放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。今回の放送は、画家としても活躍されているタレントの倉中るなさんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)パーソナリティの小山薫堂、倉中るなさん、宇賀なつみ
◆幼少期の夢をそのまま実現!
倉中るなさんは、愛知県出身の29歳。中学3年生のときに名古屋でスカウトされ、高校生からモデルとしてデビュー。高校と大学ではデザインを学び、2019年ミス・ユニバース・ジャパンでファイナリストトップ5に入賞。2020年に映画「完全なる飼育」で俳優デビューを果たし、「甘いお酒でうがい」では主演を務めます。
TBSのテレビ番組「プレバト!!」の水彩画コーナーでは、初出演で特待生に昇格し話題に。医療現場や福祉施設での「ホスピタルアート」活動を通じた社会貢献や個展開催など、アーティストとタレント双方の活動で幅広く表現の可能性を広げています。
倉中さんの活動の根底にあるのは、驚くほどシンプルで、幼い頃から変わらない純粋な「好き」の気持ちでした。「元々絵を描くことが好きで、綺麗なものが好きでした。幼稚園のときのプロフィールで、すでに『モデルさんと画家になりたい』って書いていたんです」。そう語る倉中さんは、まさに幼少期の夢をそのまま現実のものにしています。
倉中さんが描く作品は多才そのものです。例えば、土地の砂を採取して顔料に混ぜ、1色のブルーだけで豊かなグラデーションを表現する抽象画作品『ディスタンス』があります。「拾ってきた砂が山であったりとか、水の近くであったりとかするだけで、砂の絵の具との吸収率に変化があって色味が全然違って見えるんです」と倉中さん。
デザインの基礎をきちんと学んできたからこそ、どんなテーマやタッチにも対応できる確かな技術を持っています。倉中さんは「上手く描こうと思ったことは、あまりない」と言い切ります。大事にしているのは上手さではなく「自分らしい工夫や見せ方」であり、何よりも「自分で体験すること」なのだそうです。
例えば、作品の素材に砂を使うようになったのも、福岡の玄界灘でビーチクリーン(海岸清掃)をした経験がきっかけでした。そこに転がっていた膨大なゴミの量に衝撃を受け、「この砂やゴミを使って、何か表現できないだろうか」と思考を巡らせた結果が、あの美しいブルーの絵画へと昇華されたのです。
◆「ホスピタルアート」で笑顔のコミュニケーション
倉中さんが現在、精力的に取り組んでいる活動のひとつに「ホスピタルアート」があります。これは医療施設や介護施設にアートを寄贈したり、入院患者や施設の利用者、そしてそこで働くスタッフたちと一緒にリハビリテーションの一環として絵を描いたりする活動です。
根津の介護施設で開催された大型イベントでは、町中の人々や通りすがりの人など、300人以上が参加して窓ガラスに絵を描く試みをおこなったそうです。普段、全く絵を描かない人のハードルを下げるために、倉中さんはユニークなアプローチで人々の心を解きほぐします。「筆の代わりに、日常にあるコルクや歯ブラシを用意するんです。そうすると、絵を描くというより、ゲーム感覚でマスを埋めていく遊びのようになります」。この工夫が思いがけない奇跡を生みます。
普段はなかなか身体を動かせない車椅子の利用者が、夢中になって少しでも遠くへ手を伸ばそうとする。それが自然と、心と身体のリハビリテーションになっていくといいます。そして、何よりも素晴らしいのは「絵を描いている瞬間」で、施設の中の普段の役割や関係性がすべてフラットになることです。アートを通じて全員が同じ目線で、ただ純粋に楽しむ。そこに生まれる笑顔とコミュニケーションこそが、倉中さんの目指すアートのあり方なのでしょう。
昨年に開催された個展「DISTANCE」から
◆10年の時を超えて届いた、祖母からの手紙
そんな倉中さんの人生に大きな影響を与えたのが「手紙」の存在です。「日頃の感謝を伝えるときとか、実家にいる頃はちょっと出かけるだけでも、母に置き手紙で『行ってきます』って、それが習慣でした」と振り返ります。
これまでの人生で最も記憶に残っている手紙について尋ねると、それは祖母が亡くなった「翌日」に届いたという奇跡のような1通の手紙でした。祖母が亡くなる10年前に、10年後の未来へ届くという新聞社の企画に託して書いた手紙。それが、あまりにも絶妙なタイミングで、彼女の手元に届いたのです。上京したもののコロナ禍が始まり、思うように活動できず、自分だけが世の中から取り残されたような不安と葛藤を抱えていた時期のことでした。
その手紙に書かれていた言葉が、今の倉中さんの確固たる「芯」となっています。「世の中は大きな編み物。小さくてもあなたのひと目は、ちゃんと意味がある。世の中の役に立つ、逞しくて優しい女性になってください」。この言葉に救われ、彼女は「もう一度、大好きな絵を描いてみよう」と前を向くことができたといいます。そして最後に、倉中さんが「上京した頃の自分」に向けて書き下ろしてくれた手紙を読み上げる場面もありました。
<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/post/
番組公式X:@sundayspost1