作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。
5月31日(日)の放送は「村上RADIO~霧の中のジョニー~」をオンエア。今回は村上さんのレコードコレクションの中から「ジョニー」という名前がタイトルについた曲を集めてお届けしました。
英米では、男性にいちばん多い名前と言われる「ジョニー」。今回の特集では、多彩で個性的な“ジョニー”くんたちが登場。ロックの象徴としてのジョニー、内気なジョニー、死者の声を聴くジョニー……さまざまな「ジョニー」にまつわる音楽と、それぞれの物語をお楽しみください。
この記事では、後半1曲について語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
またことわざの話ですが、「過ぎたるは猶(なお)及ばざるがごとし」という言葉がありますね。「やり過ぎは、やりたりないのと同じくらいまずい」という意味ですが、僕のある知り合いはこれを「杉の樽(たる)は、オヨバのザルと同じくらい役に立つ」という意味だと主張していました。
「杉の樽はわかるけど、オヨバってなんだよ?」ということになるのですが、彼の説によると、オヨバというのは秋田県のある山の中の、深い渓谷の崖下にだけ育つ特別な植物で、竹の1種なんだけど、柔らかいけれど芯が強く、おまけに加工しやすいので、これを使うととても優れたザルができるんだそうです。だから杉の樽とオヨバのザルをそろえれば、台所はもう無敵であると。ほんとかなあ?
◆Bruce Springsteen「Johnny 99」
ここで今夜2度目のブルース・スプリングスティーンです。アルバム『ネブラスカ』から「ジョニー99」を聴いてください。
これは工場閉鎖で失業した労働者のジョニーが、やけを起こしてジンとワインのちゃんぽんで酔っ払い、拳銃を振り回して誤って人を殺してしまい、裁判で懲役合計99年という過酷な判決を下される歌です。
スプリングスティーンは一貫して、社会から落ちこぼれていく「持たざる人々」の悲劇と、それに対して権力が示す無情さを、音楽を通してプロテストします。彼がアルバム『ネブラスカ』を、悩みながら、さまざまなプレッシャーに耐えて制作する過程を描いた映画「孤独のハイウェイ」、地味だけど見応えありましたね。
「ジョニー99」です。
*
この番組は、基本的にリクエストは受け付けておりません。僕がうちにある音盤から選曲して、抱え持って半蔵門のスタジオにやってきます。アナログとCD、総合するとだいたい半々くらいですかね。僕はオールドタイマーなので、インターネットで音楽を聴くという習慣はありません。音源が目に見える形になっていないと、どうも落ち着かないから。正直、コンピュータと音楽は絡ませたくないですね。友情とセックスを絡ませないように……。
というわけでリクエストはとっておりませんが、メールは大いに歓迎します。番組に対するみなさんのご意見を聞かせてください。もし僕になにか質問があったら、遠慮なく質問してください。答えられるものであれば、音楽の合間にできるだけお答えするようにします。
この番組、毎月じゃなくて毎週やってくれというご意見がよくあるんですが、それをやっちゃうと僕の本職のほうに差し支えが出てくるので、すみませんが、よろしくご理解ください。
----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:村上RADIO~霧の中のジョニー~
放送日時:5月31日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/