杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
3月22日(日)の放送テーマは、「“聞こえにくさ”感じていませんか? 耳を大切に」。厚生労働省 障害保健福祉部企画課の大山雄太郎(おおやま・ゆうたろう)さんから、難聴の原因、その予防法について伺いました。
(左から)村上佳菜子、大山雄太郎さん、杉浦太陽
◆難聴で生じる深刻な影響
WHO(世界保健機関)は、2050年までに世界の約25億人が、何らかの「聞こえにくさ」を抱える可能性があると予測しています。さらに、12歳から35歳までの若者のうち、ほぼ2人に1人にあたる約10億人が、将来“難聴”になるリスクがあると指摘されています。
怖いのは、一度失われた聴力は“回復が難しい”とされていることです。加えて、難聴は徐々に進行することが多く、本人が気づきにくいという特徴もあります。気づいたとしても「年齢のせいだからしかたない」と考え、そのまま放置してしまう人も少なくありません。
しかし、聞こえにくさは決して軽く考えてはいけません。背後から近づく車の音に気づきにくくなるなど、危険を察知する能力が低下する可能性があるからです。そのため、近年ではさまざまな研究が進み、世界中で改めて“聞こえ”の重要性が注目されています。
聞こえにくくなると、相手の声をはっきり聞き取れず、何度も聞き返してしまうことがあります。そのたびに「相手に不快な思いをさせているのではないか」と不安になったり、聞き間違いから思わぬトラブルにつながったりすることもあります。
また、大山さんは「こうした出来事が続くと、家族や友人とのコミュニケーションさえ、うまくいかなくなる可能性があります。そして“会話がうまくできない経験”が重なることで自信をなくし、人と距離を置くようになり、“孤立”してしまうこともあるんです」と補足します。その結果、社会的な孤立がきっかけで“うつ病”になってしまう場合もあります。さらに、近年では難聴が認知機能に影響を与える可能性も指摘されています。今、“聞こえ”の問題が生活の質や健康に深く関わるテーマとして重要視されています。
◆“難聴”になる原因は?
では、難聴はどのような原因で起こるのでしょうか。主な原因の1つが「加齢性難聴」です。これは、年齢を重ねるにつれて徐々に進行するもので、一般的には40代頃から聴力が低下する傾向があるといわれています。65歳を超えると聞こえにくさを感じる人が増え、75歳以上では、約半数の人に症状が現れるといわれています。
もう1つの代表的な原因が「騒音性難聴」です。これは大きな音を長時間聞くことで起こるもので、音を伝える役割を担う有毛細胞が少しずつ傷つき、高い音から徐々に聞こえにくくなっていきます。症状はゆっくり進むため、自分では気づきにくいのが特徴です。主に工場や建設現場など、大きな音の環境で働く人に多い難聴として知られていますが、ヘッドホン・イヤホンで音楽を大音量で長時間聴き続けることによって引き起こされる「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」になる人もいます。
◆難聴にならないための“予防”が重要
加齢性難聴、騒音性難聴、ヘッドホン難聴、いずれの場合でも一度失われた聴力は回復が難しいといわれています。そのため、何よりも重要なのは“予防”です。耳を守る意識を持ちながら日常生活を送ることが、将来の“聞こえ”を守ることにつながります。難聴を予防するうえで大切なのは「耳に優しい生活」を心がけることです。基本的な対策として「テレビや音楽を大音量で聴かない」「騒音レベルの大きな音が常に出ている場所を避ける」などが挙げられます。
ただし、職場環境によっては騒音を避けられない場合もあります。その場合は、遮音性の高い耳栓やイヤーマフといった聴覚保護具を使用し、耳に届く音をできるだけ小さくすることが重要です。また、大山さんは「休憩を適切に取り入れながら、長時間にわたって騒音にさらされ続ける状況を避けることも大切です」と話します。
ヘッドホンやイヤホンによる難聴予防も考え方は同じです。音楽を聴くときはできるだけ音量を下げ、少なくとも1時間に1回、10分程度は耳を休めることが推奨されています。また、地下鉄の車内など周囲の騒音が大きい場所では、音量を上げなくても済むよう「ノイズキャンセリング機能」を活用することも効果的です。
WHOでは、難聴を防ぐための音量と時間の目安も示しています。成人の場合は80dBで週40時間、子どもの場合は75dBで週40時間が許容基準とされています。大山さんは「75〜80dBは地下鉄の車内や飛行機の機内と同程度の音量で、音が80dBを超えると、聴いていられる時間は一気に短くなります」と説明します。つまり、音が大きくなるほど耳への負担は増え、許される時間も短くなるということです。
◆“聞こえにくさ”を感じたら早めの受診を
日常生活のなかで聞こえにくさを感じたら、早めに受診することが大切です。補聴器の使用を検討する場合にも、まずは耳鼻科で診察を受けましょう。専門医の診察によって聞こえにくさの原因が分かり、場合によっては別の病気が見つかる可能性もあるからです。そのうえで補聴器販売店に相談し、「認定補聴器技能者」など専門知識を持つ人に調整してもらって、自分の聞こえの状態に合った補聴器を選んでください。
なお、補聴器は店舗や通信販売で購入した場合、原則としてクーリング・オフの対象になりません。価格も3万円台から70万円台まで幅があるため、家族と相談しながら内容をよく確認し、納得したうえで購入することが大切です。自治体によっては助成制度が設けられている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
また番組では、聞こえが不自由であることを示すと同時に、聞こえない人、聞こえにくい人への配慮を呼びかける「耳マーク」も紹介しました。聞こえにくさは外見から分かりにくく、そのために誤解を受けたり、不利益を被ったりするなど、日常生活でさまざまな不安が生じることがあります。耳マークは、そうした人たちのコミュニケーションをサポートする目的で作られたものです。大山さんは、「まだ認知度は高いとは言えませんが、このマークを見かけた際には、少しゆっくり話したり、必要に応じて筆談をしたりするなど、ちょっとした配慮が求められています」と強調します。
難聴は、本人が気づかないうちに少しずつ進行し、一度失われた聴力の回復は難しいと言われています。だからこそ、早めに気づき、早めに向き合うことが大切です。大山さんは「人生100年時代、会話を楽しみ、人とのつながりを大切にしながら、自分らしく暮らしていくためにも、耳の健康を意識してみてください。ちょっと聞こえにくいと感じたら、それは行動のサインです。どうか気軽に、耳鼻科を受診してください」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「聞こえにくさ」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず、村上は“ヘッドホン難聴・イヤホン難聴 少なくとも1時間に1回、10分程度は耳を休めよう!”とスケッチブックに書き、注意を促します。続いて、杉浦は「耳マーク」のイラストとともに“「聞こえにくいな」と感じたら耳鼻科を受診”を注目ポイントとし、「難聴について詳しく知りたい方は
厚生労働省のWebサイト
をご覧ください」とコメントしました。
(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm