モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。8月9日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「マイナンバーカード総点検の中間報告」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
◆「マイナンバーカード総点検」の内容は?
政府は8月8日(火)、マイナンバーカードをめぐる一連のトラブルを受けた「総点検」の中間報告を公表しました。
吉田:まず、「マイナンバーカード総点検」の内容を改めて教えてください。
塚越:「マイナンバーカード総点検」では、マイナンバーカードを取得した人向けの専用サイト「マイナポータル」で閲覧することができる税や、健康保険証といった29の項目について、マイナンバーと情報の紐づけが正確におこなわれているかを確認します。
具体的には、自治体や健康保険組合が、情報の紐づけの際に利用者のマイナンバーをどのように取得し、名前や生年月日など何種類の情報で確認したかを調査しています。また、データの修正や情報漏洩の有無などの調査も含まれます。
マイナンバー情報総点検本部の会合が8日(火)にあり、岸田文雄首相は個別の機関の事情を考慮しながらも、原則11月末までに点検を終えるよう、関係閣僚に指示しました。
◆中間報告で新たなミスが発覚…秋までにさらに増える可能性も
吉田:中間報告では、どのようなことが明らかになったのでしょうか?
塚越:発表された中間報告によれば、健康保険証を扱う3,411の保険者のうち、先行して7月末までに1,313機関、約1,500万件の点検をおこないました。そのうち、異なる個人番号が紐づけられているミスが新たに1,069件判明しました。これまでのミスと合わせると今のところ8,441件を超えることになりました(※放送時点)。
さらに、公務員の共済年金の紐づけミスは、点検した約510万件のうち、118件確認されました。障害者手帳については、237の自治体のうち、約2割にあたる50自治体で紐づけ作業が不適切でした。政府は紐づけの正確性が強く懸念されるとして、この障害者手帳については、全ての自治体を今年秋までの「個別データ総点検」の対象とする方針です。
こうした点検にかかる費用については、個々の事情に合わせて配慮するとのことです。これは中間報告で、まだ全部ではありません。11月に全ての点検が終わる頃には、さらにミスの件数が増えるのではないかと予想されます。
◆ミス防止のための「ガイドライン」を作成
ユージ:会合ではトラブルの再発防止策が示されたようですが、具体的な対策は示されたのですか?
塚越:何とも言えませんが、再発防止策としてマイナンバー登録ミスを防ぐためのガイドライン作成を9月までに策定することを決めました。また、「自治体などにおけるマイナンバー登録事務の実施体制を確保する」「データの定期的なシステムチェックの仕組み導入を検討する」と話しています。
他にも、マイナンバーを収集するにあたり、転記(人が書き写すこと)ではなく、デジタルでマイナンバーカードからマイナンバーを読み取る方法の普及に向けての改善や、事業者へ働きかけることも年度内を目処におこなうようです。いろいろな改善策が出ていますが、個人的にはハッキリしないなと感じています。あとは、マイナ保険証のデジタル周りの環境を整備することなども挙げられています。
◆「デジタル敗戦」を認めたことは一歩前進だが…
ユージ:中間報告、塚越さんは、どのようにご覧になりましたか?
塚越:中間報告の前に、岸田首相が前週の記者会見で、コロナ禍での国の対応について「我が国がデジタル後進国だったことに愕然とした」と述べ、「このデジタル敗戦を二度と繰り返してはならない」と話しました。この点は、明確に日本がデジタルで遅れをとっていることを認めたことで、一歩前進したかなと思います。マイナンバーを巡るさまざまな問題についていろいろと言われているので、政府側も切羽詰まっていて認めたようです。
一方で、岸田首相の会見によると紙の保険証の廃止は考えていないと言いながらも「今後の点検作業を見極めて必要な対応をする」と、玉虫色の回答がありました。ミスが出てくることは仕方ないことですが、ふわっとしていて対応をどうするのかを話していません。
今回の中間発表でも新たなミスが見つかっていますが、今後もミスは出てきます。国民の関心は、ミスの数よりも政府が本当に信頼できる態度で問題に取り組んでいるか、ということが重要です。
デジタル敗戦を認めたことは良かったと思うのですが、中間報告を聞く限りでは、まだ信頼できません。(点検作業は)原則11月末までですが、これも期限を決めてしまうと、また現場に負担がかかって「ミス」が生じる可能性もあります。最近の政治家が発言する言葉に「真摯に受け止め」というものがありますが、言葉どおり本当におこなってくれるのか、私たちがよく見ていく必要があります。
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河野太郎デジタル大臣は8月15日(火)、マイナンバーカードを巡るトラブルを受けて記者会見をおこない、閣僚給与3ヵ月分を自主返納することを明らかにしました。「デジタル庁内の情報共有体制が不十分で(公金受取口座の紐づけミスの)初動が遅れた」「デジタル大臣としてけじめをつけるべきだと認識しています」「最初の段階で共有されていれば、件数は増えなかった。残念ながら初動が遅れました」と語り、辞任については否定して「引き続き職務に専念する」と述べました。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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8月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年8月17日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世