放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。4月16日(日)の放送は、一般社団法人田中宏和の会 代表理事の田中宏和(たなか・ひろかず)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)小山薫堂、田中宏和さん、宇賀なつみ
田中さんは、自身の名前である“田中宏和”と同姓同名の人たちが集まる会「タナカヒロカズ運動」(漢字は違っても読みが同じならOK)を主催しています。
そもそものきっかけは、1994年のプロ野球ドラフト会議で、近鉄バファローズの1位指名選手が、同姓同名の田中宏和さんだったことでした。「それを知って本当に感激しまして、血液が逆流するような思いで喜びました。プロ野球選手になれた、ドラフト1位指名になれたという錯覚と言いますか、それが本当にうれしかったんですね。同じ名前というだけで、こんな体験ができるのかと。
その翌月くらいに、『文學界』(文藝春秋)という雑誌を読んでいたところ、そこの書籍広告にあった、文化人類学者の南方熊楠(みなかた・くまぐす)についての評論本を書いている著者が、田中宏和だったんです」と田中さん。
「プロ野球選手にはなるし、学術書も出すし、これは大変だなと思って(笑)。1995年の年賀状のネタに、“田中という名前は多い。同姓同名も多いから、みなさん気をつけましょう”みたいな年賀状を出したんです。それが始まりで、そこからなぜか毎年1人、新しい田中宏和さんが見つかっていったんです」と振り返ります。
また、田中さんには、名前にまつわるこんなエピソードも。自動車のローンを組むためにお金を借りようと銀行を訪れたところ、対応してくれた銀行員からは「田中さん、(自動車ローンのお金は)借りられません。多額の借金をされていることが調査で分かりました」と身に覚えのない言葉が。
というのも、田中さんによると、同姓同名で生年月日も同じ別の田中宏和さんがいて、多額の借金をしていたのは、もうひとりの田中宏和さんだったと明かします。
予想だにしない偶然の一致に、小山と宇賀は「え~っ!」と声を上げて驚きます。
毎年、同姓同名をネタにした年賀状を出しているうちに、田中さんのもとには別の“田中宏和さん”の情報が集まってくるようになっていったと言います。
そんなきっかけを知った小山が、「近鉄の田中宏和さんには、その後会ったんですか?」と聞くと、「お会いしました」と即答。「2010年に“タナカヒロカズ運動全国大会”を開いたときに来てくださって。我々にとっては、まさに銅像が動いているようなものなんですよ(笑)。うれしかったですね」と昨日のことのように笑顔がこぼれます。
それから時を経て、2022年10月29日(土)、田中さんは東京・渋谷の映画館を貸し切り、同姓同名の“タナカヒロカズさん”178人が集まり、「同姓同名の最大の集まり」ギネス世界記録を達成。
しかし、喜びも束の間、今年の2月4日(土)にセルビアで256人のMilica Jovanovic(ミリツァ・ヨヴァノビッチ)さんが集まり、ギネス世界記録を更新されてしまいました。
とはいえ、反響は大きかったそうで「去年の我々のギネス世界記録が、思いのほか世界的に報道されまして。世界44の国と地域、24種類の言語で、BBCのニュースと『ガーディアン』のヘッドラインニュース、FOXニュースとかで取り挙げられたんですよ。想像以上に(記録を)破られるのが早かったですけどね」と田中さん。
しかも上には上がいて「中国だと、29万人の同姓同名がいたりするんですよ」と言い、あまりの桁の違いに「ギネス世界記録を追い求めるのはやめようと思いました」と本音が。
それでも、同姓同名の人たちで集まること自体は「遊びとしては面白いです。ただ、日本で(タナカヒロカズさんの数は)上位200番目にも入っていないんですよね。統計的に700~800人ぐらいなんです」と話します。
そこで田中さんは、“同姓同名の集まり”をする世界の人たちと「異文化交流できるプラットホームがあったら面白い」と思い立ち、今年2月に「国際同姓同名連盟(International Same Name Association)」を設立。ひょんなことから始めた“タナカヒロカズ運動”がきっかけで、「国際平和のNGOが結果的にできちゃった……」と田中さん。
宇賀から「普段はどういう活動をされているんですか?」との質問に、田中さんは「普段は新しいタナカヒロカズさんに会っていくことをベースにしつつ、メディア出演の話があったり、あとは、タナカヒロカズさんが生まれたときはみんなでお祝い会を開催したりします」と答えます。
そんな田中さんの活動は広がりを見せており、「平成から令和への移り変わりのときだったんですけど、メールのタイトルからしびれましたね。『息子をヒロカズと名付けました』と」と語り始め、同姓同名にまつわるもうひとつのエピソードを紹介。
それは“タナカヒロカズ運動”を知って、あえて息子に“ヒロカズ”と名付けたというタナカさんからのメールで「『これだけいろいろな人たちと、生まれたときからつながれるのは子どもにとって資産になる』と言われたんですよね。去年10月のギネス記録挑戦のイベントでは、その子は3歳になっていました。そのときは80歳のタナカヒロカズさんと、3歳のタナカヒロカズさんがいて、2人は仲良くツーショットを撮っていましたよ」とうれしそうに話していました。
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/post/