TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、長年の親友でもあるみうらじゅんさんと、いとうせいこうさん。ここでは、みうらさんの初恋の人との思い出や、お風呂にまつわるこだわりについて語り合いました。
(左から)みうらじゅんさん、いとうせいこうさん
◆初恋の人が、実家のお風呂に…
みうら:大学生のときの夏、帰省したら実家の風呂が新しくなっていてね。付き合ってはいなかったんだけど、小学校のときの初恋のコがいてさ、「近所のお祭りに行こう」って誘ってくれてさ。
いとう:俺、よく聞かされた。お祭りのあの人ね。
みうら:そうそう、あのコ(笑)。「お祭りに行こう」って、うちの家に浴衣でやって来たんだよ。
いとう:いいじゃん。
みうら:いやぁ、嬉しくってねぇ。でも浴衣が汗だくでね。それを見たうちのおかんが「ちょっとお風呂入って行ったらええやんか」って言ったんだよ。おかんは昔から友達を風呂に入れるのが好きだったんだよ。
いとう:なるほど。風呂入れの体質があるんだね。
みうら:どうやらね(笑)。京都でいう「ぶぶ漬けでもどうどすか?」が、うちでは「風呂でも入って行ったらええやん」で。でも、それは悪気はないわけ。本当に風呂を沸かすから。「じゃ、せっかく言ってくれたはるんやから入れて貰います」って、そのコも言ってさ。
いとう:やっぱり汗だって流したいしね。
みうら:でも俺、それだけでもうドキドキでね(笑)。
いとう:まぁ、すごいよね。
みうら:付き合ってもいない初恋の人が……だからね(笑)。
いとう:自分の実家で風呂に入って、ザバーザバーってやってるってことだからね。
みうら:しかもだよ、うちの新しい風呂は(ステンレス製で)身体全体が丸写りになる風呂なわけ。
いとう:「撮影してんのか?」って思うぐらいの世界だよね。
みうら:ピッカピッカだからさ。次に僕が風呂に入ったときに、「あのコの全てを写したのか」って思うでしょ?
いとう:思う、思う(笑)。「あのコを写したステンレス浴槽が、いま俺を写してんのか」って。ある意味の合体性があるよね。
みうら:(笑)。同じスクリーンに映っているわけだから。
◆変化する日本人のお風呂の浸かり方
いとう:お風呂に浸かる時間は何分が適正なのか、とかってあるじゃん?
みうら:俺はせっかちで、洗ってすぐに出たい派だから、夏場は風呂に一度しか浸からないよ。
いとう:最初からザーッと始まっちゃう?
みうら:ううん、1回風呂にザブンと浸かって、洗って、出る。ひょっとしていとうさんは2回風呂に入る?
いとう:いまはね。でも、そういえば夏はもうしなくなっちゃったね。
みうら:じゃまくさいよね。「なんで二度も入らなきゃなんないのか」って思っちゃう。
いとう:昔は「よく温まったほうがいい」っていう信仰があったじゃん。だからまずザバーって流してから1回お風呂に入って、ちょっとゆでだこみたいな顔になったときにお風呂から出されて親から「洗え」って言われて、一緒になって身体を洗って。
みうら:串かつ屋でも2度づけはしないでって言われるのにね(笑)。昔は風呂の2度づけはフツーだったね。
いとう:あった。やっぱり「温まり信仰」がすごくあったからだろうね。
みうら:身体がポッカポカにならないとダメって風習ね。
いとう:でも結局、浸かるのは「おへそのあたりまででいいんだ」みたいなことになった。
みうら:半身浴のほうが実は心臓にいいんだっていうことになったよね。昔は洋風の風呂に入ったとき「こんなもん、首まで浸かれないじゃん」って思ったもんだけどね。
いとう:けど、実はあっちのほうが正しかったってことがわかってきたんだよ。
みうら:それ、日本の悪習だったね。だから俺もいまは1回で出るようにしているんだけどね。
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音声版「TOKYO SPEAKEASY」
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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/speakeasy/
番組公式X:@TokyoSpeakeasy