青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。2月12日(日)の放送では、農林水産省 輸出・国際局 知的財産課長の松本修一(まつもと・しゅういち)さんに、「ホンモノに出会おう! GI産品」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、松本修一さん、足立梨花
◆GI制度がつくられた背景とは?
GI(ジー・アイ)は、Geographical Indicationの頭文字で、日本語で“地理的表示”の意味です。日本の各地域には、その地域ならではの気候・風土といった自然条件や、歴史・伝統ある生産方法により育まれてきた素晴らしい産品が数多く存在します。このような産品の名称を知的財産として保護する制度が「GI制度(地理的表示保護制度)」であり、そのGI制度に登録されている農林水産物や食品を「GI産品」と言います。例えば、夕張メロン、神戸ビーフ、下関ふく、越前がになどです。
GI制度は産品の名称を保護する制度のため、「登録された産品だけがその名称を名乗ることができるようになります」と松本さん。また、たとえ同じ品種や材料、同じ製法で生産されたとしても、「違う地域のものであれば名称を使うことができません。違反するものがあれば、行政が取り締まります」と補足します。
ヨーロッパには、フランス語の“土地”を意味する言葉から派生した言葉で“テロワール”という考えがあります。それは“食品の品質は、生産される環境や地域に伝承された技術によって決まる”というもので、たとえ同じ材料を使い、同じ製造方法でワインやチーズを作っても、作った土地が違えばホンモノではない、という考え方です。
一方で、ヨーロッパからアメリカやオーストラリアなどへ渡った移民は、同じ材料や同じ製法であれば同じ品質のものが作れる、という考えのもと、移り住んだ町で同じ材料、同じ製法でワインやチーズを製造し、欧州の産品と同じ名称を使用しました。
こうした背景により、ヨーロッパが「生産者の利益を守り、ホンモノの名称の保護」を目的に作ったのがGI制度です。
今では世界100ヵ国以上で導入されており、日本では2015年に導入されました。現在は、EU(欧州連合)やイギリスとの間で、自国のGI産品と同様に、日本のGI産品も保護する約束が取り交わされています。また、GI産品として認められて登録される産品は、生産管理もしっかりおこなわれているのが前提で、逆に、しっかり管理されていないと、登録が取り消しになります。
◆121のGI産品が登録
日本では、GI産品にホンモノの証として「GIマーク」をつけることが認められています。GIマークには、富士山と日の丸を連想させる赤い丸に大きく“GI”と書かれており、「消費者は、このGIマークを目印にすれば、高い品質や(物づくりの)多彩なストーリーを有する“ホンモノ”を選べます」と松本さん。
また日本には、2023年1月31日(火)時点で121のGI産品が登録されています。例えば、近江牛、くまもとあか牛などのほか、なかには、くまもと県産のい草や愛媛県産の伊予生糸(いよいと)などの食品ではないもの、いぶりがっこのような加工品も登録されています。
例えば、加工品である干し柿は、現在、能登志賀ころ柿(石川県)、東出雲のまる畑ほし柿(島根県)、堂上蜂屋柿(岐阜県)、富山干柿(富山県)、市田柿(長野県)、伊達のあんぽ柿(福島県)といった6つが登録されています。
そのうちの1つである「市田柿」は、長野県下伊那郡高森町が発祥。小ぶりで特別に糖度の高い品種である市田柿のみを使用して作られます。ただ、市田柿という品種で作った干柿ならば、すべて「市田柿」という名称を使えるわけではありません。
この地域一体には天竜川が流れていて、柿の収穫期にあたる晩秋から初冬には朝晩の冷え込みにより天竜川から霧が発生します。これによって、干柿の生産に絶好の温度と湿度が整うそうです。こうした環境に加えて、乾燥させた柿を丁寧に揉み込むことで、もっちりした果肉になるのと同時に、果肉内から水分とともに染み出したブドウ糖の結晶である白い粉が柿の表面に現れて、干柿がまるでお化粧をしているかのような美しい仕上がりに。そのため、この地でしっかりとした生産管理で作られた干し柿のみが“市田柿”と呼ばれます。
◆GI産品と企業がコラボした商品も登場!
最近では、そんなGI産品と企業がコラボレートした商品も。例えば、あるお菓子メーカーは、GI産品である北海道の「今金男しゃく」というじゃがいもを使って、ポテトチップスを毎年秋頃から期間限定で発売していて、とても好評だそうです。
また、宮城県の団体と鉄道会社のグループ企業が、GI産品である「みやぎサーモン」を使った押し寿司弁当を共同開発。東京駅などで限定販売したところ、こちらもとても好評で、今では継続して販売されています。こうしたコラボレート商品にも、GI産品を使っていることがわかるように「GIマーク」が使われていて、消費者が選びやすいようになっています。
そして、「これからは観光の分野でも広がりが期待されている」と松本さん。例えば、GI産品を育んだ地域を訪れて、「GI産品を郷土料理として楽しんだり、収穫やモノづくりなどの体験をしたり、地元の方に実際に産地の物語を聞くといった旅『GIツーリズム』という構想もあります」と説明。
改めて松本さんは、「GI産品は、日本が世界に誇る地域の逸品です。ぜひ、多くのみなさんにGI産品について知っていただき、GIマークのある産品や商品を見かけたら、その産品が持つ風土、匠の技、伝統、品質といった産地の物語にも関心を持っていただければ」と呼びかけました。
今回のテーマに、足立は「とにかく『GIマーク』を探してみようと思いました! できるかぎり、こういうもの(GI産品)を選んで、高い品質のものを味わいたい、という年齢になってきましたから(笑)」とはにかみつつ、そうした消費行動が食文化を守ることにつながるとコメント。
青木は、GI産品と企業がコラボレートした商品があることに着目。「いろいろな広がりを感じますし、特に『GIツーリズム』などがどんどん広がっていけば、もっと日本の魅力が広がるのではないか」と期待を寄せていました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2023年2月20日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/