティ・トレンド『MAGAメイク』とは?」。アメリカで今話題になっているメイクについて、ラボのメンバーたちが語り合いました。
※写真はイメージです
◆アメリカでトレンドの「MAGAメイク」
春になり、メイクやファッションを変えて気分を一新したい人も多いはず。日本では春らしいイメージのコスメ新商品などが巷に溢れていますが、アメリカで今トレンドになっているメイクは、“共和党メイク”とも呼ばれる「MAGAメイク」。MAGAとはトランプ大統領のスローガン「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」の頭文字を取った略称ですが、転じてMAGAがトランプ支持者を指す場合もあります。
MAGAメイクとは、一体どのようなメイクなのでしょうか。なぜトレンドになっているのかをラボのメンバーは話しました。
メアリー:誰がトランプ大統領に投票したのかは、その人の外見で見分けられるんだよね。(MAGAメイクとは)ステレオタイプだけど、髪はブロンド、それもすごく明るい金髪だということ。眉毛はしっかり描かれていてすごく濃い。そして、顔はほとんど厚く塗ったファンデーションだけで、他には何もしてない。輪郭や陰影もなくチークも何もない。ファンデーションと、たぶんアイライナーだけだと思う。一度見たら、私が言っていることがわかるんじゃないかな。本当にみんな同じように見えるからね。
ミクア:確かにTikTokにMAGAメイクのハウツー動画がたくさん上がっているよね。でも内容はこのメイクを皮肉っているんだよ。コンシーラーをなじませるときに、わざとシワができるようにするとか、ファンデーションはあえて黄色っぽく見えるものを選ぶとか、眉毛は他と合っていないけど「これで完璧」みたいな動画にしていて、完全にバカにしている。すごく笑えるけどね。
MAGAメイクの代表格として一番わかりやすいのは、ホワイトハウスの記者会見を仕切るキャロライン・レビット報道官。27歳という史上最年少の報道官である彼女は、ふんわりしたブロンドヘアに80年代風の濃いめのアイメイクを施しています。彼女の下に2人の女性報道官がいますが、やはり金髪の若い白人です。
また、パム・ボンディ司法長官、トランプの娘のイヴァンカ・トランプ、義理の娘のララ・トランプなども同じタイプのブロンド。さらにブロンドヘアではありませんが、クリスティ・ノーム国土安全保障省長官、ナンシー・メイス下院議員もMAGAメイクを語る際には名前が上がります。ただフェミニンなだけでなく、政治やビジネスでパワーを発揮する、こうした女性たちを“MAGAセクシー”と呼ぶこともあります。
(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆トランプ政権とメイクに共通するのは「時代遅れ」?
一方で、ミクアが話していたようにソーシャルメディアでは、こうしたMAGAメイクを「厚化粧」「時代遅れ」と揶揄する投稿が溢れています。なぜ彼女たちのメイクがここまで話題になっているのでしょうか。
メアリー:たぶん今「MAGA」がアメリカを席巻しているからじゃない? 選挙ではトランプが一般投票でも勝ったしね。だから、彼の美学に賛同する人がたくさんいるんじゃないかな。
ミクア:でも逆にトランプを支持しない人は、完全にこのメイクをバカにしているよね。ピエロみたいだって。「トランプに投票した白人女性はみんなこんな顔をしている」と、ジョークにしているね。
選挙におけるトランプの勝利で、彼の持つ美学に賛同する人が増えたから、「MAGA」が話題になり、支持者のメイク(MAGAメイク)や支持者の女性たち(MAGAセクシー)がトレンドになっている。逆にトランプを支持しない人は、それをジョークにして精一杯の抵抗をしていると言ってもいいでしょう。
ちなみに、このMAGAメイクを取り上げた大手のファッション・ビジネス専門誌WWD(ウーマンズ・ウェア・デイリー)には、興味深い分析がありました。「トランプ政権がジェンダーは男と女だけという大統領令を出したように、保守派は男女に厳格な役割を割り当てるべきだと考えている。その場合、女性にとってはメイクを含む誇張された女性表現が唯一受け入れられる美の基準ということになる」と、MAGAメイクは「伝統的に女性はこうあるべき」という主張の表現ではないかと論じています。これに対し、ラボのZ世代はどう感じたのでしょうか。
メアリー:どうだろう。MAGAメイクの最大の特徴は、眉毛が超ハッキリ描かれていることだと思うけれど、それだけでは「伝統的に女性がこうあるべき」という考えを取り入れているかどうかはわからないな。
気になるポイントは、この記事で「彼らが過去に囚われている」と言っていることだよ。ある意味、現政権の過去に囚われた政策という点で、メイクとの共通点はあると思う。
ミクア:確かにMAGAメイクは時代遅れの化粧だよね。時代遅れの政策との共通点は確かにあるかも。
2人が話した「時代遅れの政策」とは主に、20世紀初頭の経済政策の主役だった関税政策のこと。トランプ政権はさまざまな国からの輸入品に対して関税を課す措置を取ろうと躍起になって進めていますが、この動きに対して反トランプ勢だけではなく、多くのアメリカの経済学者は「時代遅れ」と見なし、否定的な立場を取っています。なぜなら保護主義的な関税は、貿易の自由な流れを妨げ、消費者にとってコスト上昇や国際競争力の低下を招くと考えられているからです。
また、リベラル派からはLGBTQや女性の権利の縮小、ダイバーシティの禁止なども時代遅れとの批判の対象になっています。ラボの2人は、MAGAメイクはこうした政策との共通点を示しているという見解でした。シェリーはMAGAメイクについて語る座談会を経て、「ファッションでさえ、政治の影響から逃れられない時代になったことを象徴していると強く感じます」と所感を述べました。
<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/