脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
1月4日(土)の配信では「仕事への向き合い方」に関する相談に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私は今、家と仕事場の往復の日々です。趣味などの時間が取れず、休みの日も仕事をしています。最近は何だか悶々としてしまい、この気持ちをどうすればいいかわかりません。どう対処したらいいのでしょうか?
<茂木の回答>
相談者さんのお気持ち、わかります。社会人になると、みなさん人生のかなりの部分を仕事の時間に費やすことになりますよね。ですから、まず大切なのは「仕事を楽しむこと」なのです。
仕事の楽しみ方ですけども、やらされた感じがあると楽しめません。たとえ上司から頼まれてやらなければいけないことでも、「私が選んでやってることだ」と脳内で変換しましょう。前頭葉には「再解釈の回路」というものがありますので、喜んでやっているのだと変換することは1つのやり方です。面倒くさいと感じることであっても「はい喜んで」と脳内変換してやると、意外と楽しめます。それがまず第一のポイントです。
第二のポイントは、やはり「オフの時間を持つこと」ですね。忙しくてオフの時間が持てなくなると、脳のディフォルトモードネットワーク、すなわちオフのときだけ活動する神経活動が起こらなくなります。相談者さんがおっしゃっている悶々というのは、まさしく自分のなかでいろいろと溜まっているのですね。経験をどう解釈したらいいかわからない、どう自分のものにしたらいいかわからない状態です。
難しいかもしれませんが、短くてもいいので仕事を一切忘れる時間を持つことが大切かなと思います。そのための1つのやり方はルーティンですね。たとえばシャワーを浴びてみる、好きな音楽を聴いてみるなどです。そういった形でオフの時間を自分で演出することが大事かもしれません。
そして最後に。仕事は1人で抱え込んでいると大変です。ワークライフバランスという視点から見ると、相談者さんの状態は必ずしも好ましいことではありませんよね。職場の同僚などに仕事の分担について相談してみるのもいいかもしれません。周りも忙しいかもしれませんが、相談しただけでも意外と気持ちは楽になります。
仕事を好きになる工夫をする、オフの時間を持つ気分転換をする、仕事の仲間にちょっと相談してみる、このようなことを心がけてください。少しでも気持ちが柔らかく、ポジティブになることをお祈りしています。今年が相談者さんにとっていい年でありますように。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎