作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。
2月22日(日)の放送は「村上RADIO~(博士も愛した)素数で聴く音楽~」をオンエア。今回は、小川洋子さんのベストセラー小説『博士の愛した数式』になぞらえて、タイトルに2、3、5、7、11、13、17、19……などの“素数”が入っている楽曲にフォーカス。村上さんの選曲でお届けしました。
この記事では、タイトルに「17」「19」が入った楽曲を紹介したパートをお届けします。
「村上RADIO」
◆Janis Ian「At Seventeen」
次は13です。欧米では不吉な数とされていますよね。そのせいかタイトルに13のついた曲はあまりないんですが、有名なのは、BIG STARというバンドが歌ったそのものずばり「Thirteen」です。歌詞には13という数字はまったく出てきません。タイトルについているだけ。でも時間の関係でこの曲はパスします。
次は17。これは僕的にはもうジャニス・イアンの「17才の頃(At Seventeen)」で決まりですね。美人でもないし、スタイルも良くないし、お金持ちでもないし、学校でもぜんぜん目立たない、小さな町に住む17歳の女の子が、私みたいなぱっとしない「醜いアヒルの子」には恋人なんてできっこない、それが17歳のときに私に知らされたことなの……と心情を打ち明ける歌です。「17歳もの」っていうと「青春賛歌」みたいな歌が圧倒的に多いんですが、これはけっこう薄暗いっていうか、リアルな内容になっています。でも素直な美しいメロディーを持った歌です。1975年にリリースされました。ジャニスはこの曲でグラミー賞を受賞しています。
◆Steely Dan「Hey Nineteen」
19は、なんといってもローリングストーンズの「19回目の神経衰弱」が有名ですね。今バックでかかっているのは、ジョー・パスの演奏したものです。でも今日はあえてスティーリー・ダンの「Hey Nineteen」を聴いてください。1980年にリリースされたアルバム『ガウチョ』に収録された曲です。僕もこの歌、けっこう好きなんです。「19回目の神経衰弱」ほど有名ではありませんが、このレコード、当時よく聴きました。ジャズの店を経営しながら小説を書いていた時期で、店を閉めてから、ウィスキーのグラスを傾けつつ、このレコードをターンテーブルに載せていたものです。ボーカルはもちろんドナルド・フェイゲン、バックのギターはヒュー・マクラッケン、ドラムズはスティーヴ・ガッドです。
歌詞はちょっと意味がとりづらいんですけど、だいたいのところ年上の男――たぶん団塊(だんかい)の世代くらい――が今時の19歳の女の子との間の感覚のギャップにけっこうがっかりしている……みたいな内容になっています。1980年当時の話ですが、その頃の若い子にとっては、カウンター・カルチャーとか反戦デモとか、そういう現象はもう既に「なんのこっちゃ」みたいになっていたんですね。だから話が通じません。アレサ・フランクリンのことも知らないんだぜ、みたいなね。
聴いてください。スティーリー・ダンの「Hey Nineteen」
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<番組概要>
番組名:村上RADIO~(博士も愛した)素数で聴く音楽~
放送日時:2月22日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/