手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。11月18日(土)の放送では、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授に「アドバルーンを活用した津波避難研究」について伺いました。
※写真はイメージです
今回取り上げるのは「あなたに知らせる 津波避難のプロジェクト」について。
東北大学大学院2年生の成田峻之輔(なりた・しゅんのすけ)さんは、土地勘のない沿岸部を訪れた際“今、津波警報が出たらどこに逃げたらいのだろう?”という素朴な疑問を持ったことから、“津波から避難するときに、どこに逃げれば良いのかをひと目でわかるようにしよう”との研究をスタートさせました。
この研究に携わっている今村教授は、「『アドバルーンを使った津波避難誘導システム』とでも言うんでしょうかね。通常はお店の宣伝や広告に使うようなアドバルーンが、津波(避難)のために使えるんじゃないかと。具体的には、初めて訪れた土地で避難する際、しかも、多数のビルがあるなかで津波避難ビルがどれか分かりにくいケースがあるので、できるだけ遠くからでも津波避難ビルの場所が分かるように、建物の屋上からアドバルーンを上げたらどうでしょうか? という取り組みです」と説明。
沿岸の地域では、津波避難ビルや津波避難タワーの設置が自治体で進んでいますが、それと分かる目印が小さな看板(サイン)だけだったりするため、観光客など土地勘のない人には、どの建物が津波避難ビルか分からないなどの課題があります。こうした問題を解決するために“アドバルーンを打ち上げて避難場所を知らせる”という考えにたどり着いたそうです。
さらに成田さんは、津波警報が発表されると、避難ビルなどの屋上に設置された装置が警報を受信して自動でアドバルーンが打ち上げられ、どの建物に避難すれば安全なのかがひと目で分かるというアイデアを提案したり、アドバルーンを活用した避難場所の周知が実際に有効なのかを仙台市の沿岸部で1週間にわたって実証実験をおこなったそう。
この結果について今村教授は、「効果はありました。“見える認知”と言うのでしょうか。メッセージのデザインも変えたんですけど、アドバルーンを打ち上げることによって、いずれも(避難場所の周知の面において)良いという結果になりました。ただし、風が強かったり、天気が悪いときなどによって(アドバルーンを)上げることが難しかったり、斜めになってしまって文字が見えなかった、という課題もありました」と振り返ります。
今後、神奈川県鎌倉市でも実証実験をおこなう予定で、実用化を目指して実験を続けていくということです。若い世代の新しい発想が、いざというときに私たちの命を救ってくれるかもしれません。
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11月18日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年11月26日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋