笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月14日(土)の放送は、株式会社ima(アイマ)代表取締役CEOでアーティストの三浦亜美(みうら・あみ)さんをお迎えして、職人とAIの親和性やAI活用について伺いました。
(左から)三浦亜美さん、笹川友里
三浦亜美さんは愛知県名古屋市出身。大学時代に起業し、事業譲渡後、マイクロファイナンスを立ち上げるため、バックパッカーとして単身世界一周の旅に出ます。帰国後、株式会社サンブリッジにて、海外クラウドサービスの日本進出の支援、インキュベーション施設の立ち上げなどに従事します。2013年に株式会社imaを創業し、現在はメディアアーティストとしても活動中です。
◆ima創業の経緯
株式会社imaは、アートやテクノロジー、企業活動といった一見かけ離れた領域を横断しながら、「今」という瞬間の価値を社会に届ける事業を手がける会社です。その代表取締役CEOであり、アーティストとしても活動するのが三浦さんです。
まずはima立ち上げの経緯について伺うと、三浦さん自身のバックパッカー時代の経験が原点にあると言います。学生時代に立ち上げた最初の事業を人に譲った後、世界一周の旅に出た三浦さん。そのなかで「過去や未来のことをよく考えることはありますが、“今”を感じることはなかなか難しい」といった考えを持つようになります。
そのタイミングでセンスのあるアート作品などに触れたとき、ある共通点に気づきます。それは、感性に優れた人たちは「今」という瞬間を鋭く捉え、自分が見ている美しい世界や“こうあったらいいな”を形にしているということです。「この“今”という瞬間を大事にしたときに、その“合間(あいま)”を取り持つ人がいないと、すごく美しい作品でも美術館がなければ人には見てもらえないし、素晴らしいサービスであっても人に知っていただけなければ使ってもらえないので、そこから始まりました」と語ります。
◆アナログとデジタルをつなぐ事業を展開
三浦さんは、起業家の発想についても独自の視点を持っています。多くの起業家は、既存のものを今風にアップデートした形を生み出す発想が多いなか、「うちがやっていることは、“一見関係が遠いようなものを結びつける”事業をおこなっているので、ちょっと目新しく見えるような気はします」と分析。
この姿勢は、熟練技術とAIを結びつける取り組みにも表れています。現在、三浦さんは山九株式会社でデジタル顧問を務め、実際の現場に足を運びながら取り組みを進めています。三浦さんいわく、現場には長年の経験によって培った「勘」をもつ職人がいるとし、「そういう“勘”をAIに教え込ませれば、その方々がお休みをしたときでも『この人ならこうしているはずだよ』と(職人がいなくても)若手に教えてあげることができるはず。それって実は未来につながっていくのではないか」と力を込めます。
この取り組みを聞いた笹川も、「“アナログとAIは意外と相性がいい”と、いろいろなゲストがおっしゃっていました」と番組を通じて得た気付きを伝えると、三浦さんも大きくうなずき、「現場に近ければ近いほど、テクノロジーとの相性はいいんじゃないかなっていうことを、なんとなく感じています」と所感を述べます。
◆AIの力でシラウオの価値をアップ
三浦さんの活動は、アートやテクノロジーを通じて、これまで価値化されにくかった現場の知恵や感覚に光を当ててきました。その例として、笹川は「霞ヶ浦シラウオ×AI」というプロジェクトに注目します。これは、水産資源の保護と価値向上を目的としており、「“AIで魚を目利きしよう”という発想から生まれた取り組み」と説明します。
プロジェクトのきっかけは、三浦さんの身近な体験からでした。自宅近くにある霞ヶ浦で獲れたシラウオを知人からもらい、そのおいしさに驚いたそう。その一方で、東京の流通事情を調べてみると、茨城産は東京から1時間ほどの距離にあるにも関わらず、あまり流通していないのに対し、茨城よりも遠い青森県や島根県からは多く出回っていることが分かり、そこに疑問を抱いたと言います。
そして、さらに深堀りをしていくと、霞ヶ浦周辺に大きな市場がなく、流通や価格の判断は地元の卸や漁協などが担っていることが分かり、「その方々に現状を聞いてみたら、どういうふうに魚を食べているかが分かるかなと。その結果、地産地消で終わっているものがたくさんあることに気づきました」と三浦さん。そこで「鮮度が高い状態で、本当に価値を感じてくれる人に届けられないか」と考え、辿り着いたのが“AIによる目利き”です。
評価を人ではなくAIがおこなうことで「AIが判断した」という中立性が担保されます。また、最良の状態を知り尽くす漁師たちの評価を数年かけてAIを学習させ、魚の鮮度を4段階で評価できるAIを開発しました。その結果、導入して以降、シラウオの価格が従来の5~8倍で取引されるようになったそうです。
テクノロジーの導入は“人の労働を奪うのでは?”と言われがちですか、三浦さんは、このプロジェクトを通じて「『続けるのは無理』と言っていた漁師さんが『続けたい』と思えるきっかけになれば」と語ります。
そして、現在も大学の研究者とも連携しながら実証を進め、将来的には仕組みそのものを漁協などに引き継ぐことを視野に入れているとし、「これから他の分野でも、違う形でこの仕組みを作ってみようと、うちの会社で進めています」と未来を見据えていました。
次回2月21日(土)の放送は、引き続き三浦さんをゲストに迎えてお届けします。“AIアート”の世界についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/