脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を、TOKYO FMがお送りするポッドキャストポータルサイト「TOKYO FM ポッドキャスト」で配信中! リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
今回の配信では、「緊張との付き合い方」に関する相談に、茂木が脳科学の知見からアドバイスを送りました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
緊張をやわらげる方法を教えてください。私は人前での自己紹介や挨拶、意見発表、そして看護師として血圧測定をする時など、いつもドキドキしてしまいます。緊張すると早口になり、失敗も多く、回数を重ねてもなかなか上達している気がしません。これは性格なのでしょうか。それとも育った環境なども関係しているのでしょうか。緊張とうまく付き合う方法があれば、ぜひ教えていただきたいです。
<茂木の回答>
この「緊張」は、実は悪いことだとは限りません。緊張するということは、自分がやるべきことが分かっていて「何とかそれを成し遂げよう」としている証拠なのです。
脳の「交感神経」が働き、いわば「戦闘モード」になっている状態です。ドキドキして脈拍が上がるのは、戦うための自然な身体変化です。早口になるのも、敵との戦いであれば素早く動かなければ負けてしまうため、生物としては理にかなった反応といえます。
ただ、ここで知っておいていただきたいのは、最もパフォーマンスが上がるのは「リラックスしているとき」だということです。これがいわゆる「フロー」や「ゾーン」と呼ばれる状態です。
「パフォーマンスを上げたい」という気持ちが強すぎて緊張しすぎてしまうと、かえって空回りしてしまいます。「リラックスしているほうが、実は仕事の精度が高まるのだ」という知識を、まずは頭の片隅に置いてみてください。
では、どうすれば緊張を乗り越えられるのでしょうか。「回数を重ねても上達しない」とお悩みですが、実は回数を重ねることは非常に重要です。ある時、突然「慣れ」がやってきて、リラックスできる状況が訪れます。意識してやるのではなく「無意識に体が動く」ようになると、自然とリラックスできるようになるのです。
その際、呼吸法は非常に効果的です。早口になるのは呼吸が前のめりになっている証拠ですから、ゆっくりと呼吸しながら話すことを意識すれば、脳は次第に落ち着いていきます。
そしてもう一つ重要なのが、「オフの時間の過ごし方」です。交感神経に対して、リラックスを司る「副交感神経」を優位にする時間を作ってください。友人とのおしゃべりや食事を十分に楽しむことで、脳と体のコンディションが整い、いざという時のパフォーマンスが向上します。
一流のアスリートほど、本番以外でリラックスするのが上手なものです。ぜひ相談者さんも、オフの時間に人生を楽しみ、ワークライフバランスの「ライフ」を充実させてみてください。
仕事の現場を大切にしつつ、休日はしっかり心身を解放する。そうすることで、本番でもリラックスして最高のパフォーマンスを発揮できるようになるはずです。応援しています!
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎