笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。1月31日(土)の放送は、株式会社CCIグループ 執行役員 システム統括部長で、北國銀行 執行役員 デジタル部長の吉田茂史(よしだ・しげふみ)さんをお迎えして、金融とデジタルを組み合わせたサービスについて伺いました。
(左から)吉田茂史さん、笹川友里
吉田茂史さんは、2003年早稲田大学大学院物理学専攻修了後、日本マイクロソフト株式会社に入社。その後、日本ビジネスシステムズ、オリックス銀行、日本IBMを経て、2024年に北國銀行に入社。2025年3月に現職の執行役員デジタル部長に就任しました。
◆東京から故郷・石川へ移住…そのきっかけは?
CCIグループ(旧:株式会社北國フィナンシャルホールディングス)は、石川県を本店とする北國銀行を起源に持つ総合金融グループです。2025年10月1日より旧名の北國フィナンシャルホールディングスから社名を変更しました。
CCIとは、Communication(コミュニケーション)、Collaboration(コラボレーション)、Innovation(イノベーション)の頭文字を取ったもので、「対話と協働を通じて新たな価値を生み出す」という価値観を社名そのものに込めており、吉田さんは「“(旧名に付いていた)フィナンシャル”を取りましたので、非金融のサービスにも全力で取り組んでいきます。かつ、それを北陸だけではなく首都圏や海外にも視野を広げていくという思いから、社名変更をさせていただきました」と説明します。
そんなCCIグループおよび北國銀行に、吉田さんは2024年に入社しました。外資系企業を含め、これまで一貫してデジタル領域を歩んできた吉田さんにとって、この転職は大きな決断となりましたが、その背景には、故郷・石川県で2024年に発生した能登半島地震があります。
当時は東京在住だった吉田さんですが、帰省中に被災し、約2週間の避難所生活を経験しました。「高校を出てからずっと東京での暮らしが続いていたのですが、(避難所生活中に)地元の環境が一気に変わる様を見て、人生についていろいろ考えて、“ちょっと拠点を移そうかな”と思い、自分から門を叩きました」と振り返ります。
◆デジタルは「enabler」その真意とは?
次に、笹川が「今、地銀に限らず日本中、そして、世界中の銀行のあり方が変わっているのかなと思いますが、ちょっと広い目で見て、今の銀行の過渡期、変革期っていうのはどう捉えていらっしゃいますか?」と質問。これに、吉田さんは「銀行だけに限った話ではないですが、変化する前後では、銀行業界は特にインパクトが大きいかなと思います」と言います。そこで重要なのが“デジタル”の存在です。
吉田さんはデジタルを「enabler(イネーブラー)」と表現します。「これは“新しい価値を生み出すための推進力”を意味する英単語なんですけど、以前は「システムなんて単なる手段だ」という考え方が多かったですが、僕はそれが大嫌いだったんです(笑)。デジタルは、その人、企業がやりたいことをやるために必要不可欠な推進力だと思っているので、“大きな変化”っていうところには、デジタルの影響が非常に大きいと思っています」と語ります。
◆吉田茂史が取り組む“2つのミッション”
そんな吉田さんが取り組んでいるミッションは大きく2つあります。1つは、インターネットバンキングをはじめとしたデジタルサービスの企画・開発などといった、プロダクトやサービスマネジメントの領域。もう1つが、キャッシュレス事業の推進です。そのなかで、キャッシュレス事業の一例として、次世代型デジタルカードサービス「one paretto(ワンパレット)」を紹介します。
これは、アプリ内で発行されるバーチャルカードでタッチ決済が可能になるサービスで、VISA加盟店であれば利用でき、ポイントも貯まります。また、申し込みから利用、解約まですべてアプリ内で完結している点も特徴です。
さらに、もう1つ注目サービスとして挙げたのが、デジタル地域通貨アプリ「トチツーカ」です。これは日本初となる預金型ステーブルコインを活用したサービスとして展開されています。アプリ内では、預金型ステーブルコイン「トチカ」と、自治体が発行するポイント「トチポ」を組み合わせて支払いができます。
たとえば、自治体から500ポイントの給付を受けた場合、足りない分を「トチカ」でチャージすることで合算払いが可能になります。ユーザーにとっては、通常の決済アプリと変わらない感覚で使える一方、裏側ではブロックチェーン技術を活用し、安全・安価にお金を扱える仕組みです。
また「トチカ」は、預金型という名前の通り日本円への換金も可能。つまり、チャージするだけでなく、引き出すこともできます。給付金に限らず、ボランティア活動や健康増進などで付与されるポイントを、日常の決済体験につなげていく狙いもあります。なお、現在「トチツーカ」が使える加盟店は石川県内全域で2,000店舗以上あり、「ここは大変なところでもありますが、(加盟店増加に向けて)鋭意開拓中です」と吉田さん。
こうした取り組みが評価され、「トチツーカ」は2024年度のグッドデザイン賞を受賞しました。この受賞については、「単にアプリのデザインの美しさが評価されたわけではないと思っています。“地域に貢献して社会を変えていく”と言っても、表現の仕方がいろいろあると思いますが、そのサービスの発想だったり、実現性だったり、ストーリー全体像を評価していただいた形なのかなと理解しています」と振り返ります。
そこで、笹川が「いろんな決済の手段があったと思うんですけど、そのなかでステーブルコインを導入し、それが地域経済や地方創生に貢献できているポイントはありますか?」と疑問を投げかけると、吉田さんは「ビジネス的に誤解を恐れずに言うと、いろんな関連コストが安価で済むのが一番大きいところかなと思っています」と答えます。また、データ面においても、「ブロックチェーン上で消えずに残り、それを利活用できるということで、地域内でも安全かつ安価、便利にデータやお金を循環させることが、ステーブルコインの強みかなと思います」と話していました。
次回2月7日(土)の放送は、引き続き吉田さんをゲストに迎えてお届けします。次世代の銀行サービスを創造する革新的な取り組みについてなど、貴重な話が聴けるかも!?
----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/