青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。1月15日(日)の放送では、文化庁 著作権課・課長の吉田光成さんに、「まずは相談! クリエイターの権利を守ろう」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、吉田光成さん、足立梨花
◆近年、増加している著作権トラブル
デジタル・ネットワークなどの発展に伴い、私たちはインターネット上で音楽やアニメ、映画、マンガなど、さまざまなコンテンツに触れることができるようになりました。これにより、近年トラブルが増えているのが“著作権”に関するトラブルです。
著作権とは、著作権法という法律により、著作者(作品を作った人)に与えられている権利です。著作者は、自分の著作物を他人が利用することを許諾したり、禁止したりする権利などが認められています。
ところが、他人の著作物を無断でコピーし、正当な対価を権利者に支払うことなく利用できる状態にした著作権侵害コンテンツ、いわゆる“海賊版”が出回っています。これによる経済損失は大きく、コロナ禍で状況が一層悪化しているそうです。
マンガの海賊版サイトを例にとると、出版社などで構成される一般社団法人ABJの試算によると、アクセス数の多い海賊版・上位10サイトにおける月間合計アクセス数は、2020年5月は約1億回、2021年10月は約4億回と、1年5ヵ月で約4倍以上と大きく増加。過去最悪の状況になっています。
また、著作権侵害による被害は、決してプロの漫画家だけが被っているわけではありません。近年は、ネット上でさまざまな作品を発表する個人クリエイターも増えています。収益を上げる仕組みが多様化しているので、個人でもかなり稼いでいるクリエイターもいるそうです。小さく創造して幅広く展開することができるのが個人クリエイターの強みですが、だからこそ、プロアマ関係なく海賊版は出回るリスクがあり、実際に個人クリエイターの作品が違法にコピーされて利用される被害も出ています。
吉田さんは、個人クリエイターがさまざまなコンテンツを創作して、世の中に広められる可能性が拡大している一方で、「著作権に関する知識が不足しているために、適正な使用料を得ることができなかったり、コンテンツが侵害されていても対処できない、といったことが発生している」と言います。
実際に、海外の違法ダウンロードサイトに楽曲が上げられていたり、海外で制作されたゲームに、楽曲が原盤ごと使用されていたことがあったそうです。しかし、「日本のコンテンツ企業や個人クリエイター等の権利者は、アメリカの権利者と比べて、被害を受けても権利を守る行動を起こさない傾向にあり、結果的に“海賊版の被害を拡大させている”という指摘もある」と話します。
◆文化庁がおこなっている“著作権問題対策”
海賊版による被害を防ぐべく、文化庁は
「インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイト」を開設。このサイトでは“著作権とは何か”という基本的なことから、インターネット上の海賊版に対して、実務上まずよく取られる手段である「削除要請」の仕方、さらに、国別の海賊版対策など詳細なノウハウが掲載されています。
また、昨年8月30日(火)には、同サイト内に「海賊版による著作権侵害の相談窓口」を開設。著作権を専門とする弁護士が、著作権侵害に関する相談を無料で受け付けています。権利者が相談受付フォームに必要事項と相談内容を記入して送信すると、土日祝祭日を除き、原則10日以内に弁護士からメールで回答が届きます。さらに、案件によっては弁護士との無料個別面談も実施しています。
◆コンテンツを利用する側の意識改革
私たちが正規の作品を利用しないと、クリエイターは収入を得られないため、その結果、活動を継続することが困難になってしまったり、新しい作品を生み出しづらくなる、という悪循環に陥ってしまいます。つまり、私たちが海賊版を利用する行為は、自らが新たな作品に出会う機会を逃してしまっているとも言えるため、海賊版をなくすには、私たちが意識を変えることも求められます。
改めて吉田さんは「著作権は、コンテンツを創作した人とコンテンツを利用して楽しむ人のバランスを取る仕組み。著作権法はそのバランスを取りながら、文化を発展させることを目的としています。自分のコンテンツが無断で利用された場合、クリエイターやコンテンツを制作された企業などから、著作権が侵害されていることを主張することができます。分からないことがありましたら、文化庁の相談窓口にご相談ください」と呼びかけます。
また、コンテンツを利用する人たちに向けては、「他人のコンテンツを利用するときは必ず許可を取りましょう。“海賊版を利用しないこと”が、著作権侵害の効果的な対策となります。コンテンツを楽しむときは“無料だから海賊版”ではなく、次の作品を生み出すためにも、正規版を正しく利用しましょう」と話していました。
今回の話を聞いて、足立は「(作品を観る側の)私たちも海賊版を利用しないことが重要なこと。“推したい気持ちがあるのなら、正式なルートで、正式な推し方をしよう”ということを、(自分を含め)皆さんにも意識してほしいなと思いました」とコメント。
青木は、海賊版による著作権侵害の相談窓口について言及。「著作権に関することって、専門知識も必要ですし、やっぱり頼りになる弁護士さんに相談したい、という人が多いと思う。そういうときに(著作権を専門とする弁護士に)無料で相談できるのは心強い」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/