脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
1月18日(土)の配信では「目標達成」に関する相談に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私は、何かを達成するのにとても時間がかかってしまいます。そのため、能力が普通よりも劣っているのだと思っています。その場をこなすことはできても、身に付いたり結果が出るまでに時間がかかり、心が折れてしまいそうになります。脳科学的に何か解決法があるのなら教えてほしいです。
<茂木の回答>
まず、能力的に普通より劣っているということはないと思います。文章を読みますと、ご自身のことをとても把握されていますし、おっしゃりたいことを書かれています。むしろ、とても言葉の力を感じます。
ご謙遜だとは思いますが、「他の人よりも能力的に」とあまり考えないほうがいいと思いますよ。それだけ努力をされているわけですから、まずはご自身のことを褒めてあげることが大事だと思います。
読んでいて感じたのですが、我々の小学生時代からの風潮と言いましょうか、何か自分のやりたいことがあったときに、準備運動をしなければならないみたいな風潮があると思うのですね。
たとえば、英語を使って仕事をしたいと考えたときに、まずは英語の勉強をして、英語の試験を受けて点数を取らなくてはいけない、みたいなことを考えたりしますよね。そういった、準備運動をしないと自分のやりたいことができない風潮というのは、僕は違うと思っています。
「自分のやりたいことを達成するために時間がかかる」とおっしゃっていますけども、最短距離でそこに行けばいいのではないかと思うんです。そして、それを相談者さんはできると思っています。
大切なことは、脳科学の言葉で言うところの動機付け(モチベーション)です。「こういうことがしたいな」と思っているのは、脳のなかの感情の回路である「扁桃体」なのですね。そこから大脳皮質がどうすればいいか計画を立てるわけですが、準備や段取りを考えると、どんどん話がややこしくなってくるわけです。ですから、直接目的に行ってしまうのがいいと思います。
そのために必要なのが「自分はできる」という“根拠のない自信”です。世間だと、資格を取ったりテストで合格すると“根拠のある自信”が生まれますよね。「これでやっと自分はできる」と思うかもしれませんが、そうではなく、まずはやってしまいましょう。
根拠のない自信というのは結局、まっしぐらにゴールへ向かう際に一番出るのです。そして、脳はそれができるようになっています。すでに行動を起こしていらっしゃると思うのですが、遅くとも必ず結果は出ます。焦らないことが大切です。
焦らず、準備運動はいらないという、根拠のない自信をぜひ持っていただきたいと思います。特に日本は真面目な国なので、何か資格がないとダメなのではないか、準備が必要なのではと思いがちですが、そうではありません。もっと自信を持って、自分のやりたいことを見極め、そこに向けて最短距離で行くことを実行していただけたらなと思います。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎