TOKYO FMグループの「ミュージックバード」で放送のラジオ番組「デジタル建設ジャーナル」。建設業界のデジタル化・DXを進めるクラフトバンク株式会社が、全国各地で活躍し、地域を支える建設業の方をゲストにお迎えするインタビュー番組です。一般になかなか伝わりにくい建設業界の物語を全国のリスナーに広めます。
3月30日(日)の放送では、山形県の東北電化工業のDXの取り組みに注目。東北電化工業株式会社 取締役経営企画部長の石川篤さんと課長の友部奈津美さんがゲストに出演しました。
<クラフクトバンク>
パーソナリティの中辻景子と田久保彰太が所属するクラフトバンク株式会社では、工事会社向け経営管理システム「クラフトバンクオフィス」を開発し、工事会社の生産性向上に取り組んでいます。また、工事会社の売上拡大を支援する工事マッチングサイトや、職人のための交流の場「職人酒場」の運営もおこなっています。
(左から)パーソナリティの中辻景子、東北電化工業株式会社の友部奈津美さん、石川篤さん、パーソナリティの田久保彰太
◆はじまりは銭湯の湯を沸かす事業?
中辻:まずは、東北電化工業がどんなお仕事をされている会社なのか教えていただけますか?
友部:当社は山形県山形市に本社がある、主に電気設備工事業を営む会社です。創業は1945年で、その2年後に東北電化工業を設立し、今年で78周年を迎えます。終戦直後、安価だった電気を有効活用し、山形市内の銭湯の湯を沸かす事業が当社のはじまりです。
当時の暮らしはランプを頼りにする状況で、山形県内に存在する無点灯集落の解消に力を注ぎ、戦後復興において人々の暮らしに希望をもたらす役割を担って参りました。1950年代には、養蚕業が盛んでして、養蚕電熱器を開発し、販路を山梨県まで広げるなど、独創的なアイデアと挑戦は当社の大事な文化として現在も受け継がれています。
地域とともに発展するという経営理念を掲げ、コンセント1つの増設から、ビルや商業施設などの大規模な工事まで、山形県内のみならず、宮城県、福島県、関東地区で事業を展開しています。そして、多くの技能技術者を育成しながら、お客様の満足を追求しております。
中辻:銭湯の湯を沸かす事業からスタートしたという創業のお話、素敵ですね。
田久保:電気工事の会社ならではですよね。
石川:今の社長のお爺様が創業者にあたるのですが、もともと電力会社に勤務していたんですね。退社されてこの事業を始めたというエピソードがあります。戦後の大変な時代のなかで、人の役に立ちたいという思いが強く、こういった企業像に至ったのかなと我々は感じています。
田久保:東北でも随一の規模の電気工事会社だと思うのですが、現在従業員は何名ほどいらっしゃいますか?
石川:3月1日時点で361名です。
田久保:山形だけでなく、いろいろなところに拠点があるんですよね?
石川:そうですね。宮城県、福島県、東京都の営業エリアがあります。6支社体制の20拠点です。エリアにわかれて地元のお客様に対してサービスを提供しています。
◆独自の基幹システムを開発
田久保:東北電化工業さんのデジタル化の取組みについてお聞かせいただけますか?
友部:当社の一番の強みになるところは、自社開発の基幹システムだと思っています。工事を受注する前の顧客、案件管理から施工管理、原価管理、さらに財務会計、人事給与まで、すべて連結された独自のシステムになっています。
確認したいときにすぐに情報が取り出せる、ルールを決めて必要な情報をストックする、リアルタイムで原価管理が把握できるといったシステムを構築しております。
田久保:システムはいつ頃、開発されましたか?
友部:今のシステムは2024年から稼働しており、基幹システム自体は10年おきぐらいで刷新します。
中辻:最初に基幹システムを導入したのはいつ頃ですか?
友部:30年ぐらい前から基幹システムはありますね。
石川:周りと比べて導入は早かったよね?
友部:早かったと思います。DOSの画面で動かしていました。
田久保:東北電化工業さんぐらいの規模の会社でも、20年30年ずっと同じシステムを使っている会社はけっこう珍しくないと思うんです。これだけのスパンでしっかり更新していらっしゃるのはなぜでしょうか?
石川:きっかけは、たぶん社員の「やりたい」という声だと思います。そこに社長、経営層が「やってみなよ」っていうスタンスなのかなと思いますね。ただ、やりたいって想いは、ある程度の責任を持って提案はしています(笑)。
◆「現場を支援する生成AI」を導入予定
田久保:今後、DXやデジタル化で取り組んでいきたいことはありますか?
石川:建設の現場に目を向けると、我々は電気設備工事をおこなう専門業者ですけども、書類とかやり方に対して主導権を持ってやれない部分があるんですね。そういった課題がある状況ですが、建設業界の全体を俯瞰しながら、いい方向に進んでもらえればいいかなと思っております。また、単独的な取り組みとしては生成AIですね。
友部:そうですね。生成AIとかデータドリブンに注力していきたいと思っています。
田久保:生成AIでどういったことをしていきたいですか?
友部:「現場を支援する生成AI」というものを採択しまして、一般的なChatGTPやCopilotとは異なる、現場に沿った回答が返ってくるようなものを導入します。みんなが求める回答が返ってくるかどうかはプロンプト(生成AIにおける指示や質問を与える文章)次第なんですよね。なので、プロンプトをテンプレート化して、全員の技術・知識で平準化できるようなものにします。
あとは、社内の仕様書なども、そこにあげてさえおけば、「PDFを開いて」とか「紙をめくって」といったようなことをしなくても、欲しい回答が得られる環境を作っていけたらなと思っています。
中辻:それができると大幅な効率化が見込めそうですね。
石川:まずは教育がメインですね。我々の仕事は一人前になるまで数年かかりますので、自由なときに自社ノウハウを取得できれば、何らかの支援になるかなと思っています。
◆今後の企業目標は「働くをたのしむ」
中辻:ここからは東北電化工業さんの未来、今後についてお伺いします。今後、取り組みたいことや目標はありますか?
石川:我々は今年、中期経営計画の初年度という位置付けになっておりまして、2028年に向けての中長期的な施策に取り組んでいます。一方で、世の中では不確実性が高まっているというか、これから先はどうなるかわからない状況が続いています。
現在は底堅い建設需要のなかで仕事をしていますけども、人口減少もありますし、これから先、仕事が減っていく可能性もあります。そういったなかでどうしていくかを考えると、変化やイノベーションが重要になってくるのかなと捉えています。
そういったところから、工事の仕事ですので、確実性、正確性はもちろんのこと、お客様や社員、協力業者といったステークホルダーの“納得感”をどう高めていくかも重要です。出会いや仲間づくりを重要視しながら、そういった取組みを2028年に向けてやっていきたいと思っております。
テーマは「働くをたのしむ」、お客様のお役に立って達成感や充実感を味わえる、そんな取組みをやっていきたいと思っています。そういった意味で、今後も人との出会いや組織づくりを引き続きやっていきたいです。
田久保:東北電化工業さんの組織づくりで、もっとこういう風にしていきたいと思うことは何ですか?
石川:関係性づくりは当然必要ですが、これからは「これをやってみたい」「こういう風にやったほうがいい」といった改善の文化、変化の文化を作っていきたいですね。
<番組概要>
番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子・八木橋育子・田久保彰太