11人組グローバルボーイズグループ「INI(アイエヌアイ)」の髙塚大夢(たかつか・ひろむ)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「SCHOOL OF LOCK! INI LOCKS!」(毎月3週目 月曜~木曜22:18頃~)。
3月19日(水)の放送では、ヨルシカの楽曲「アポリア」の歌詞を髙塚が考察していきました。
INI髙塚大夢
――ヨルシカの「アポリア」を徹底考察!
髙塚:今回研究していく曲は、ヨルシカの「アポリア」です!
VIDEO
こちらの曲は、現在放送されているテレビアニメ「チ。 -地球の運動について-」のエンディングテーマ曲なんですけれども、とにかくこの曲は、本当に難解なんですよ。リズムも歌詞も、1回聴いただけでは頭に「?」が浮かんでしまうような曲で、これはちょっと研究し甲斐があるんじゃないかなと思って、今回選ばせていただきました!
まず、タイトル。「アポリア」とは、どういう意味なのかっていうのを思って調べてみたら、ギリシャ語で“解決の糸口が見つからない難問”という意味らしいです。なので、「答えのない問い」だったり、「困惑」っていうのを意味する哲学の言葉みたいですね。
この曲自体は、“知らないことを知ろうとする探求心”っていうのをテーマにした曲なんですね。よくこの歌詞のなかに「気球」が出てくるんですけれども、この作者(作詞作曲、編曲担当)のn-buna(ナブナ)さんによりますと、この気球は“際限のない知の欲求の喩え“みたいですね。だから、自分の内にある探求心みたいなのを気球に例えて歌った曲みたいです。そんな曲なんですけれども、注目すべき点をいくつかに分けて紹介したいので、まずはちょっとイントロを聴いていただきましょう!
――ここでイントロが流れる
髙塚:これ、リズムがちょっと変わってるんですよね。これが何なのかというと、「変拍子」っていうのが、この「アポリア」には使われているわけなんです。一般的な曲って、“ズッダン ズズダン ズッダン ズズダン”って、4分の4拍子とか、4拍の拍子の曲が多いんですけど、なんとこの曲は「8分の7拍子」と、「8分の8拍子」がメインで流れてくるんです。
だから拍子で分けると、「1234567、12345678」で分解されて、それがずっと続いていくのですが、そこがすごく斬新ですよね。普通は、こういう変拍子ってなると、「えぇ……?」みたいな、ちょっとなんか心地悪い感じがしちゃうんですけれども、それをヨルシカさんは、すっごいナチュラルに、ちゃんとポップに消化して作ってるっていうのが、やっぱりすごいなって思いますね。
そして、イントロの最初に「ハッ」という息遣いが入ってるんです。本をペラってめくった音の後に「ハッ」ていう声が入るっていうのが、この曲をすごい象徴してるなって思って。本を読んでいて、新しい気づきに、気づいた時の心の中に何か湧き上がるこの向上心っていうか、その探求心みたいなのを、ここのイントロでスッて表してて、これもすごいなって思ったポイントですね。
――「世界観が素晴らしいアーティスト」
髙塚:サビの「僕らは気球にいた 遠い国の誰かが月と見間違ったらいい」っていうフレーズ。MVを観てみると、このワンフレーズの深さをすごい感じるなと思っていて。MVが、1人の女の子がハンググライダーみたいなもので旅をするんですけど、月のようなものが2つあるんですね。
その、「なんで2つあるんだろう?」っていうところから、その月をめがけて旅をして、月が実は巨大な空に浮かんだ建物だった、みたいな感じなんですけど。普通に考えたら疑ってしまうものを普通と思ってしまう世の中。でも、それに対して1人だけはずっと疑問を持ち続けて進み続ける、みたいなのが描かれてるのかなと思うんです。
それを見た上でこの歌詞を振り返ると、それと同じように、自分のこの気球を誰かが月って見間違うことで、自分のこの探求心がもっともっとその先の人に伝染してったらいいな、みたいなの表現してるのかなって思いまして。それをこの「気球」と「月」っていう、この2つの比喩表現を使って表現してるのはすごいなと思いましたね!
そして、ラストのサビの「この夢があの日に読んだ本の続きだったらいい」というフレーズ。この曲は、冒頭で話した通り、アニメ「チ。」の曲なんでですけど、「チ。」は天動説が当たり前だと思われていた世界で、地動説を信じる人たちの物語です。その地動説というものの考え方を、世代を超えて受け継いでいくんですよ。だから、主人公がどんどん変わっていって、でも地動説っていうこの説は変わらずに受け継がれていって、みたいなのが、すごく面白いお話です。
「あの日に読んだ本の続きだったらいい」っていう、このワンフレーズが、この「アポリア」の中で出てくる主人公の、この考えが、自分が昔に読んだ作り話だと思っていたものの続きだったらいいなっていう。非現実だって思ってたものが、現実になるかもしれないっていう、探求心を突き詰めていったら、そのワクワクさみたいなのが、このフレーズに込められてるのかなって思うんですよね。
僕がヨルシカ先生に対して思うのは、この歌詞の美しさですね。ヨルシカさんは本当にこの曲に限らず、世界観が素晴らしいアーティストだなって思いますね。
----------------------------------------------------
3月19日(水)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月27日(木)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:SCHOOL OF LOCK!
パーソナリティ:こもり校長(小森隼・GENERATIONS from EXILE TRIBE)、COCO教頭(CRAZY COCO)/月曜~火曜、アンジー教頭(アンジェリーナ1/3・Gacharic Spin)/水曜~金曜
放送日時:月曜~木曜 22:00~23:55/金曜 22:00~22:55
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/lock/