TOKYO FMの番組「FM EVA 30.0」。『エヴァンゲリオン』シリーズにゆかりのあるクリエイターや歌手・声優の方々をお迎えして、知られざる制作秘話を伺ったり、作品をこよなく愛するアーティストの方々をお招きして、ご自身の『エヴァンゲリオン』体験を語って頂きました。今回は、グラフィックデザイナー・市古斉史(いちふる・まさし)さんが登場。初めて『エヴァ』の仕事を手掛けた当時を振り返った模様をお届けしました。
市古斉史さん
昨年にリリースされた『EVANGELION 30th Anniversary Movie Collection』Blu-ray Box。とてもシンプルで、でもどこか『エヴァ』を感じさせるデザインを手掛けたのが市古斉史さんです。ほかにも、『エヴァ』にまつわるDVDやCD、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの劇場用パンフレット、30周年記念展「ALL OF EVANGELION」の公式図録など、『エヴァ』にまつわるさまざまなパッケージデザインを手掛けています。
◆『エヴァンゲリオン』の世界観を包む
市古:「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のパンフレットを作っていただけませんか?」っていうお話を最初にいただきました。当時もすごくビックリしたんですが、庵野(秀明)総監督って、パッケージからパンフに至るまで、すべて監督がされるんです。で、最初のときはどういうふうにパッケージだとかパンフを作っていくのが正解なのか分からなかったので、結構暗中模索をした記憶はありますね。
また、これは当時からなのですが、庵野監督と直接打ち合わせする機会ってほとんどないんですよ。打ち合わせをするのは、いつも助監督の轟木(一騎)さんなんですけれども。
その轟木さんはデザインの素養がある方なので、デザイナーの言葉でお話ができ、かつ庵野さんの趣味嗜好を非常にご理解されているので、庵野さんとのあいだに入って“翻訳してくれる”というか。「庵野さんは、こういうのが良かろう」っていうのを教えていただいて、2人で「こういうのがいいんじゃないかな」みたいな感じで作っていったイメージですかね。
とにかく『エヴァンゲリオン』が物凄い作品なので、それを包み込むものっていうのは、そこまでインパクトを感じるようなものでなくてもいいんじゃなかろうか、みたいなのはあって。もちろん、庵野監督自身がそれを願っていたので、そういう(デザインの)方向になっていったとは思うんですけども。
ただシンプルにするだけではなくて、庵野総監督の作品にも言えることですけど、“疎密が激しい”と言いますか。すごいスカンと抜けていたり、ガッと密度があったり、そういうコントラストを表現しているのがすごく印象的で。
自分のなかでも「よりシンプルでモダンなイメージにしたほうがいいだろう」っていうのはあったので。真っ赤なパッケージですごくシンプルだけれども、開けると逆に真っ黒で、さらに開けると、また真っ赤になっている。そのシンプルな表紙のデザインのブックレットを開くと、ものすごい情報量の文字とか、その設定の資料が出てくる。そういうふうに『エヴァンゲリオン』の世界観を包むことを意識してデザインしていますね。