きゃりーぱみゅぱみゅがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~」(毎週日曜12:30~12:55)。この番組では、きゃりーが自身の趣味や興味のあることについて語ったり、いま輝いているゲストをお迎えしたりしながら、さまざまなエピソードを1冊の本に見立て、紐解いていきます。今回の放送では、Base Ball Bearの小出祐介さん(Vo/Gt)をゲストにお迎えしてお届けしました。
(左から)パーソナリティのきゃりーぱみゅぱみゅ、Base Ball Bear 小出祐介さん
◆文化祭から始まった「25年の地続き」
今年で結成25周年、メジャーデビュー20周年という大きな節目を迎えたBase Ball Bearの小出祐介さん(Vo/Gt)。かつてテレビ番組での共演や、SNSの音声プラットフォーム「Clubhouse」でのニアミスはあったものの、じっくり腰を据えて話すのは今回が初めてという2人。世代を超えたポップアイコン同士が語り合った、音楽への向き合い方と「原宿」から「下北沢」へと続くカルチャーの変遷を紐解きます。
10代の頃に高校の文化祭で結成して以来、メンバーチェンジもなく走り続けてきたBase Ball Bear。小出さんは、この25年を「あっという間というより、ずっと地続きの感覚のほうが強いですね」と振り返ります。バンド結成の原点は意外にも「孤独」にありました。「友達が全然いなくて、友達がいないからギターを始めた人なんです。学校に軽音部がなかったから、有志でやるしかなかったんですよね」と小出さん。
当時、文化祭で盛り上がっていたのはHi-STANDARDや氣志團の派手なパフォーマンスのコピーバンドでしたが、小出さんはあえてストイックにスーパーカーなどの楽曲をコピーしていました。
「盛り上げようともせず、マジで演奏していました。文化祭で聴くには演奏が上手すぎたのかもしれない(笑)」と語るその姿勢は、すでにメジャーを見据えた「本気」なものでした。その後、高校3年生の春にデモテープを送ったことをきっかけに、メジャーという舞台へと動き出します。
◆「原宿のママ」と「下北沢の気負い」
今年デビュー15周年を迎えるきゃりーは、「原宿系」という記号を背負い続けてきた自らの未来について、ユニークな展望を明かしました。「原宿系って年齢とともにナチュラルになっていく人が多いけれど、私はあえて今の『原宿のママ』を目指してみたい。好きなことを継続しながら新しい挑戦をしたいんです」ときゃりー。
この問いかけに対し、下北沢のギターロックシーンを牽引してきた小出さんも、当時の自身の葛藤を重ね合わせます。「自分たちもかつては下北沢を背負い、ロックシーンの先端にいなきゃいけないという勝手な気負いがありました。でも、ライバル心や『負けられない』という尖った気持ちだけで突き進むと、本当に好きだった音楽から離れていってしまう時期があって」。40代を迎えた今、「小さい頃に好きだった音楽のピュアな感覚」を再び追い求めているといいます。自分が好きだったバンドやアーティストへの憧れを、今現在の視点で捉え直す。「今、それがめっちゃ面白いかもしれない」と小出さんは語ります。
Base Ball Bear 小出祐介さん
★Chapter#0 Library★
ゲストが背中を押された作品を紹介するコーナーで、小出さんが挙げたのは□□□(クチロロ)の楽曲「ヒップホップの経年変化」でした。そこで歌われているのは、「経年変化が 最強の進化」「経年変化が 人生の金貨」という力強い言葉です。
「若さというバリューに頼らず、熟成されていくことで初めて出てくるものがある」と語る小出さん。「いろんな先人たちを引用しながら、経年変化こそが人生の金貨であるっていうまとめがすごい曲だなって思って。僕って背中を押されるとか、これに励まされたとかっていうのはあまりないんですけど、この曲に関しては激しく同意です、みたいな」と小出さん。
そして、10代でバンドを始め、肉体的な衰えを感じることもありながら、それでも「熟していく」という視点を持つことで、新しいチャレンジへの勇気が湧いてくるといいます。小出さんは期待を込めてきゃりーに「原宿カルチャーの経年変化を、ぜひ我々に見せてくださいよ」と投げかける場面もありました。
◆あえて「映画館」へ行く価値とは?
お互いの質問タイムでは、きゃりーから小出さんへの「おすすめ映画」の相談も。映画通として知られる小出さんが提案したのは、香川照之さん主演の異色作「災 劇場版」。出会う人々によって人格を変えながら、周囲に死を振りまく男を描いたこの作品は、従来のミステリーのような「謎解き」をあえて拒む構造になっているといいます。「謎が明かされない面白さ」という高度な楽しみ方に、きゃりーも思わず身を乗り出していました。
そして、現在、育児の合間を縫って夜の数時間を自分の時間にあてているきゃりーは「限られた時間を無駄にしたくない」という悩みを吐露します。「年を重ねるごとに失敗したくないと思っちゃって。面白くない映画を見たときの苛立ちがすごいんです(笑)」。そんな彼女に対する小出さんの回答は「映画館」でした。小出さんは、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視しがちなサブスク全盛の今だからこそ、あえて「映画館」へ行く価値を説きます。
「映画館でお金を払って2時間も拘束される。もし大外れを引いたとしても、『この大外れに2000円を払った』という体験そのものが、サブスクで空き時間に見るのとは違う重みになるんです」。便利さゆえに「正解」ばかりを求めてしまう現代人にとって、「失敗さえも一つの体験として味わう」という映画館の豊かさは、小出さんからのひとつの処方箋のようにも響きました。
<番組概要>
番組名:CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~
放送日時:毎週日曜 12:30~12:55
パーソナリティ:きゃりーぱみゅぱみゅ