モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。10月23日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「日本の労働力、2035年は384万人不足。必要な対策は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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◆2035年には384万人分の労働力が不足!?
パーソル総合研究所と中央大学は10月17日(水)、2035年時点の「日本の労働力不足」が384万人に達するという推計をまとめました。
吉田:塚越さん、まず、この推計について教えてください。
塚越:パーソル総合研究所と中央大学が、将来の推計人口や完全失業率、GDPといったデータを基に「労働市場の未来推計2035」をまとめています。
まず2035年の日本の労働力不足は、1日あたり1,775万時間となり、労働者に換算すると384万人分となります。これは2023年に比べると不足時間が1.85倍となるので、11年後は今より労働力不足が深刻になります。
その要因として挙げられるものとして、働き手は次の10年間で増えるものの、働き方改革などで1人あたりの労働時間が減るといった要因があります。この推計だと今後は働く高齢者の方と女性が増えるとともに、外国人労働者も205万人から377万人と大幅に増えます。
労働者全体では、2023年の6,747万人だったのですが、2035年になると6%増えて7,122万人になる見通しで、このなかに外国人労働者も含まれます。つまり10年後の2035年には、労働者全体が増えます。
ただ、労働者全体の年齢層をみると、基本的に増えるのは60代以上、特に定年延長などを含め、65歳以上の労働者は57%と大幅に増えます。そして、30代それ以下の世代の働き手は今より減ることになります。
一方、女性に関しては、20代後半~30代前半にかけて、結婚などで労働力率が落ち込んで、30代後半から再び上昇する、日本の特徴とよばれる「M字カーブ」という現象は解消される方向です。要するに、希望すれば結婚や出産後も働くことができる社会になるということで、女性労働者が増えることになります。
全体としては高齢者の労働者が増えるものの、若手が減る傾向です。基本的に日本の人口が減っていることが示されています。また女性の労働に関しては、働くにも「非正規雇用」が多いという別の問題もありますし、高齢者も働ける職種に制限があるかなど、注意が必要かなと思います。
◆副業しやすい社会、AIの活用で対策
吉田:この推計を踏まえて、パーソル総合研究所と中央大学は、何か対策を示しているのでしょうか?
塚越:基本的には2つあります。1つは、働く人や時間を増やす「活躍機会の創出」です。簡単に言えば労働力を増やすということですが、働き方改革で1人の労働時間は増やせません。なので、シニア労働者やパート労働、また副業を希望する労働者などを、時短勤務や隙間時間で働けるような労働市場を整備しようということですね。
もう1つはAIを利用して、人が少なくても仕事が回る「労働生産性の向上」です。これには「人への投資」、つまり研修などを行って労働者のスキルを高めることだったり、新しいテクノロジーを活用して、人が少なくとも回る仕事をしようということです。
まとめると高齢者やパート、副業で働く人が、隙間時間でも働きやすくする環境を作ること。もう1つは個々のスキルアップを応援して、スキルやテクノロジーで人が少なくても仕事が回る環境をつくりましょうということですね。
◆労働者のスキルアップを企業がサポートするのも手
ユージ:この推計を踏まえて、塚越さんは、どんな対策が必要だと思いますか?
塚越:最近だと企業と働く人をつなげる「タイミー」というサービスがありますが、隙間時間を利用した働き方ができるようになってきましたので、こういうところはいいのかなと思います。
一方、労働にはさまざまな種類があります。隙間時間で働けるものは、基本的には高度な技術力を伴わないものが多かったりします。だからこそ、少ない労働者のスキルアップを企業が支援して技術力を上げる手も必要なのかなと思います。非正規労働の扱いが悪かったんじゃないかという話もありますので、その辺りも考えていかないといけません。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世