手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。10月14日(土)の放送では、津波のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所 地球計測系研究部門 助教の三反畑修(さんだんばた・おさむ)さんに、「鳥島近海を震源とする地震によって発生した津波」について伺いました。
※写真はイメージです
10月9日(月・祝)に発生した鳥島近海を震源とする地震で、規模が小さかったにも関わらず津波が観測され、伊豆諸島と小笠原諸島をはじめ広い範囲に津波注意報が出されました。
今回、津波が発生した原因について、三反畑助教は「海底地すべりだったり、海底の火山活動というのは、大きな地震の揺れをそこまで伴わなくても大きな津波を発生させることがあるので、今回の津波は、それによって海底で地形の変化を大きく引き起こしたためであると考えています」と分析。
伊豆諸島や小笠原諸島の海域には多くの海底火山があり、地下にはマグマだまりがあると考えられています。その地下深くからマグマが供給されると、マグマだまりが膨張して岩盤が破壊され、地震が発生したり、地形が大きく隆起することで海水が持ち上げられることによって津波が発生するとのことです。
ところで、通常「津波警報・注意報」が発表される場合、地震発生後に気象庁が地震の規模や位置を推定し、これらをもとに沿岸で予想される津波の高さを計算して発表されますが、今回は津波が確認された後に「津波注意報」が出されました。この経緯について、三反畑助教は“津波を捉える観測点が少ないこと”を挙げます。
「東日本大震災発生後、東北沖や南海トラフの危険性が叫ばれているような東南海、四国などには、非常に多くの沖合で津波観測点が設置されています。もちろん津波は沖合からやってきますので、沖合でまず観測することで津波の災害を減災でき、防災の観点からも非常に大事です。しかし、(今回の津波が発生した)伊豆諸島・小笠原諸島付近には、リアルタイムで沖合から津波を観測するシステムが置いてありませんでした。さらに、地震の揺れがないときは、地震から津波を予測することが非常に困難なため、結果的に沿岸の津波観測機器に津波が到達してから、初めて津波が発生したことが分かりました」
また、現在の観測システムから考えると、今後も伊豆諸島・小笠原諸島などでは、注意報が出ていなくても津波が観測される可能性があると話します。
なお現在、“海底で何が起きているのか”について解析を進めているそうですが、発表するまでの結論には至っていないとのことで、政府の地震調査委員会は、「地震活動は低下しているが、規模の小さい地震でも津波が発生していることから、当面のあいだは注意が必要」と呼びかけています。引き続き、地震や津波の情報に注意しましょう。
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10月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年10月22日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋