モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月6日(木)の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「4月から解禁! デジタル給与のメリット・デメリット」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
労働者が「給与」を「デジタルマネー」で受け取ることができる「デジタル給与」制度が4月1日(土)に解禁されました。現在、国が参入を希望する業者の受け付けを始めていて、年内には本格始動する見込みです。給与を支払う側、受け取る側のそれぞれに対して、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
◆「デジタル給与」とは?
ユージ:「給与の支払い」といえば「現金手渡し」か「指定の銀行口座への振込」が主流でしたが、あらためて「デジタル給与」について教えていただけますか?
塚越:「労働基準法」では、“給与は現金でなければならない”と定められています。そのため「給与の銀行振込」も、企業と労働者が合意した場合の例外の事項だったのですが、今回、厚生労働省が省令を改正するということで、例外に決済アプリなどへの振り込みも加えることになりました。
つまり、「○○ペイ」などへの振り込みが可能になるということです。労使間で合意があれば、例えば「銀行口座には7割、残りの3割は『○○ペイ』に入れる」など、分散して給与が受け取れます。
ただ、あくまでも労働者が同意した場合なので、強制ではありません。デジタル給与に参入するには、厚生労働省の認定が必要で、すでに4月から申請を受け付けています。
「PayPay」「d払い」「楽天ペイ」「au Pay」など数社から参入の相談がありますが、認定には数ヵ月かかるので今すぐに始まるということではありません。早ければ年内にもデジタル給与が可能になると見られています。
ユージ:国はなぜ「デジタル給与」を推進しているのでしょうか?
塚越:2021年の日本のキャッシュレス比率は、32.5%と増えてきてはいますが、国際比較で見るとまだまだ利用率が低く、もっと普及させたい狙いがあります。諸外国は5~6割とか、韓国にいたっては9割くらい普及しています。
また、2021年に「デジタル給与払いが可能なら利用したいか?」とアンケートしたところ、「利用したい」という回答が26.9%で、4人に1人くらいは「使いたい」というニーズがありました。
同じアンケートの「どのくらいの給与をデジタルでもらいたい?」という質問では、35%で最多だったのが「給与の1割~3割くらい」とのことです。それくらいの金額は、みなさんも普段からキャッシュレスで使っているので、そのように回答したのではと思います。
◆デジタル給与…それぞれのメリット・デメリットは?
ユージ:給与をデジタルで受け取る従業員、振り込む会社側、それぞれのメリットは?
塚越:外国人労働者の方の「銀行口座開設」のハードルが少し高いので、外国人労働者の方にとっては利用しやすく、そのうえ母国への送金も簡単にできるので、外国人労働者の受け入れ促進になるかなと思います。
個人のメリットとしては、まずアプリへのチャージの手間が省けるということです。あるいは、フリーランスや副業にも対応しており、場合によっては、週払いなどの支払いにも対応でき、給与の支払いがフレキシブルになります。
さらに、デジタル給与には「最低月1回は無料で、1円単位で銀行口座にお金を移動できる」という決まりがあるので、「やっぱり銀行口座へ戻したい」というときも、無料で移行できることになっています。
ユージ:それは強みですね!
塚越:企業としても決済アプリへの振り込みは、銀行振込よりも振込手数料が安いので、コスト削減になります。他にも、銀行と決済アプリ間で競争が進むことで、結果的に我々が支払う手数料もさらに下がるのではと見られています。
ユージ:なるほど。銀行側も「このままではマズイ!」ということで、「うちも手数料を下げますよ」という競争が起こる可能性があるということですね。
ただ、僕がいま少し不安に思ったのは、決済アプリって比較的新しいものが多いじゃないですか? 万が一、破綻や倒産をしてしまったときに、そこに入れていたお金はどうなるんでしょうか?
塚越:気になりますよね。まず、デジタル給与払いができる業者は、厚生労働省の認可が必要になります。その認可をする条件に「損失補填」の仕組みがあり、万が一、企業が破綻した場合は、100万円を上限に補償されます。
絶対ではありませんが、ある程度は安心できるかと思いますし、この仕組みがあるため、基本的に「100万円以上は『○○ペイ』に入金できない」仕組みになることが考えられます。
デメリットとしては、企業が現金とデジタルで分けて入金するので、事務の手間がかかったり、システム面が面倒になったりする点が挙げられます。決済事業者も、さまざまなシステムを提供するとは言っているのですが、いずれにしても最初は混乱するのでは、と思います。そこはデメリットですね。
ユージ:私たちは「デジタル給与時代」に向けて、どのように心の準備をしておけばいいでしょうか?
塚越:いろいろな決済アプリを使っている方のなかには、状況によっては、ポイント還元などもあるので、メリットがあると感じられている方もいると思います。早ければ年内から始まるため、そういったことも考えながら、バランスを取って使っていただければ良いのではと思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/