TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。10月4日(金)の放送のテーマは、「トラックとの交通事故」について。交通コメンテーターの西村直人さんから、交通社会におけるトラックへの注意点について伺いました。
※写真はイメージです
◆トラックは普通自動車と比べて死角が広い
毎年10月9日は“トラックの日”。多くの人にトラック運送業について知ってもらうことを目的として制定されました。
日本の物流を支える重要な存在ですが、普通自動車よりも大きく重量があるトラックとの交通事故はとても危険です。トラックドライバーには細心の注意と万全の体調でハンドルを握っていただきたいのですが、多くの方はトラックの周囲にいる交通弱者(自転車、二輪車、歩行者などに該当する存在)です。
歩行者や自転車利用者の立場にあるとき、トラックと関わる大きな割合は交差点です。例えば、信号が青になり、歩行者や自転車運転者が横断歩道を渡るときに、左折しようとしているトラックに気付いても“交通弱者が優先だからといって、躊躇せずに横断し始めるのは危険な行為。なぜなら、トラックは普通自動車と比べて“死角が広くなる”からです。
横断歩道を渡る歩行者や自転車は、トラックの死角に入っているという自覚を持ち、例えば、大型トラックが左折をしようとしている横断歩道をわたる際は、運転手がトラック左側のドアミラーから確認できる位置にいるかを意識しましょう。
また、子どもに対しても“横断歩道は青になったら渡ろう”という教え方だけでは不十分です。横断歩道は青で渡ることを大前提として、左折しようとしている車があるときは“その運転手が自分に気づいているかどうかを確認してから渡ろう”と伝えましょう。死角の広いトラックの場合であれば尚更です。
◆トラックは急な方向転換ができない
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次は、車やバイクに乗っているケースです。まずは交差点でトラックとの衝突・接触を避けるためのポイントを紹介します。
トラックは積荷を積んでいるため、急にハンドルを切ると荷崩れを起こしてしまう恐れがあるので、急なハンドル操作はできません。例えば、二輪車で直進中に交差点で右折しようとしてトラックと遭遇した場合、トラックは重量があるので交差点を渡り切るまで相応の時間がかかります。
それに対して二輪車は小さいので、右折しようとする大型トラックからは非常に遠くにいるように見えます。ですので、二輪のライダーは大型トラックが右折を始めたと認識した時点で、速度を緩めるだけではなく、ブレーキをかけて“先にトラックを行かせる”という判断をしてください。
また、交差点でトラックが左折、二輪車が直進している場合は、内輪差に巻き込まれてしまう可能性があるので、二輪車は停止して内輪差のなかに入らないようにしましょう。
◆トラックとの衝突を防ぐために「二段階停止」を守ろう
続いては、トラックの直進時の追突事故について。高速道路の渋滞の末尾に乗用車のドライバーが遭遇した場合には、早い時点からハザードランプを点灯させ、注意を促しながら前の車との距離を車2台分ぐらい空けて停止してください。そして、後ろの大型トラックがきちんと止まったら、通常の車間距離に戻しましょう。
車2台分を空ける理由は、後ろの大型トラックが気付くのに遅れたとしても、左右に逃げて衝突を避ける猶予を設けるためです。ドライバーはルームミラーを確認して、安全な運転環境を保ちましょう。
最後に、トラックと出会い頭の事故を起こさないためのポイントです。例えば、乗用車が駐車場から本線道路に出るようなときには、距離を空けて安全確認をしっかりおこなってから道路に出てください。「“本線に入って急加速すれば、後ろにトラックが来ていても大丈夫だろう”と思われるかもしれませんが、(前方にも車がいた場合に)急ブレーキを踏むことになりかねません」と西村さん。
また、信号機のない交差点では、停止線の手前で止まり、その後もう一度本線に出る前に止まる“二段階停止”を心がけましょう。さらには、自分の車両の全体部分が大型トラックに確認してもらえるように安全確認をおこないながら、ゆっくり前進しましょう。
普通自転車であってもトラックには太刀打ちできません。自分の運転や行動が間違っていなくても、事故が起きると大惨事になってしまう可能性が極めて高いので、そのことを念頭に交通社会でトラックと関わっていきましょう。
<番組概要>
番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全
放送日時:毎週金曜 7:20~7:27