ラジオ発のエンタメニュース&コラム「TOKYO FM+」がお届けする、子育てに関するお役立ちコラム。今回は「保育園の洗礼」を経た「新生活への臨み方」について解説します。
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◆頑張りすぎないためのマインドセットを
慌ただしく過ぎ去った入園式から1ヶ月。新しい環境への期待とともに始まった新生活ですが、5月に入り、親子ともに少しずつ疲れが出てくる頃ではないでしょうか。「やっと仕事に復帰できた」という安堵感の一方で、連休明けの登園しぶりや急な体調不良に、戸惑いを感じている親御さんも多いかもしれません。
多くの家庭を悩ませるのが、終わりの見えない世に言う「保育園の洗礼」です。登園したと思ったら、お昼過ぎには「お子さんが熱を出しました」という職場への呼び出し電話。週末ごとに代わる代わる体調を崩す家族。仕事は一向に進まず、家の中は荒れ放題……。
「こんなはずじゃなかった」「自分たちの管理が甘いせい?」と、自分を責めてしまう方も少なくありません。ですが、断言します。この時期の体調不良は、誰のせいでもない「回避不能な通過儀礼」です。
今回は、新生活の荒波を親子で乗りこなすための、現実的な「低空飛行」戦略をお伝えします。目標は、高い理想を掲げることではなく「親子ともに生き残るだけ」で100点、というマインドセットです。
◆その1:「有給休暇」を使い切る覚悟を持つ
まず、大前提として認識しておきたいのは、この時期の有給休暇は「娯楽のため」ではなく「インフラ維持のため」にあるという事実です。
多くの親御さんが「復帰直後から有給を使い果たすなんて……」と申し訳なさを感じてしまうことでしょう。しかし、入園直後の子どもの体調は非常に不安定です。新しい集団生活の中で、今まで出会ったことのないウイルスに触れ、免疫システムを必死にアップデートしている最中なのです。
そのため、職場にはあらかじめ「しばらくは呼び出しが頻発する可能性がある」と伝えておきましょう。「休むのは当然」と割り切り、隠さずに共有することで、周囲も心の準備ができ、結果として自分自身の精神的な負担が減ります。
また、今の時期は、自分の実力の50%程度で回せる仕事量に調整するのが賢明です。残りの50%は、急な欠勤や呼び出しへの対応コストとして、あらかじめ空けておくのがいいでしょう。仕事の「バッファ」は最大に取っておきましょう。
◆その2:「病児保育」と「ファミサポ」は、元気なうちに登録を完了させる
呼び出し電話がかかってきた際、最もパニックになるのは「代わりの預け先がない」という状態です。
まず重要なのは「病児保育」の登録です。病児保育とは、子どもが急な病気にかかって集団保育が困難になり、かつ保護者が家庭で看護できない場合、代わりに看護師や保育士が、病院・保育所などの専用スペースで一時的に子どもを預かる子育て支援事業です。
多くの自治体の病児保育は、事前の登録と、事前の医師による診察が必要です。熱が出てから慌てて探しても、定員がいっぱいで予約が取れないことも珍しくありません。
次に、ファミリー・サポート(ファミサポ)の活用です。こちらは、子どもの送迎や預かりなど、子育ての援助を受けたい方と、援助をしたい方がそれぞれ会員となり、子育てを地域で助け合うための組織です。「親に頼れない」という家庭こそ、地域の公的なサポートを複数確保しておきましょう。
これらは、いわば「お守り」です。実際に使うかどうかわからなくても、複数の選択肢を持っているという事実が、親の心の安定(レジリエンス)を支えてくれます。
◆その3:「食事は作らない」という決意が家庭を救う
平日の夕食作りは、家事のなかで最も体力を削るタスクです。入園生活で親子ともに疲労困憊の時期に、栄養バランスを考えた一汁三菜を目指すのは、無謀と言わざるを得ません。
例えば、「今日は冷凍餃子とカット野菜のスープだけ」と決めてしまう勇気を持ってください。子どもがニコニコと完食してくれるなら、それがその日の「ベストな食事」です。冷凍食品とレトルトを「正解」にしてしまうのです。
それで食費が多少上がったとしても、それは「家族の平和を維持するための必要経費」としましょう。週末の作り置きすら負担なら、迷わずやめることをお勧めします。キッチンに立つ時間を10分減らすだけで、子どもと向き合って抱きしめる時間を10分作ることができます。外注コストを惜しまないことが負担を減らす鍵です。
◆その4:家事は「生存に不可欠なもの」だけに絞り込む
部屋の掃除や洗濯物の片付けなど、今まで当たり前にやってきた家事の優先順位を、あえて一番下まで下げてみましょう。
まず、掃除機をかけるのは週末だけでいい、と割り切ります。平日はクイックルワイパーで目につくホコリを取るだけで十分です。極端な話、「床が見えていればOK」というルールを設けてしまっても大丈夫です。
次に、乾燥機から取り出した服は、そのままカゴに入れておき、そこから各自が取って着る「カゴ運用」を取り入れてみてください。「洗濯物は畳まない」の精神です。
「家を綺麗に保つこと」よりも「親が睡眠不足にならないこと」のほうが、この時期の育児においては遥かに重要です。
◆「完璧」を目指さなくてもいい
春の「洗礼」は、いわば家族全員が新しいOSにアップデートされるための、避けては通れないロード時間のようなものです。親が完璧を目指してパンクしてしまえば、子どもの不安も増長してしまいます。
今は、仕事も家事も「低空飛行」で構いません。多少の遅れや荒れは、生活が落ち着いてからいくらでも取り返せます。大切なのは、家族全員が笑って(あるいはヘトヘトになりながらも)食卓を囲めていること。それだけで、あなたはこの激動の1ヶ月を、完璧にやり遂げたと言えるのです。
執筆者:石井さとみ