TOKYO FMの音声サービス「AuDee(オーディー)」で配信中の、放送作家でラジオパーソナリティの植竹公和が、彼のレーダーにかかった文化人を招いて送るスペシャルトーク番組「歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ」。今回のお客様は、JR東海のCM「クリスマス・エクスプレス」シリーズなどで知られるCMディレクターの早川和良さん。伝説のCM制作の裏話について語ってくれました。
▶▶「植竹公和のアカシック・ラジオ」」音声版
(左から)パーソナリティの植竹公和、早川和良さん
◆「クリスマス・イブ」はシングルカット曲ではなかった!
植竹:「クリスマス・イブ」は1983年に(アルバム)『MELODIES』のなかの最後の楽曲として収録されていました。実は(アルバムは)6月8日にリリースされているので冬場じゃないんです。私は「なんていい曲だ、なんでシングルカットしないのかな」なんて思っていました。
ところが5年後の88年に拾う神がちゃんとおりました。きっかけとなったのが本日ゲストの早川和良さんが演出なさった、みなさんご存じのJR東海のテレビCM「クリスマス・エクスプレス」。「クリスマス・イブ」がCMソングとして起用されました。最初からこの曲が候補になっていたんですか?
早川:最初はいわゆるクリスマスのスタンダードナンバー「ホワイト・クリスマス」とか。それこそ「ジングル・ベル」のようなものがいいな、ということが当初は計画されていたんです。私はCMで言うと演出コンテを作る段階で、音楽は達郎さんの「クリスマス・イブ」があるじゃないかと、それで推してみようと。
植竹:演出コンテというのはなんですか?
早川:まずゴールのイメージをザックリと作った、クライアントにプレゼンする企画コンテがあるんです。それをもとに今度はどういう風にそれを実現していくか、ということを作るために演出家が描くコンテがあります。
植竹:なるほど。
早川:そのときに私が達郎さんの「クリスマス・イブ」をプレゼンして「音楽は絶対にこれじゃなきゃダメです!」って演出コンテに書いたんです。
◆聴いた瞬間にGOサイン!
植竹:いまでこそ超有名な曲ですけど、アルバムのなかの1曲だから「どうなの?」というような雰囲気は周りにはなかったんですか?
早川:あんなに素晴らしい曲が当時は本当に知られていなくて。それを聴かせたところ「こんな曲があったんだ!」と、みんなが聴いた瞬間に「これでいきましょう!」という流れになりました。
植竹:早川さんはもともと達郎さんのファンだったんですか?
早川:そうです。同時期に私がこの業界に入ったころ、達郎さんはCMの音楽もやっていました。そういう意味では達郎さんというのは同世代のアーティストということで、すごく気にはなっていました。それとまったく新しいタイプの人だなと思っていましたね。
植竹:それまで直接面識はなかった?
早川:ないです。
植竹:達郎さんにオファーして、向こうのリアクションはどんな感じでした?
早川:すでにある楽曲ですから「この曲を使いたい」ということで、CMの内容も向こうに検討していただいた結果「やりましょう」と。
植竹:あのコンテを見たらすぐに「これは引き受けたいな」と思うでしょうね。
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「植竹公和のアカシック・ラジオ」音声版
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<番組概要>
番組名:歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ
AuDee、Spotifyで配信中
配信日時:隔週金曜10:00〜
パーソナリティ:植竹公和