笹川友里がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月9日(土)の放送は、三井不動産株式会社 執行役員 DX本部長の宇都宮幹子(うつのみや・みきこ)さんが登場。商業施設におけるデジタル活用、DX人材の育成について話を伺いました。
(左から)宇都宮幹子さん、笹川友里
宇都宮幹子さんは、早稲田大学卒業後、1991年に三井不動産へ入社。総合職として住宅開発や法人・個人向けの提案営業など、デベロッパー業務の経験を重ねるとともに、IT部門でのシステム開発プロジェクトマネジメントやホテル運営会社への出向などを経て、2021年 執行役員に就任。2023年にDX本部副本部長、2025年からDX本部長を務めています。
◆一人ひとりに合った快適さを追求
三井不動産は、全国で展開している三井ショッピングパーク「ららぽーと」や東京・渋谷にある「RAYARD MIYASHITA PARK」といった商業施設をはじめ、オフィスビルや物流施設、住宅やホテル、研究開発向けの賃貸ラボなど、幅広い分野で街づくりを手がけている企業です。また、東京・六本木にある複合施設「東京ミッドタウン(六本木)」のように、オフィス・商業・住宅・ホテルなど複数の機能を組み合わせた「ミクストユース」の開発を強みとしています。
商業施設やオフィスビルといったリアルな場に加え、同社が力を入れているのがデジタルとの融合です。宇都宮さんは、大勢の人が利用する施設では「最大公約数的な快適さ」を追求しながら開発を進めるとしつつも、「本来“何が便利か、何が心地いいか”はお客さまによって違うはずです。そこで、デジタルはお客さま一人ひとりに合わせてカスタマイズできるのが非常に大きな特徴ですので、私たちはリアルとデジタルの組み合わせで、さらに価値を高めていくのが方針になっています」と語ります。
具体的な取り組みの1つが、三井ショッピングパーク公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」です。これにより、ららぽーとの店頭で見た商品を後からオンラインで購入することも可能になりました。このようにオンラインとオフラインを自由に行き来できる仕組みを整えることで、購買体験の利便性を高めています。
◆“店側と顧客”双方に価値を届ける
三井不動産では、店舗体験の価値向上にも注力しています。例えば、一部施設で展開するセレクトショップ「LaLaport CLOSET」では、3D骨格診断や AIを活用したカラー診断をもとにコーディネート提案をおこなうサービスを提供するなど、利用者から高い評価を得ています。宇都宮さんは「他のショッピングセンターとの差別化を図るのと、お店に来ていただいたお客さまにとっての新たな発見価値を提供できればと思っております」と力を込めます。
デジタル活用は顧客体験の向上にとどまりません。EC(電子商取引)による販路拡大や在庫最適化に加え、同社が持つ物流施設と連携することで、バックヤードの効率化も実現しています。さらに、専用の物流拠点では、商品を棚から取り出すロボットや自動梱包システムなどを導入することで、注文から配送までのスピードを向上させ、初期投資なしで利用できる仕組みも整え、出店側の負担を軽減しています。
こうした取り組みは、出店側にとっても商品を受け取る私たちにとっても大きなメリットになります。宇都宮さんは、「『ミクストユース』って、お客さまに見えるところだけがミクストになっていますけど、商業施設と物流というアセット(資産)をまたいだサービス提供ができるところも、総合デベロッパーとしての強みじゃないかと思います」と胸を張ります。
◆事業とデジタルを兼ねる人材を育成
三井不動産のDX推進の中核を担うDX本部の組織づくりには、同社ならではの特徴があります。宇都宮さんによると、DX本部には約150人が在籍し、その半数以上がデジタル分野の専門性を持つ「エキスパート人材」です。ただ、単にデジタルに強いだけでは不十分だとし、「当社は“リアルの施設”に強みがあるので、不動産業そのもののビジネスをきちんと理解することが必要です。なので、今は事業とデジタルの両方に精通した人材の育成に非常に力を入れています」と話します。
そんなエキスパート人材のバックグラウンドも多彩です。サイバーセキュリティ、ネットワーク、AI、マーケティングなど、それぞれの分野で経験を積んだ人材が外部から参画しています。一方で、社内の総合職といったビジネス側の人材は、必ずしもデジタルに精通しているわけではありません。だからこそ、両者が協働することに価値があります。「ビジネス人材の強みは本業、つまり現場をよくわかっているということ。エキスパートと総合職、ビジネス人材と一緒に問題解決をする組み合わせが非常にうまくいっているのだと思います」と言います。
そんな宇都宮さんが、今後の重点領域として挙げているのが「AI」です。現在は、さまざまなことを試しながら、どの取り組みがビジネスに貢献するのかを見極めている段階で、自身の業務においてもAIを積極的に取り入れているそうです。
特に効果を実感しているのがスクリーニング(情報の整理、優先順位付け)です。多くのレポートや資料に目を通す必要があるなかで、まずはAIに内容を読み込ませ、自身の課題に照らして重要度を「高・中・低」に分類させることで、効率的に情報を選別できるようになったそうです。
次回5月16日(土)の放送は、引き続き宇都宮さんをゲストに迎えてお届けします。社内での AI 活用や、AI が変える不動産と都市の未来についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/