脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。
この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
12月14日(土)の配信では「気持ちの切り替え方」に関する質問に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私は仕事で嫌なことがあると、自宅に帰ってからもうじうじ考えてしまう性格です。気持ちの切り替えをするにはどのようにすればいいか教えてほしいです。
<茂木の回答>
実は、嫌なことをウジウジと考えてしまう性格は多くの人に見られています。これは性格の五大要素、ビッグファイブというものがあって、そのうちの1つに神経症的傾向(ニューロティシズム)というものがあり、そのなかでこの傾向が取り上げられています。つまり、人間の性格を作り出す五つの要素のなかに入るぐらい、うじうじ考えてしまうことはよくあることなのです。
祖先から人間の脳はどんどんと進化していますが、うじうじと考える、悩むという行為は、何か意味があるから残っているわけです。僕自身はうじうじと考えるタイプではありませんが、(うじうじ考えるタイプの人は)何でも前向きに明るく考える人が気付きにくいようなことに気付くのです。
また、小説家の方は、うじうじと考える性格の方が多いです。うじうじと考えるからこそ、人間関係や細かいところまで気付いて作品に活かすことができる面もあるようです。
一方で、気持ちの切り替えをしたいというお気持ちもよくわかります。この番組「ポジティブ脳教室」のもとになっている、ポジティブ心理学という研究分野は、「ポジティブな気持ち・考え方というのはネガティブな気持ち・考え方と表裏一体である」という認識からスタートしています。
心理学をさかのぼりますと、フロイトさん(※オーストリアの心理学者)たちが、悩みや苦悩にフォーカスを当てていたのがネガティブ心理学です。それに対して、もっと創造的にコミュニケーションを進められるようポジティブに考えていこうというのがポジティブ心理学。双方は非常に関係しています。
脳には扁桃体という感情の中枢があるのですが、それはネガティブなエネルギーをポジティブなエネルギーに変えることができる回路なのです。そのきっかけになるのがメタ認知。自分自身を振り返る、自分自身を客観的に見るといった視点があると再解釈ができるようになります。
たとえば、「仕事で失敗した」はネガティブなことですよね。だけど、「全部成功している人に比べれば、失敗している私のほうが学習するポイントはたくさんある」と考えればポジティブになります。そのように、メタ認知をして前頭葉を中心に解釈し直すと、ネガティブな考えが強い人ほど一気にポジティブな考えにすることもできます。
うじうじ考える性格だけど、メタ認知で解釈を変えてポジティブなエネルギーに変えている方はたくさんいらっしゃいます。視点を変えればポジティブな考え方が出てくるということをぜひ考えていただきたいです。
これまでは個人レベルの話をしましたが、職場の環境のことなど個人ではどうしようもない場合は、信頼できる上司や先輩に相談して助けてもらうのもいいかもしれません。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎