モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月5日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「iPhoneにマイナンバーカードの機能を搭載 その懸念点は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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◆iPhoneにマイナカード搭載可能に
アメリカのAppleは5月29日(現地時間)、マイナンバーカードの身分証明書機能を、Apple社が開発・販売しているスマートフォン「iPhone」に来年の夏までに搭載すると発表しました。
吉田:塚越さん、「iPhone」にマイナンバーカードの機能を搭載するということですが、これがどういうことなのか教えてください。
塚越:まず日本におけるiPhoneですが、非常に人気が高いですよね。調査会社によってばらつきもありますが、日本のスマホシェアでiPhoneは5割〜7割弱というデータがあります。少なくとも日本のスマホの2台に1台はiPhoneということになりますし、私の実感では7割に近いという感覚です。
そのうえで言うと、実はGoogleの「Android」OSのスマホでは、去年の5月からすでにマイナンバーカードの機能が搭載されています。そういう意味では一歩遅れての搭載ということになるわけですが、(これだけ話題になるということは)やはりiPhoneは注目度が高いということになります。
機能の説明をすると、iPhoneにはクレジットカードなどを管理する財布アプリ「ウォレット」というものがありますが、ここにマイナンバーカードを追加できるようになります。
ちなみに、アップルがウォレットに身分証明書機能を搭載するのは、アメリカを除けば日本が初めてになります。世界的にも日本のiPhoneシェアは高いので、その点も考慮したのかなと思います。
使い方としては、このウォレットアプリからマイナカードを選んで顔認証(Face ID)や指紋認証(Touch ID)といった生体認証をおこなうとカードが表示され、コンビニや病院などの非接触の読み取り機器にかざせば利用できるということです。住民票写しの発行や、子育て支援の申請といった行政手続きが可能となります。総務省によると、4月末時点でマイナンバーカードの普及率は73.7%と高いので、iPhoneと組み合わせることで便利になるのは間違いありません。
◆行政手続き、銀行口座開設などが便利に
吉田:「iPhone」にマイナンバーカードの機能を搭載すると、どういったことができるようになるのでしょうか?
塚越:まず、利用者は事前に行政手続きのオンライン窓口である「マイナポータル」を通じて、電子証明書を登録する必要があります。そのうえで、先ほど述べたようなウォレットにマイナンバーカードを登録して、生体認証が通ればカードが提示される仕組みになっています。開始時点ではApple Watchでは使えませんが、将来的には対応するとのことです。
ちなみに5月31日(金)に、マイナンバーカードのすべての機能をスマホに搭載できるようにする「改正マイナンバー法」が、参院本会議で賛成多数で可決成立しています。これによって、行政手続きだけでなく、スマホだけで銀行口座を開設する際の利便性などが向上します。
◆プライバシー保護はどうなっている?
ユージ:マイナンバーカードの情報の保護など、安全面は大丈夫ですか?
塚越:やはり気になるのはそこですよね。カードの紛失も問題ですが、現代日本でスマホを落とすことはとても恐ろしいことです。Appleによれば、決済サービスなどですでに実績のある「セキュアエレメント」と呼ばれる暗号処理回路や、あるいは顔認証や指紋認証といった「生体認証」を利用してセキュリティを保護するとのことです。情報は暗号化されて端末にだけ保存するので安全とのこと。他人に拾われても、生体認証を突破しなければ情報は見られないということです。
また、iPhoneには紛失したときのリスク対策として「iPhoneを探す」という機能があります。そのためiPhoneを落としても、パソコンや Apple WatchからiCloudの「iPhoneを探す」に入れば、紛失した場所を特定したり、最悪の場合は遠隔操作によってiPhoneの情報をすべて消去したりすることもできます。バッテリー消費は少し早くなりますが、iPhoneの「探す」機能はオンにしたほうが良いのかなと思います。
◆スマホでも物理カードでも紛失リスクはつきもの 最終的には自分で判断を
ユージ:「iPhone」にマイナンバーカードの機能を搭載することについて、塚越さんはどうご覧になりましたか?
塚越:前提として、大元のマイナンバーカードに関しては、特にマイナ保険証でのさまざまなミスや、もともと任意だったマイナ保険証が事実上の強制になるなど、一連の対応によって政府への信頼が損なわれてきたかなと思います。カードの普及率は7割を超えていますが、政府にとっては、国民の「信頼」を得ることが引き続き重要です。それを踏まえたうえで、自分で選択することが大事です。
iPhoneの「ウォレット」には、SuicaやICOCAといった交通系IDカードが入れられるので、iPhoneを改札機にかざして改札を通る人も多いです。クレジットカードも入れられるので、便利なのは間違いありません。
しかし、スマホにすべての情報を集中させることもリスクといえばリスクです。スマホに重要な個人情報が入るとプライバシーが心配、というリスナーの方もいると思います。かといって、物理的なカードとして持っていたとしても紛失するリスクはあるので、リスクはどういう状態でもあります。
今回は、マイナ保険証のように強制ではなく民間企業のサービスですので、この機会に使いたいかどうかをみなさんに考えていただきたいです。これを機に、自分は合うのか・合わないのかを試していただけると良いかなと思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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6月5日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月13日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世