フリーアナウンサーの唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NOEVIR Color of Life」(毎週土曜9:00~9:30)。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。
今回の放送では、フードスタイリストの飯島奈美さんが出演。人生の転機となった映画「かもめ食堂」のフードスタイリングなどについて語ってくれました。
飯島奈美さん
フードスタイリストの飯島さん。テレビCMを中心に広告、雑誌、屋台など食に関する各分野で幅広く活動。映画「かもめ食堂」をきっかけに、数多くの映画のフードスタイリングを手がけています。
◆独立後に「かもめ食堂」のオファーを受ける
唐橋:先週は飯島さんの幼少期のお話や、フードスタイリストの師匠・石森いづみさんのお話を伺いました。フードスタイリストの石森いづみ先生のもとで7年間師事され、紙面や映像のお仕事をされていたとのことで。そんな飯島奈美さんは1998年、独立を決断されました。
飯島:ドキドキです。当時、東京・代官山の駅前に移動式のコーヒー屋さんがあったのですが、「仕事が来なかったらこういうのをやってもいいのか」と考えて、いくらぐらいで始められるのか聞きに行ったことがあります。あの頃は仕事が来ると思えなかったんですよね。
唐橋:独立をされてどんな日々を過ごされていましたか?
飯島:最初は人の紹介でグラフィックの仕事をする日々が続いていました。そこからちょっとずつCMの仕事が来るようになっていきましたね。当時、よく仕事をしていた監督が心配してくださって、ご自分の映画を撮られるときにお昼ご飯やケータリングをお願いすると言ってくださって、よく作っていましたね。
唐橋:ケータリングによって監督さんに覚えてもらったり、役者さんとも接する機会が増えていったんですね。軌道に乗ったのはいつぐらいですか?
飯島:1人で暮らすには大丈夫だったんですけど、CMの仕事が増えていったのは2年ぐらい経ったぐらいですね。CMとか広告の撮影って1つの企業では1年に3~4回ぐらいなんです。レギュラーと言っても毎日あるわけではないので、数がないと毎日が忙しくならないので。
唐橋:そこから、会社を作られた。
飯島:だいぶあとですけどね。会社にしたのは「かもめ食堂」のあとぐらいです。
唐橋:では、フリーだったときに「かもめ食堂」のお仕事を?
飯島:そうですね。パンのCMをわりと早めにいただいたりして、小林聡美さんともお会いすることがありました。
◆劇中で印象的だったシナモンロールのレシピは?
唐橋:独立された飯島奈美さんの転機となったのが、2006年に公開された映画「かもめ食堂」です。この作品のお料理を担当されたのが飯島さんです! 出演が小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんのお三方です。
飯島:本当に素敵な方たちです。
唐橋:(きっかけは)小林聡美さんとのCMですか?
飯島:そうですね。独立して早い段階からパンのCMをいただいていて、2年ぐらいしてから小林さんがキャラクターになられて。そこで朝食とか作ったりしているうちに、一緒にフィンランドに行きませんか、と。小林さんから直接言われたわけではないのですが、プロデューサーさんたちが印象良く思っていてくださって。レギュラーの仕事もありましたが、「ここは行かないと」と思いました。1ヵ月半ぐらい行っていたので、大きな決断をしましたね。
唐橋:そういうときって最初に脚本は読めるものなんですか?
飯島:脚本を見る前から「行きたいです」と伝えていましたね。最初の段階で脚本を見せてくださいとは言えなくて(笑)。こういう企画ですよ、というのは見せていただいたと思います。
唐橋:そこからフィンランドに行かれて。食材選びって大変ですよね?
飯島:そうですね。着いてから、プロデューサーさんたちとお借りできる食器のお店に行くところから始まりました。そこから飾り付けをしたり、メニューも日本で考えていたものを向こうで食材を集めてテストしましたね。あと、「かもめ食堂」のシナモンロール。あれは場所をお借りしたお店のオーナーの女性の方から教えていただいたものです。
唐橋:そうなんですね!
飯島:言葉がわからなかったので「作るところを見てね」って感じで手伝って。それで無事においしく作れました。
唐橋:シナモンロール、おいしそうでした!
飯島:本当においしいんですよ。
唐橋:生地を器用に丸められていましたけども、あの手付きって小林さんですか?
飯島:はい。小林さんって器用で、天才的にいろいろ上手なんですよ。
唐橋:あと、おにぎりもおいしそうでしたねえ。
飯島:あのときって炊けたところから一連で撮る流れだったんですよ。ものすごく熱いご飯だったので、みなさんそのシーンが終わったら「熱!」って感じでした(笑)。
◆印象的だったシーンを振り返る
唐橋:映画「かもめ食堂」のなかで思い出深いシーンはどこですか?
飯島:おにぎりのシーンはもちろんそうですし、最後、満席になったときにカメラがゆっくり移動して客席の方がみんなそのタイミングで食べ始めるんですね。当時、外国人の方が箸をうまく持てなくて、(料理を)ポロッと落としちゃって。そうなると、料理を新品にしなければいけなくて。
唐橋:ああ~!
飯島:10人ぐらい食べてくださる方がいたので「次は落とさないで~!」みたいな気持ちでした(笑)。
唐橋:テイク数はどれぐらいありましたか?
飯島: 3、4回はあったと思いますね。
唐橋:そのたびに新しいお料理を?
飯島:そうです。「ここは新品」「ここは食べかけでいい」みたいにわけましたね。
唐橋:時間がかかりますよね。
飯島:たとえば、唐揚げだったら二度揚げしてすぐ出せるようにしておくとか、次の1回分を用意しておいて待たせないようにしたりしました。
唐橋:お話を伺うとまた映画を観たくなりますね。もたいさんがおにぎりを食べたあとの表情とか。
飯島:幸せそうに食べてくださいますよね。
2月のマンスリーゲストは、俳優・濱田マリさんです。
<番組概要>
番組名:NOEVIR Color of Life
放送日時:毎週土曜 9:00~9:30
パーソナリティ:唐橋ユミ