松任谷由実がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Yuming Chord」(毎週金曜11:00~11:30)。7月1日、8日(金)の放送では、「Yuming 50th Anniversary Special対談」と題して、2週にわたり小室哲哉さんをゲストに迎えてお送りしました。ユーミンと小室さんの対談は11年ぶりとなります。ミュージシャン同士ならではの深い音楽談義から、今だからこそ話せる話まで、たっぷりとお届けしました。
この記事では、7月8日(金)放送の模様を紹介。ここでは、ユーミンの最新アルバム『深海の街』収録曲「ノートルダム」の歌詞について語り合いました。
松任谷由実、小室哲哉さん
ユーミン:ここで、私の最新アルバム『深海の街』から「てっちゃんに聴いてもらいたいな」という曲をお送りしようと思います。
最新アルバムは、コロナ禍に入って落ち込んだ自分とか、世の中のとんでもないバイブスを封じ込めようと思って作りました。(アルバム制作中に)“そういえば、前の年にノートルダム寺院(ノートルダム大聖堂)が焼けてしまったな……”と、何かディストピアの始まりのような啓示を受けたので、「ノートルダム」という曲になりました。(この曲は)自分の中ではダンサブルだと思っているの。ユーロが好きだから。そんなユーロな感じで聴いてもらえたらいいなと思います。では、「ノートルダム」を聴いてください。
――ここで「ノートルダム」をオンエア
ユーミン:この曲で一番気に入っている詞が、「重なる白骨を引き離すとき 砂になって崩れる」っていうフレーズなんだけど。そのぐらい寄り添えたらロマンチックだっていう。
小室:(この楽曲ができたのは)ウクライナ侵攻前ですよね?
ユーミン:そうなの。
小室:でも、(今の状況に)めちゃめちゃハマりますね。去年の秋と今では、意味合いが全然違ってきますし。
ユーミン:そう言ってもらえると本当に嬉しいし、“伝えるべきことだったんだな”と思いながら……。
小室:普遍的な言葉をうまく選んでいるので、そういうふうにとらえることができます。
ユーミン:あと、偉そうに言っちゃうと、“何が役立つかわからないから、一般教養も必要だな”と思う。日本のポップスの場合、詞と曲を融合させないと意味がないので。海外もそうかもしれないけど。(それが)一番の壁かな。
でもね、まだまだ伸びしろあるって思ってないと、続けられないですよね。てっちゃんは、よく「音楽に救われてきた」って言っているけど、(音楽の)存在意義や価値は、やっぱり変わらないかな?
小室:変わらないですね。例えば、ちょっと文章を書いてみたり、他のことをやるとよくわかるんですけど、やっぱりダメなんですよね。並みなんですよ。しかも演奏の技術もそこまですごくないので。“引き付ける”というか、その瞬間「えっ!?」って、ちょっと振り向かせるような音作り・曲作りぐらいが、自分に与えられた能力かなと思っています。
ユーミン:よくわかります。すごくシンパシーを感じるし、ますます、てっちゃんが好きになりました。
小室:ありがとうございます。
ユーミン:“その人が好き”なら、“その人の音楽が好き”だもんね。2週にわたって出演していただきまして、どうもありがとうございました。
小室:本当にありがとうございます。お招きありがとうございました。
*
デビュー50周年記念企画の1つで、ユーミンの人気曲のタイトルが6人の作家によって新たなストーリーへと生まれ変わったトリビュート小説集「Yuming Tribute Stories」(新潮社)は、現在好評発売中です。
また、12月8日(木)からは「松任谷由実展」(仮称)の開催が決定しました。詳細は順次、公式Webサイト、SNSで発表予定ですので、ぜひチェックしてください!
<番組概要>
番組名:Yuming Chord
放送日時:毎週金曜11:00~11:30
パーソナリティ:松任谷由実
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/yuming