モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。12月13日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「マイナンバー総点検の結果」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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◆マイナンバーの総点検が完了
政府は12月12日(火)、マイナンバー情報総点検本部の会合を開き、マイナンバーカードをめぐるトラブルを受け、今年6月から進めてきた総点検の結果を公表しました。また、岸田文雄首相は「総点検の完了のメドが立った」として、今の健康保険証を来年秋に予定通り廃止すると表明しました。
吉田:塚越さん、まずはマイナンバー総点検の結果について教えてください。
塚越:政府はマイナンバーにいろいろな問題があったということで、6月に総点検本部を設置しました。今回、デジタル庁が11月までにおこなった総点検で、点検対象の8,208万件のうち8,206万件で本人確認が終了したことを発表しました。そのなかで発見されたミスなどが全体で約1万6,000件あったということです。
主なミスは、健康保険証で8,695件、公金受取口座で1,186件、障害者手帳で5,645件などということです。ミスの割合は、全体からすれば1%以下です。例えば、公金受取口座のミスの割合は全体の0.002%とされていて、全体から見ると低いかなと。
一方で、総点検とは別に、政府がマイナンバーと紐づけられた保険証の情報と住民基本台帳を照合したところ、氏名などが一致しないケースが約139万件あったということです。例えば「わたなべ」という名字には、「渡辺」「渡邉」「渡邊」など、さまざまな表記があるように、(このミスは)氏名の漢字などが間違って登録されていたということだと思います。
そのうち、(人物を取り違えるような)紐づけの誤りは450件程度と推計され、来年の春をめどに確認作業を終えるということです。紐づけの誤りも問題ですが、氏名が一致しないことで予期せぬシステムトラブルが生じる可能性もあるかなとも思います。
◆国民の不安は払拭されていないなか、紙の保険証は廃止へ
吉田:今の健康保険証の廃止については、どういった説明がされたのでしょうか?
塚越:批判が多いなか、岸田首相はもともと「保険証の廃止は国民の不安の払拭が前提」と話していて、この総点検の結果を踏まえてどうするか? ということですが、予定通り来年の秋に紙の保険証を廃止して、マイナ保険証に切り替えるという方針を述べました。
ユージ:不安の払拭が前提と言うわりには、払拭されていないですよね?
塚越:私もそうですが、皆さんも不安が払拭されていないですよね? それなのに「行くぞ!」ということになっているんですよね。
ただ、政府は紙の健康保険証の廃止後も最長1年は継続使用できる猶予期間を設ける方針とのことです。マイナ保険証の代わりとなる「資格確認書」や、暗証番号の管理などに不安のある、主に高齢の方や障害のある方を対象とした、暗証番号不要の「顔認証マイナンバーカード」を発行するなどいくつか対応を考えるということですが、「だったら全員、暗証番号不要にすればいいのに、面倒くさいことをやるなぁ」と思ってしまいます。そういうこともあって、国民からは根深い不信感がありますね。
厚生労働省が調べたマイナ保険証の利用率は、ピークだった4月は6.3%。これでも低いのですが、10月になると4.49%ということで、さらに減ってしまっているということです。
他にも、どういった原因かはわからないのですが、長野県の歯科医院では、ある患者のマイナ保険証が、顔認証付きカードリーダー(読み取り機)で読み込めず、それに怒って出ていってしまった……というニュースを「信濃毎日新聞」が報じており、医療現場からも不安や不満の声があるということです。
マイナ保険証を読み取るカードリーダー自体は、国の補助金なども出てかなり安く買えるのですが、場合によっては、システムの入れ替えでパソコンの購入や新規ソフトを導入するために数百万円かかるケースもあるとのこと。お金もかかるし現場の人間の負担もかかるということです。
ユージ:しかも、それで読み込めないとなると、利用者からの不満は続出しますよね。
◆税金を原資とした“ゴリ押し普及”に疑問の声
ユージ:マイナンバー総点検の結果と健康保険証を来年秋に廃止すること、塚越さんはどうご覧になっていますか?
塚越:一言でいうと「余計なことをしてくれたな」というのが、私の率直な感想です。私は情報社会学が専門なので、基本的にはマイナンバーなどには賛成の立場ですが、でも、それは“便利になる”とか“ミスがない”とかの信頼があってこそ。その信頼がない状態で進んでしまうということは、一般国民からしたら面倒です。
そして、思い出してください。マイナンバーカードは現在78%ほど普及しているのですが、これは「マイナポイント」という名のお金で国民を“釣った”わけですよね。ゴリ押しして普及させたと。
それで今回、マイナ保険証に関しても政府は、2023年度の補正予算案に217億円を確保しています。マイナ保険証の積極利用を患者さんに勧めるなどして、診療所などで患者さんがうまくマイナ保険証を活用してくれれば、「支援金」、いわば「報奨金」を出すよ、という制度に、その217億円を充てているのです。私たちがマイナ保険証を使えば使うほど、医療機関が潤うようにするということなのですが、これも結局、原資は税金で、私たちのお金ですよね。
マイナンバーカード普及のためのマイナポイントも、税金だったわけですよね。税金でゴリ押しして、こういうものを作るわけです。結局、私たちは不安だったり、不満だったり、不信感が募ったなかで(政府は)こういうことをやっているのですが、「岸田さん、本当にこれで大丈夫ですか?」と思いますし、多くの方々もそう思っているのではと思います。国民の不安や不満を払拭できなければ、まだ紙の健康保険証を使ったほうがいいと私は強く思いますね。
ユージ:どっちも活かしていく方向になるのかな? とも思ったんですけどね。僕も紙の健康保険証は残したほうがいいと思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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12月13日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年12月21日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世