藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。3月1日(土)の放送は、藤木による千葉ロッテマリーンズ・吉井理人(よしい・まさと)監督へのインタビューの模様をお届け。ここでは、投手コーチとして世界一に貢献した「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(以下:WBC)」について伺いました。
(左から)吉井理人監督、藤木直人
吉井監督は、1965年生まれ、和歌山県出身の59歳。現役時代は、投手として近鉄バファローズとヤクルトスワローズ(現:東京ヤクルトスワローズ)で3度のリーグ優勝、2度の日本シリーズ優勝を経験。メジャーリーグでも3球団でプレーし、現役を引退してからは3球団でコーチを歴任。2023年のWBCでは、日本代表の投手コーチを務めて優勝に大きく貢献。そして、2023年から千葉ロッテマリーンズの監督として指揮を執っています。
◆学び直しで“コーチング”を勉強
藤木:吉井監督は(2014年に)工藤公康さんらと一緒に筑波大の大学院に入学されていますが、これはいわゆるコーチングの勉強をしに入られたということですか?
吉井:そうですね。コーチになったときに、何をしていいかが本当に分からなかったんです。それに、(現役時代に)コーチや監督に言われて良かったこと、悪かったことを書き出したら、良かったことがほとんどなくて、悪かったことばかり出てきたんですよね(苦笑)。
藤木:ハハハ(笑)。
吉井:それで“コーチングって何だろう?”ということをずっと考えながらやってきて、(北海道日本ハム)ファイターズに5年いたのかな? いい感じでキリが良かったので、ちょっと1回勉強しようと思って(筑波大学大学院に)入学しました。
藤木:そこで習ったことで、“コーチングとはこういうことだ”と腑に落ちた部分はありましたか?
吉井:(入学前から)“大体こうなんだろうな”と思っていたことはあって。やっぱり、選手一人ひとり感じているものや考え方も違うので、コーチ発信でコーチングするよりも、選手がどう思っているのかをまずはしっかり聞いて、それに合わせてコーチングするのが本当のコーチングだなと、そこで確信しましたね。
藤木:監督が出された「最高のコーチは、教えない。」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本がありますが、僕、ビックリして思わずネットで買いました(笑)。
吉井:ありがとうございます(笑)。コーチが持っている技術を選手に伝えるのも1つの手であると思うのですが、大切なのは、選手が“やりたい!”と思うように気持ちを持っていくことですよね。“これをやるぞ!”と選手自身の意志で決定できれば、選手のモチベーションにもつながっていきますし、そうすると、こちらが教えたことがスッと入ってくるようになるんです。頭ごなしに言っても何も入ってこない、そういう意味で“教えない”ということなんです。結局は教えているんですけどね。
◆投手コーチで帯同した2023年「WBC」
藤木:2021年からは野球の日本代表・侍ジャパンの投手コーチもされて、感動的な世界一となった2023年のWBCでは、千葉ロッテの監督としての初年度でもありましたが、(両立は)大変だったんじゃないですか?
吉井:いや、楽しかった思いのほうが大きかったかな。(千葉ロッテの)監督のオファーがくる前に侍ジャパンのコーチをお願いされていて、“絶対にやりたい!”と思ったので、球団にも「やらせてください」と無理を承知で言ったら「いいよ」と言ってくれたんです。選手たちのおかげで、すごく楽しい経験をさせてもらいました。
藤木:やっぱり、ピッチャー陣がものすごく充実していたし、“日本のピッチャーが世界に通用するんだ!”ということを知らしめた大会になったと思います。
吉井:選手を選ぶところから楽しかったですからね。栗山(英樹)監督に「(投手の代表メンバーを)選ぶのを任せるよ」と言われてリストを作ったんですけど、そのときは“メジャーリーグで通用するだろう”という選手をいろんな角度から調べて選びました。
藤木:日本のなかでのベストというよりは、“対アメリカ”“対世界”に重きを置いて選手を選ばれたと?
吉井:そうですね。最終的に決めたのは栗山監督ですけれども、リストを作ったのは僕だったので、“この選手たちなら世界一になるな”というのは、メンバーが決まったときに確信がありました。
藤木:予選は圧勝しましたけれども、負けられない決勝トーナメントでは、(準決勝での)メキシコ戦とかしびれる試合がありましたよね。
吉井:そうですね。あのとき、当時マリーンズにいた佐々木朗希(現:ロサンゼルス・ドジャース)が先発で打たれてしまったので、“ちょっとヤバいな”とは思ったんですけれども、メキシコチームのリリーバーもだんだん調子が悪くなっていくのは分かっていたので、“侍ジャパンのバッターたちなら、きっと(試合を)ひっくり返すだろう”と思っていました。
藤木:そして、決勝の相手がアメリカで、今永昇太投手(現:シカゴ・カブス)が先発しました。しかし(試合前に)今永投手がブルペンで1球もストライクが入らなかったという……。
吉井:そうでしたね(苦笑)。
藤木:この状況は吉井さんも知っていたと思いますが、心配はありませんでしたか?
吉井:全然大丈夫でした。ピッチャーってそういうことはよくありますし、彼らはいろんな経験を積んでいるので。マウンドに立つと違うものが出てくるんですよ。
藤木:8回がダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)、そして9回は大谷翔平選手(現:ロサンゼルス・ドジャース)が登板して……まさに夢のような継投策でしたよね。
吉井:あれは、栗山監督が現場に「こうしたい!」と言ってきたんですよ。監督がプロデュースした演出だと思います。
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3月1日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月9日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里