ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
11月13日(水)のテーマは「がっかりで悲しい、でも驚かなかった NYのZ世代がハリス敗北への思いを激白 理由を分析!」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、アメリカ大統領選の結果について率直な思いを述べました。
※写真はイメージです
◆トランプ氏の勝利が“意外”ではない理由
これまで番組では、アメリカ大統領選について数多く取り上げてきました。圧倒的にリベラルが強いニューヨークのなかでも、多くが民主党支持に寄っているZ世代。ラボのメンバーもほぼ全員がハリス副大統領に投票すると表明していました。
バイデン氏が候補者だった頃、トランプ氏の勝利は確実だと思われていました。しかし、ハリス氏の出馬によって風向きが変わり、新しい未来に希望を抱いていた人々も少なくありませんでした。アメリカ大統領選はトランプ前大統領の勝利で終わりましたが、アメリカの若者たちは、この結果をどう受け止めているのでしょうか?
ノエ:驚きはしないけど、少しのショック、失望と不安を感じている。
ケンジュ:トランプが勝つと思っていたよ。特に暗殺未遂のあとではね。
メアリー:悲しくて悔しい。でも、全然驚きはしなかった。すでにいろんな情報があったからね。若い男性がリベラルに取り残されていると感じていて、だからトランプに投票し、それが勝利に繋がった。
それと、カマラがより共和党寄りになって、中道としての自分をアピールしようとしたのも失敗だったと思う。それで怒って離れた支持者もいたと思うから。
ヒカル:驚きはまったくなかったよ。特に今回の選挙では、民主党から本来の支持者が離れていったんだよね。たとえば、イスラエルとガザの戦争の問題は大きかった。何よりも、経済が最大の問題だったでしょう? 多くの人は今、生活が苦しいのは現政権の政策が理由だと感じている。つまり、カマラは現政権の一部なわけだから、結局何も変えてくれないと思ったんじゃないかな。
ミクア:がっかりしたけど、驚きはしなかった。カマラが勝つ希望は少しだけあったけれど、トランプが勝っても不思議ではないとも思っていた。だけど、限られた時間のなかで、カマラは多くの支持を集めたと思う。
特に、バイデンだったときには投票しないと言っていた人たちが、カマラになったことで「投票するかも」と言い始めた。だから、希望は持っていたんだけれどね。
ニューヨークZ世代の本音は「がっかりして悲しいけれど、驚きはしなかった」でした。カマラ氏の健闘が実を結ばなかったことを嘆いてはいますが、極めて冷静に現状を受け止めています。
Z世代専門家のシェリーはトランプ氏勝利の背景について、「経済を最大の案件としてハリスを徹底的に攻撃した作戦が、生活が苦しい有権者に刺さったということだと思います」と分析しました。
(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆アメリカ国民が抱える“怒り”に寄り添うべきだった
トランプ氏は差別的で、女性やマイノリティを攻撃する言動が目立っています。さらには、複数の有罪評決を受け、いくつかの刑事事件の裁判が進行中の状態で就任する、初のアメリカ大統領でもあります。その影響は選挙でまったくなかったのでしょうか? ラボメンバーたちは、ハリス氏の敗因について意見交換します。
メアリー:ハリスが失敗した主な理由は、「トランプは本当にあなたたちにとって悪い存在だ」ということを強調しなかったからだと思う。悪い点にあまり触れず、ただいい人ぶっていて、最初から負けていた感じがするんだよね。「みんな仲良く楽しく戦いましょう」みたいなメッセージって、ちょっとありえない感じもした。
一方で、トランプ側は「ハリスは共産主義者でファシスト。絶対に打倒する」なんて言っていた。ひどい嘘で攻撃されているのに、なぜ「いい人」でいようとするんだろうと思った。
とにかく、今の状況に多くの人が怒りを感じている。経済や外交政策、いろんなことに人々は怒っているのに、ハリスはその怒りの感情に訴えなかった。それどころか、「大丈夫。私たちは順調よ。次の4年間もこれまで通りに続けていきましょう」みたいに言っているように聞こえた。
シェリー:彼が有罪判決を受けたことについては?
メアリー:誰も気にしていない。どうせ政敵を倒すためのバイデン政権の陰謀だと思っているから。もし本当に罪人であっても、自分たちの仲間だから気にしない。
ヒカル:彼を支持する人たちは、ただの支持者ではなく「信者」のようなものだと思う。必ず大統領になるべきだと信じている、真の信者たちなんだよね。
トランプ氏を悪い存在として描ききれなかったばかりか、逆に攻撃されてしまったハリス氏。正しいかどうかは別として、トランプ氏は「不法移民を強制送還さえすればすべての問題が解決する」というシンプルなメッセージを打ち出し、国民の怒りに寄り添ってアメリカ人を連帯させました。人々が抱える不安や怒りにうまく向き合えなかったことは、ハリス氏が失速した要因の1つではないかとラボメンバーたちは考えます。
そして、その怒りのメッセージがもっとも響いたのは、実はZ世代の男性でした。11月6日放送の「NY Future Lab」では、男女の分断、女と男どちらが多く投票するかで勝敗が決まるとお伝えしましたが、結果は男性の勝ちだったようです。
<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/