モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。今回の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「電動キックボード、自転車並みの扱いに」。情報社会学が専門の学習院大学非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
“手軽で便利な新しい乗り物”として利用が広がっている「電動キックボード」。警察庁は、一定の基準を満たした電動キックボードを対象に、現在の原付バイク扱いから、自転車と同様に歩道を走行できるなどの交通ルールを定めた「改正道路交通法」を2023年7月から適用することを発表しました。
◆「電動キックボード」ルール緩和へ
ユージ:電動キックボードの扱いは、どう変わるんでしょうか?
塚越:現状の道路交通法では、電動キックボードの車両区分は「原付バイク」になるのですが、これが「特定小型原付自転車」になります。これまでは運転免許が必要でしたが、改正されると不要になります。ただし、16歳未満は運転禁止です。
最高速度は時速30kmから20 kmに制限され、これまで禁止されていた歩道の通行も時速6 km以下であれば例外的に可能になります。
ヘルメットの着用は、義務から「努力義務」に変わります。そして車体の大きさが細かく規定され、速度を段階的に変えられる装置といった、いくつかの構造上の基準を満たす必要があります。
そしてもちろん「酒気帯び運転」や「信号無視」といった悪質な運転は、反則金の対象になり、繰り返すと講習が必要になります。現在、これらの基準に対応していない電動キックボードを持っている人もいるかと思いますが、仕様を変更できない限りは引き続き原付バイク扱いで、免許などが必要になります。
ユージ:簡単に言うと“ルールが緩和される”ということだと思うのですが、これは一体なぜでしょうか?
塚越:まず、電動キックボードの普及に伴い、これまで各地でさまざまな特例措置が取られてきたのですが、地域や車体によりルールが異なっていました。これが複雑になっていることや、電動キックボードのシェアサービス業者からの要望もあって、今回ルールを統一することになりました。
◆“海外の規制に合わせる”…という側面も!?
塚越:そして、「なぜ規制緩和されるのか?」「ルールが全体的に緩くなるのか?」というと、まずは「日本の産業競争力の強化」が挙げられます。電動キックボードは、海外ではベンチャー企業の参加が非常に多いんです。そこで日本でもベンチャー企業の育成と同時に、さまざまな新技術を早く導入して、産業としても強化しようということが考えられます。また、電動キックボードは、ちょっとした距離をパッと素早く移動できる上に、電気で走るのでエコだという側面もあります。
次に「海外との規制を合わせよう」という側面もあります。海外では2017年~2018年頃から、アメリカやドイツ、スウェーデンなどで電動キックボードのシェアサービス事業者がたくさん出てきており、主に大都市圏での移動手段として増えています。
海外で電動キックボードがスタンダードになれば、(外国人観光客が)日本に観光などで訪れたときに「日本では使えないじゃん!」と思われてしまい、マイナス(のイメージ)になることもありますので、今のうちに普及を進めて、観光資源力を強化しようという側面もあります。
一方で電動キックボードに、事故などの不安を感じている方もいると思います。日本でも2021年に29件の事故がありまして、昨年は酒気帯び運転の男性が亡くなる事故も起きています。海外でもシンガポールでは規制が強化されたり、フランスのパリでは事故や不適切な駐輪が問題視されて、最近「電動キックボードのシェアリングサービスの受け入れをどうするか?」を住民投票でおこなうことが表明されたりもしています。日本でも法改正、実証実験を含めて(準備期間が)3年程度ということで、非常に早いスピードで変化しているので、「こんなに早くて大丈夫なの?」という懸念の声もあります。
◆賛成派・反対派の意見は?
吉田:警視庁では一般の皆さんからの意見「パブリックコメント」を募集していますが(※現在は募集期間終了)国内ではどんな声が挙がっているのでしょうか。
塚越:ネットを見ますと賛否両論あります。賛成派の方は「自転車より楽」とか「新しいビジネスチャンス!」「SDGsに貢献できる」といったものがあります。一方で反対派の方からは「ルールを守らない人がいて事故が増えるんじゃないか?」とか「日本の道路に合っていない」といった声があるんですね。
実際に海外と比べると、東京を含め日本の道路は狭いので「電動キックボードが狭い道路・歩道で使われると危ないんじゃないか?」という声もあるということですが、お2人はどう思われますか?
ユージ:今おっしゃったとおりで、海外に合わせる必要はないのかなと思います。環境にもよりますが、海外はエリアによっては広い道や真っすぐな道が多いですよね。日本は入り組んだ道とか、特殊な道がたくさん存在するので、日本には日本のルールを作っていくべきかなと思いますし、免許はなくてもいいけれど、「講習は受講しましたよ」という修了証の発行はあってもいいかなと思います。
吉田:今、自転車専用レーンもだいぶ作られていますが、そこに車が停まっていると、車を避けるために車道に出て通過しないといけないですからね。そういったところも車を運転する私たちは気をつけないといけませんし、お互いに思いやりの気持ちをもって運転しないとですよね。
塚越:そうですよね。ビジネスチャンスでもありますし、これからもう少しルールを詰める必要があるのかなと思います。あとは、やはりマナーといいますか、使う人たちの譲り合いの精神だったり、そのあたりをもう少し時間をかけて注視していく必要があるのかなと思いますね。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/