ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
10月16日(水)のテーマは「大統領選直前にハリス失速? ニューヨークのZ世代がその理由を分析」。残り3週間を切ったアメリカ大統領選の現状について、「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が分析していきました。
※写真はイメージです
◆ハリス支持が凋落した背景を考察
11月5日に実施されるアメリカ大統領選挙。10月13日の時点において、全米の世論調査では、カマラ・ハリス候補がドナルド・トランプ候補に1パーセントの差をつけていますが、誤差の範囲なので完全に拮抗している状態です。
一時はトランプ氏を5パーセントまで引き離したハリス氏でしたが、ここにきて勢いに陰りが感じられます。アメリカのZ世代たちは、現状をどのように見ているのでしょうか?
メアリー:ハリスは一度勢いを得たものの、彼女の政策やスタンスが見えてきた時点で、勢いを失ってしまったと思うんだ。正直に言うと、またバイデンの選挙運動を見ているような気がするんだよね。
特に、ティム・ワルツ副大統領候補のような急進的な人物を迎え入れたのにもかかわらず、彼がほとんど本音を言えていない状況にある。民主党側にとって都合のいい話しかさせてもらっていないようにも思える。名前はハリスに変わったけれど、結局またバイデンに投票するかのように感じてしまう。
シャンシャン:私が思うのは、また2016年のヒラリー・クリントン対トランプみたいな対決になるような気がするってこと。たとえば、ハリスは一般投票で勝つかもしれないけど、トランプが選挙人投票で勝って大統領になるというシナリオだよ。
シェリー:どうしてそう感じるの?
シャンシャン:私たち若いZ世代の多くは、トランプには投票しない。なぜなら、トランプが自分で作り上げたイメージや、犯罪歴の影響が大きいから。だから、ハリスに投票すると思うんだ。だけど、より伝統的な価値観を持つ高齢層は共和党を支持する傾向があるからトランプに投票するよね。その票が多くなれば、またトランプが大統領になるという状況が現実になるかもしれない。
出馬当初、ハリス氏は若々しくて斬新なイメージで支持を伸ばしていました。しかしながら、税制政策では富裕層や大企業に歩み寄っていたり、化石燃料開発を容認、「人々から銃を取り上げるようなことはしない」という旨の発言をするなど、右寄りのアクションが見受けられます。
これはトランプを支持しない中道右派の票を得るためと理解されてはいますが、Z世代専門家のシェリーは「厳しい気候変動対策や銃規制を求める若いZ世代は裏切られたと感じているのも事実です」とコメントしました。
(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆消極的な理由で投票先を選んではいけない
ここにきて、Z世代の若者たちが再び注目しているのが、中東情勢です。パレスチナを含む中東情勢は悪化の一途を辿っている今、くすぶり続けていたこの問題が再び大きくなる可能性もあります。
ヒカル:みなさんは「Uncommitted National Movement」、どちらの政党も支持しない国民運動を知っているよね? 基本的には、民主党がイスラエルを支持し、大量虐殺をさらに推し進めようとしていることに怒りを感じ、それだけが理由で、カマラには絶対投票しないという運動なんだ。だけど、彼らにとってトランプはまったく選択肢にはない。
だから、民主党の予備選で彼らは「誰も支持しない」と書いて投票した。あれから彼らの意見は少しも変わらず、次の4年間を犠牲にしてでも民主党への怒りを示そうとしている。こういう人たちが激戦州であるジョージア、ノースカロライナ、ミシガン、ワイオミングには少なからずいる。激戦州で負ければカマラは勝てない。そうすると再びトランプの4年間になるね。
メアリー:アーティストのチャペル・ローンも「どっちの側もひどい」と言っていたよ。私たちの声や意見が反映されていない感じがするよね。最悪の事態を避けようとしているだけで、望んでいる最良の結果を追求しているわけではない。本当に全体的にがっかりだけど、どうすればいいかも分からない。
イスラエルのガザ虐殺を許しているバイデン政権に対し、怒りを感じている民主党支持者は、パレスチナなどアラブ系アメリカ人やイスラム教徒を中心に広範囲に広がっています。その影響から、ハリス氏には決して投票しないという人は少なからずいます。一方で、トランプ氏が大統領に選ばれると、今よりもさらにパレスチナが悲惨な状況になってしまうのではないかというおそれから、ハリスに投票する動きも出ています。
また、大学の抗議運動でも、親パレスチナ派と親イスラエル派が敵対するのではなく、戦争を止めようとしない権力という共通の敵に立ち向かうために共闘する動きもあります。こうした動きが票にどう繋がってくるのかも注目です。
アメリカのポップスターであるチャペル・ローンは、ハリスを推薦しなかったことで強い批判を浴びました。メアリーの発言は、チャペル・ローンがトランプ氏とハリス氏に対し「双方に問題がある」と表明したことを指しています。
この発言について、チャペル・ローンは「大量虐殺的な意見を支持することはできない」としたうえで、ファンに対しては「自分の考えで最良の選択肢を持って投票するように。そして現状に妥協しないように」と訴えました。「強い影響力があるアーティストが言ったから民主党を支持すべきというのではなく、自分の意志で投票するように呼びかけるチャペル・ローンに、若いZ世代は深く共感しています」とシェリーは述べ、話題を締めくくりました。
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10月16日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年10月24日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/