株式会社ジャパンエフエムネットワークが制作する全国JFN系列22局ネットで放送中のラジオ番組「となりのカイシャに聞いてみた!supported by オリックスグループ」。意外とあなたの近くにある、地元で活躍するカイシャ。「そこに辿り着くまでの話」や「事業への想い」など、明日へのヒントになる話から、地域のお気に入りスポットまで、地域に密着してお届けする企業応援ビジネスバラエティプログラムです。パーソナリティは小堺翔太が務めます。今回は、仙台のDate fmで放送中の「Morning Brush」パーソナリティの深井ゆきえがパートナーを担当。
2月28日(土)の放送では、先週に引き続き株式会社タゼン 代表取締役社長の田中善(たなか・ぜん)さんをゲストにお招きして、重視してきた企業方針、経営の転換点について話を伺いました。
(左から)パーソナリティの小堺翔太、株式会社タゼン 代表取締役社長 田中善さん、アシスタントの深井ゆきえ(Date fm エフエム仙台)
◆企業が重視するのは「職人商人たれ」の精神
宮城県仙台市に本社を構える株式会社タゼンは、1596年に創業。19代にわたり御銅師(おんあかがねし)の技を受け継いできた老舗企業です。伝統的な銅製品の製造・販売に加え、現在は給湯器や水回りを中心とした住宅リフォーム、設備事業も手がけ、地域の暮らしを支え続けています。
長い歴史のなかで同社が大切にしてきたのが、社長・田中さんの語る家訓「職人商人たれ」という教えです。技を極めるだけでなく、売り方を考え、お客さまの顔を見て向き合うこと。その姿勢は、かつて職人自らが製品を届け、設置し、説明し、集金までおこなっていた時代にも貫かれていました。
大量生産が主流となるなかで効率面では不利だったものの、田中さんは「お客さんと顔を合わせることで信頼が生まれ、関係が深まっていった」と振り返ります。その積み重ねが、地域に根を張るような強いつながりを育み、400年以上にわたる継続につながってきました。「細く長く、蜘蛛の糸のように地域に根差していきました。全国発展はしなかったですけども、そういうものがあったからこそ、生き残れたのかなと感じています」と語りました。職人と商人を兼ねる姿勢こそが、タゼンの変わらぬ原点です。
◆若手の御銅師が増えた背景は「共感」
田中さんは、御銅師の後継者育成や技術継承について「今は求人に困っていない」といいます。しかし、7~8年前までは決して順風満帆ではありませんでした。当時はリフォーム業界そのものや営業職の仕事が若い世代から敬遠されがちで、思うように人が集まらず、人手不足に悩む時期が続いていたといいます。
大きな転機となったのは、会社の原点でもある創業の歴史や、「御銅師」という存在を改めて事業の軸に据え直したことでした。銅製品づくりにとどまらず、ガス工事や水道設備、さらには住宅リフォームまで幅広く手がける自社の仕事を、田中さんは「生活への伝道」だと捉え直します。日々の暮らしに寄り添い、快適さや安心を届けるという考え方に共感する人が少しずつ増え、現在では若い御銅師も育ち、実際に銅を打てる職人は5名にまで増えました。
職人たちは工房での製作だけでなく、営業やリフォームの現場にも積極的に携わっています。田中さんはこの働き方を「どちらも同じ、職人商人」と表現します。お客さんの顔を直接見て、要望や不満の声に耳を傾けながら、より快適な暮らしを提案し、伝えていく姿勢こそが大切だと考えています。
こうした価値観に行き着いた背景には、田中さん自身の長年の経験から得た気づきがありました。「銅が伝道」なのだと実感したのは、職人として15年以上の歳月を重ねた頃だったといいます。銅という素材を通して、知らず知らずのうちに何かを伝え続けてきた自社の本質に思い至り、経営の軸を明確にしたことで、会社は内側から大きく変わっていったのです。
◆変化と継承が企業成長の糧となった
15歳で職人の道に入った田中さんは、自らを「本当の親不孝者」と振り返ります。大検を経て大学に進学し、美術や工芸を学ぼうとするものの、いずれも中退。創業の地に戻った田中さんは、大学の学費を工房づくりに充てたいと祖父に頼み、銅を打つ環境を整えます。しかし、伝統的な製法をめぐって衝突し、ついには会社を飛び出し、別事業を立ち上げることになりました。
「銅だけやっていればいい。それがタゼンの本質だと思っていた」と語る田中さんですが、転機は震災後の私生活に訪れます。結婚と子育てを経験し、育児に没頭するなかで、生活を支えているのが風呂やキッチン、トイレといった住宅設備であることに気づきました。そのときに初めて「うちの仕事はすごい」と実感したといいます。
銅という伝統を守るだけでなく、時代とともに進化し、暮らしに不可欠な部分を支える事業へと広がってきた会社の姿。その価値を理解した田中さんは、頭を下げて家業に戻り、住宅設備事業を軸に据える決意を固めました。田中さんは「これに気づかなければいけなかったんだと、子どもたちから教えてもらったようなものでした」と話します。
副社長時代には、求人や社内体質の改革にも着手しました。銅を軸にした体験事業や情報発信を進めると、行政からの支援も得られ、ホームページ刷新や商品開発が実現。仙台名物・セリ鍋用の銅鍋づくりも注目を集めました。歴史として眠っていた銅の価値を表に出したことで、人や地域との新たなつながりが生まれたのです。「古い体質の改善のところで“これは喜んでもらえることなのかな”と気づくきっかけにもなりました。そこから徐々に人が増えていって、新しい価値が生まれていきました」と田中さんは力を込めました。
田中さんはこれまでを振り返り、「銅に導かれた」と断言します。変化を恐れず、伝統を筋として通しながら新しい芽を育ててきた歩みは、タゼンが今も進化を続ける理由そのものと言えるでしょう。「新しいものを作っていくのも会社の大きな役割としてあると思うのですが、古いもの・あるべきものを含めて活かす価値観もきっと面白いんじゃないかなと思っております」と田中さんは締めくくりました。
「となりのカイシャに聞いてみた!supported byオリックスグループ」では、
番組公式Instagram
もスタートしています。
----------------------------------------------------
音声版「となりのカイシャに聞いてみた!」
----------------------------------------------------
<番組情報>
番組名:となりのカイシャに聞いてみた!supported by オリックスグループ
パーソナリティ:小堺翔太