アーティストの坂本美雨がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「坂本美雨のディア・フレンズ」(毎週月曜~木曜11:00~11:30)。
今回の放送ゲストは、俳優の渡辺謙さん️。渡辺さんが出演する現在大ヒット公開中の映画「国宝」の撮影秘話や、坂本が作詞を担当した同作の主題歌「Luminance」などについて語っていただきました。
坂本美雨、渡辺謙さん
現在大ヒット公開中の映画「国宝」は、李相日(リ・サンイル)監督が映画「悪人」「怒り」に続いて吉田修一さんの小説を映画化。歌舞伎の女形の世界を描いた本作。任侠の家に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公の激動の人生を描いた人間ドラマです。
本作は吉田さん自身が3年間、歌舞伎の黒衣をまとって楽屋に入った経験をもとに書き上げた渾身の作品です。
主人公・立花喜久雄を演じたのが吉沢亮さん。喜久雄のライバルとなる歌舞伎名門の御曹司・大垣俊介を演じるのは横浜流星さん。そして、2人の指導にあたる歌舞伎名門の当主・花井半二郎を渡辺謙さんが演じています。
◆映画「国宝」の主題歌・作詞を坂本が担当
渡辺:僕がなんでこの番組「ディア・フレンズ」に出たかったかと言うと「国宝」の主題歌(「Luminance」原摩利彦 feat. 井口 理)の作詞を(坂本さんが)してくださったんですよね?
坂本:はい、そうなんです。
渡辺:李もここに出たときに言っていたと思うんですけど、あの人、基本主題歌って使わないんです。だいたい劇伴(※映画、演劇、テレビドラマやアニメなどの中で使われる音楽)で全部終わってしまうんですけど、試写で観たときに「すごいのを見つけてきたな」というか「はめたな」っていう気がしました。改めて詞を読んだんですけど、映画をご覧になって書いたんですか?
坂本:そうです。最終的なものではなかったですけど、オファーを受けたのが終盤だったので、だいたいは撮り終わっているものを(観ました)。
渡辺:僕は舞台が大好きで、向こう(アメリカ)で舞台をやらせてもらったりもしているんですけど、スタッフや他のキャスト、家族とか、とにかくいろんな人の支えがありながら、舞台に上がると1人なんですよね。
共演者はいるんですけど、ある部分で「芝居の神様とつながっていられるのか」「いられないのか」みたいなとこで、ずっと手を伸ばしているみたいなところがすごくて。この歌詞にはずっと「あなた」っていうのがあるんですけど、それは誰でもない、お芝居の神様。言ってみれば、エンターテイメントの神みたいなものに、「自分はつながれているのかどうなのか」っていう、ある種の渇望感とか喜びとか、そういうものがすごく入っているんですよ。
坂本:そうなんです。もちろん、主人公の喜久雄のことを「彼が幸せだったらいいな」って考えていました。やっぱりどこまで行ってもステージに立ったら1人で孤独だし、誰も助けてくれない。それで死んじゃったとしても……。
渡辺:悔いはないっていうかね。
坂本:うん。でもその神様のような存在に触れたんだとしたら、幸せだったと思う。
渡辺:さまざまな犠牲を強いながらね。だから劇中では「ほかには何もいらないから、自分の芸を磨かしてくれ」って、悪魔に魂を売ったんだって子どもに説明をするシーンがあるんですけど、僕らもやっていて、ちょっと近いところがあるんですよ、なのでこの詞は、僕にはやばい詞だったんです。
坂本:李監督にも個人的に伝えたんですけど、喜久雄のことを考えていたら、だんだんと自分の父と重なってきて、父がたどり着きたかったところというのは計り知れないんですけれども、音楽のなかでそれに触れたのかどうか、触れていたらいいな。満足して幸せだったらいいなっていうことも思いました。
渡辺:いままで40年近くやっているんですけど、神に触れる瞬間というか、何かとつながった瞬間というのは、僕も2回ぐらいしかないです。そういう意味では僕はとても恵まれて幸せな俳優生活だと思うんですけど、やっぱりみんな、そういうものを目指してやっているような気がするんですよね。「国宝」もね、映画自体が長いんですけど、この主題歌はぜひ最後まで聴いて受け止めていただきたいですね。
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来週のゲストは7月7日(月)三浦大知さん、8日(火)mekakusheさん、9日(水)大貫妙子さん、10日(木)高島礼子さんです。
<番組概要>
番組名:坂本美雨のディア・フレンズ
放送日時:毎週月曜~木曜11;00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dear/
番組公式X:@dearfriends80