ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
5月21日(水)のテーマは「日米カルチャー討論会② J-POP編 日本人より日本に詳しいアメリカ人と日本人高校生が対決! ATARASHII GAKKO!、AiScReamはなぜ人気?」。ラボのメンバーと日本人の高校生が、アメリカにおけるJ-POP人気の高まりについて語り合いました。
※写真はイメージです
◆ラブライブ!シリーズの楽曲が空前の世界的ヒット!
日本の高校生を交えてお届けする新企画「日米カルチャー討論会」。2回目のトピックは「J-POP」です。今回も日本の高校生・影林憲人くんをゲストに迎え、一緒に座談会をおこないました。
アメリカ人から見たJ-POPとは、どのような音楽なのでしょうか? まずはJ-POPに詳しい2人のラボメンバー、メアリーとノエがそれぞれ好きなアーティストについて話してくれました。
ノエ:今好きなのは「ずっと真夜中でいいのに。」。その前にちょっとXGにハマっていた時期があったよ。それからKing Gnuも好きだな。
メアリー:XGは最高だよね。XGの曲は全部好き。ただ、私はXGをJ-POPと呼ぶことに今でも抵抗があるんだ。なぜなら、彼女たちは基本的にK-POPの日本版だからね。それと最近めちゃめちゃ流行っているのは、やはり「ラブライブ!」の曲。もう私のインスタグラムは(ラブライブ!の曲で)すごいことになっている。「ルビィちゃん! 何が好き~?」ってやつ。これが今めっちゃ好き。
ノエ:わかる。最初はちょっと批判的だったんだけど、なんだかすごいことになっているよね!
アイドルの成長を描くメディアミックス作品シリーズの「ラブライブ!」。誕生から10年以上経つプロジェクトですが、次々と発表されるナンバリングタイトル、アニメやスマホゲーム、多彩な楽曲などで数多くのファンを集めています。
そんな「ラブライブ!」シリーズから新たに誕生したユニット・AiScReam(アイスクリーム)の楽曲「愛♡スクリ~ム!」が、今年に入ってから世界規模で大ヒット。YouTubeの再生回数は3,300万回を超え(5月21日時点)、この曲を使ったミームなどのバイラルビデオの総再生数は60億回再生を突破と、2025年最大のJ-POPヒットとも言える状況が続いています。
(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆アメリカ人はK-POPとJ-POPの違いをどう捉えている?
ラボのメンバーは、他にはどのようなJ-POPを聴いているのでしょうか。引き続きインタビューをおこないました。
メアリー:えーと、いつも制服を着ているグループ、なんだっけ?
ノエ:「ATARASHII GAKKO!」(新しい学校のリーダーズ)でしょ?
メアリー:そうそう。私の周りには、ATARASHII GAKKO!が大好きな人が本当に多いんだよね。他のJ-POPと違って、彼らの曲は「イエー!」とか「オー!」とかの繰り返しが多くて一緒に歌いやすいんだよね。
ノエ:確かに! そういう歌詞は今アメリカではトレンドなんだよね! そういえば、K-POPグループだけど、KATSEYE(キャッツアイ)っていうグループの曲もそんな感じでウケているよね。
メアリー:KATSEYEは韓国のテレビ番組から出てきたグローバルグループだからね。世界中からメンバーが集められている。
シェリー:憲人くん、KATSEYEは日本で人気はあるの?
憲人:いや、聞いたことはないですね。
ノエ:新しい曲は本当にひどいよ。
メアリー:わかるけど、なんか私、最近ハマっちゃっているんだよね。
ノエ:ハマるんだよ。なんだかやたらキャッチーなんだよね。前に、この座談会でブレイン・ロット(脳ぐされ)の話をしたでしょう? 歌詞に意味はないけどノリが良くて面白いみたいな曲の話。KATSEYEも以前のヒット曲はいいんだけど、最近の歌詞は「テスラ! フライドチキン!」みたいで、なんだか意味がわからないんだ。
歌詞がわからなくてもノリやすいことから、ATARASHII GAKKO!が人気を集めているという話から、K-POPグループの話に。実際KATSEYEやXGのように、J-POPかK-POPか区別がつかないグローバルアーティストも増えて、混乱する人も少なくないようです。
ここで、J-POPもK-POPもまったく聴かないというメンバーのミクアが、こんな質問をしてきました。
ミクア:J-POPとK-POPってどこが違うの? 歌っている言葉が違うだけではないの?
メアリー:全然違うよ。バイブスがまったく違う。私の解釈だと、J-POPのサウンドは2010年代あたりで止まっている気がするんだ。最近はK-POPのサウンドを真似る人もいるけど。
ノエ: K-POPは、アメリカの最新のサウンドにそっくりなんだ。アップビートのR&BとかCharli XCX(チャーリー・XCX)っぽい音を完璧に真似て、すごくトレンディで洗練された音を作っている。
メアリー:それはプロデューサーがアメリカ人だったりするからだよね。あと、自分で曲を書いているグループもほとんどいない。だから工場で完璧に大量生産された商品って感じ。
でもJ-POPにはそういう完璧さはない。むしろ完璧ではない個性というか、そのアーティスト自身の魅力で聴かせる音楽という感じがするな。
ノエ:K-POPにはアイドルしかいないけど、J-POPにはもっとアーティストらしいアーティストがいるよね。
メアリー:その通りだよね。J-POPではアイドルはほんの一部で、もっとずっと多様性がある。
「完璧」「大量生産」「アメリカの最新サウンド的」というイメージのK-POP、「完璧ではない個性がある」「アーティスト中心で多様性がある」という評価のJ-POP。ニューヨークのZ世代が、どのように東アジアの音楽シーンを見つめているかがわかるディスカッションとなりました。
国を挙げて世界中をマーケティングして大ブレイクしたK-POPのように、J-POPも海外展開を目指して力を入れていくべきなのでしょうか? ラボのノエと、日本の高校生・憲人くんがそれぞれの考えを教えてくれました。
ノエ:日本だって徹底的にブランディングをやれば、かなり儲けることができると思うよ。でもそこまで海外で売りたいと思っていないんじゃないかな。
憲人:日本で音楽を作っているアーティストたちって、自分の作りたい音楽の基準を海外で売るために変えたいとまでは思っていないと思うんだよね。
J-POPが今後どう海外展開するのか、独自路線を貫き続けるのか。それは未知なものの、シェリーは「いずれにせよ、海外からどう見られているかを知ることは、自分たちの文化を知るためにも大切ですよね」とコメントし、話題を締めくくりました。
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5月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年5月29日(木) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/