青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。3月10日(日)の放送では、国土交通省 総合政策局 バリアフリー政策課 障がい者政策企画調整官の和田光太郎(わだ・こうたろう)さんを迎えて、「必要としている方へ バリアフリー施設と設備」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、和田光太郎さん、足立梨花
◆電車の優先席「譲らない人」が約5%
バリアフリーとは、さまざまな人が社会に参加するうえで障壁になっているバリアをなくすことを指します。社会には、障がいがある方や高齢者、妊婦など多様な方がいますが、これまでの社会は大多数の人に合わせて作られてきたため、そうでない人たちにとっては、不便さ、困難さを生む障壁が多い状況でした。
そこで、世界的に“バリアを取り除いて誰もが暮らしやすい社会を築いていこう”という流れが起こり、日本でも法律を整備するなどして、バリアフリー施設や設備を整えています。ところが、せっかく設けた施設や設備が正しく利用されていないケースがあります。
例えば、電車やバスなど公共交通機関に設けられている優先席は、高齢者、障がいのある方、ケガをされている方、乳幼児連れの方などが優先的に利用するために設けられていますが、国土交通省が実施した最新のアンケート結果によると、「よく譲る」「ときどき譲る」と回答した人が80%以上いたものの、「ほとんど譲らない」「譲ったことがない」と答えた人が約5%いました。
さらに和田さんは、「(席を譲らなかった理由として)『体調不良』『ケガをしていたから』『自分が優先席を必要とする特性があるから』という回答の一方で、『譲るべき相手かどうか判断がつかなかったから』『声をかけるのが恥ずかしかったから』『気づかなかったから』『優先席しか空いていなかったから』『特に理由はない』と答えた方が一定数いました」と説明。
内部障がいのある方や妊娠初期の方などは外見からは分かりづらいことから、“譲るべき相手かどうか判断がつかなかった”という声も理解はできますが、「まず、優先席に座る場合は、周りに必要としている人がいないかを注意しながら利用するように心がけていただきたいです。そして『マタニティマーク』『ヘルプマーク』を身につけている方を見かけたら、『優先席にどうぞ』と声をかけていただきたいです」と注意を促します。
◆「エレベーター」でも譲り合いを
駅や商業施設などにあるエレベーターを利用するときなども「必要としている方を見かけたら『お先にどうぞ』と声をかけていただきたい」と和田さん。というのも、高齢者や障がい者の方々のなかには、階段やエスカレーターが利用できない方もいるほか、ベビーカー利用の方にとっては、違う階へ移動する手段がエレベーターしかないケースも。
国土交通省が実施したアンケート調査では、「あなたが優先エレベーターに乗っている際、障害者、高齢者、妊産婦等の優先エレベーターを必要とする方が途中で乗ろうとしたら、目的とする階以外で降りるなど、スペースを譲りますか」という設問に対して、「譲ったことがない」「ほとんど譲らない」と答えた人が15%ほどいたそうです。
この結果を受けて、和田さんは「高齢者や障がい者などのなかには、車いすやベビーカーを利用している方のように、エレベーターしか移動手段がない方もいらっしゃいます。階段・エスカレーターを利用できる方は、エレベーターを必要とする方がいたら『お先にどうぞ』と声をかけてほしい」と呼びかけます。
◆駐車スペースやトイレでも“困りごと”
車いすを利用している方などが困っているのは、エレベーターだけではありません。例えば、スーパーマーケットや商業施設などの駐車場には、車いすマーク(車いすに乗っている人のイラストが描かれた国際シンボルマーク)がある駐車スペース「車いす使用者用駐車施設」があり、「そこは、バリアフリーに関する法令上、車いすを使われる方をはじめ、障がいのある方に譲るなどの配慮が求められる場所です」と和田さん。
車いすを利用している方は、車を乗り降りする際、ドアを大きく開けて、車いすを車のドアの横に着ける必要があるため、バリアフリー法に基づき、3.5m以上の車幅を設けることとされています。
ところが、「一般利用者用(の駐車スペース)が空いていなかったから」「急いでいたから」などといった理由で、本来、車いす使用者用駐車施設を必要としていないのに、車を停める人が一定数います。和田さんは「車いすマークが描かれた駐車スペースには、一般の方をはじめとする幅の広い区画を必要としない方は駐車しないよう、ご協力をお願いします」と注意を促します。
さらに、お手洗いをする際も、車いすの方などは幅の広いスペースが必要なため、多くの施設には「バリアフリートイレ(高齢者や障がい者などの利用に際し、適切な配慮が必要なトイレの総称)」が備えられています。
主に、車いす使用者などのように広いスペースが必要な方や「オストメイト(お腹に排泄のための『ストーマ(人工肛門・人工膀胱)』を造設した人)」用の設備が使われているほか、乳幼児用設備が設置されているなどの“多機能トイレ”としても整備されている場合もあります。
しかし、このバリアフリートイレも、本来、必要のない人に使用されてしまって、そこでしか用を足せない人が困る場面も。バリアフリー施設や設備が設けられているのは“その施設や設備がないと困る方がいるから”ということを忘れずに行動しましょう。
最後に和田さんは、「社会には、さまざまな困りごとを生み出す障壁、バリアがたくさんあります。それらを取り除き、誰もが暮らしやすい社会を築いていくために、バリアフリー施設や設備の適正な利用にご協力をお願いします」と呼びかけました。
足立は今回のテーマを通して、優先席を必要とする人が来ても席を譲らない人がいたことに驚いたと言い、「優先席に座った際、必要とされる方がいらっしゃったときには譲る。エレベーターでも、車いすの方などがいらっしゃったら、どのタイミングであってもちゃんと譲る。これを心のなかに留めてほしい」とコメント。
一方、青木は「車いす使用者用駐車施設」について言及。「“ちょっとのあいだならいいだろう”という気持ちも分かりますが、その“ちょっと”という安易な考えによって、本当に必要としている方にとっては大きな負担になっている。そういう想像力を働かせることが大事ですね」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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3月10日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年3月18日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花