「上質な音楽を、じっくり味わう。」をテーマにTOKYO FMで放送中の生ワイド番組『THE TRAD』(毎週月曜~木曜15:00~16:50/月・火:稲垣吾郎、吉田明世 水・木:ハマ・オカモト[OKAMOTO‘S]、中川絵美里)。パーソナリティが各音楽ジャンルに秀でたマイスターたちとともに、本質的で流行に左右されない、上質な音楽と趣味の話題をお届けする音楽番組です。
6月22日(水)のTOKYO FMは、山下達郎さんのニューアルバム『SOFTLY』リリースを記念したワンデースペシャルということで、朝の6時から21時までトータル15時間“新旧全曲から厳選してお届け! 山下達郎ソング”をオンエア。この日の『THE TRAD』では「私と達郎さん!」をテーマに、リスナーから募った山下達郎さんにまつわるエピソードメールを発表していきました。
さらに番組内では、山下さんとハマ・オカモトの音楽対談が実現! ニューアルバムのレコーディング秘話やミュージシャン同士ならではのマニアックな話題、ライブに向けた意気込みなどを、前編・後編にわけてたっぷりオンエアしました。ここでは前編の模様をお届けします。
山下達郎さん
◆ハマにとって、山下達郎は命の恩人!?
ハマ:達郎さんにお礼を言わなければいけないことがあって。2年ほど前に達郎さんの「山下達郎 Special Acoustic Live展」という展覧会の取材を受けたことがありまして、ご丁寧に達郎さんから直接お礼のメールをいただきました。あれについてなんですけれど、そのメールを受け取ったときに家で料理をしていまして、うっかり包丁を足に落としてしまったんですよ。
山下:へぇ!
ハマ:僕はスポーツをやったことはないんですけれど、条件反射で落ちていく包丁をリフティングのように足で拾いにいってしまったんです。そうしたら包丁が足の甲に当たって出血してしまって。もともと貧血持ちなんですけれど、それを見て貧血になって、多分1分弱くらいキッチンで気絶してしまいまして。
気絶している中で、お尻のポケットに入れていた携帯電話がメール着信で震えて(意識が)戻ったんですけど、そのメールが達郎さんからのお礼のメールでした。達郎さんの音楽にミュージシャンとして助けられているんですけれど、そのときは命までも助けてもらって(笑)。
山下:すごい。
ハマ:あれがなかったら、もしかしたら戻ってこられなかったかも……みたいな。
山下:そのときは1人だったんだ。何を作っていたの?
ハマ:明太子スパゲッティを……(笑)。大葉を切ろうとしていたら包丁を落としまして。全然後遺症とかもなく無事に治ったんですけどね。
山下:骨には当たらなかったんだね。
ハマ:当たってなかったんです。達郎さんからのご連絡だから、早く返事を返さなきゃと思いつつ、状況としてはなかなかのものだったので……これはいつか直接お礼をしなきゃと。まさしく命の恩人ですから。
◆最近買ったレコードは?
ハマ:常に音楽を聴いたりレコードを買ったりされているかと思いますけれど、最近、レコードはどんなものを買いました?
山下:欲しいものはもう決まっているので、ことあるごとにウォントリストを出して、(在庫の有無が)返ってきたりしていて。クラシックとかの新譜はメーリングリストで来るので、それで(都度買います)。オールディーズものは、だいたいのものは家にあるので。レアなものをちょこちょこ、アメリカやイギリスのディーラーから買っているという感じです。
ハマ:ウォントリスト(に追加するの)は、人なんですかね?
山下:作曲家やプロデューサーですね。ソングライターオタクなので、例えばバリー・マンならバリー・マンの楽曲を探しては買うという。だけどあくまでもカバーではない、一番初出に近いもの(を買う)。
だけど(自分が)作家の時代は、昔はオリジナル・バージョンっていうのがなくてね。出版社が売り込むので、どっちが先に出したかの違いしかないので、そういう違いはあるんですけれど、なるべく初出に近いもの。
ハマ:クレジットで書かれているものもあるじゃないですか。例えば年号とか。細かいと、たまに日付のスタンプが押してあったりもしますけれど、それでも分からない場合もあるじゃないですか。そういうときは調べられるんですか?
山下:そうですね。昔、そういうシングルのデータベースみたいなのを作った人がいて、そういうデータは持っています。それがなかったらできるだけ照合して。あとはBMIとかASCAP(のようなデータベース)を一個一個潰していくしかない。
ハマ:そういうのを作った先人がいるんですね。
山下:そうですね。何種類かあって、BMIのリストを見て、タイトルを見て、当てずっぽうで買ってみて「当たり!」みたいな。
ハマ:ご自身でレコード屋さんに行くことは?
山下:ほとんどないです。ネットで済んじゃう。基本的に中古屋に行っても(扱っているのは)洋盤だから。行くレコード屋は、全部日本盤を扱っているレコード屋。昔のアイドル歌謡とかを売っているところ。
ハマ:そうか、じゃあ探し方が、お探しになっているものによって全然違いますね。
山下:先週買ったんですけど、ウェスト・ウィングというバリー・ホワイトがプロデュースしていた……。
ハマ:コーラスグループですか?
山下:だと思います。プロフィールを見たんですけど、忘れました(笑)。彼のボックスものに入っていたんですけれど、オリジナル・シングルが欲しかったんです。ショートバージョンとロングバージョンがあるんですけれど、ショートのシングルバージョンのものがあったので買いました。
◆リバーブ感が増した理由
ハマ:今回の作品はバンドの音はもちろん、プログラミングであるとかシンセサイザーの音とか、ある意味多様というか聴こえる音が増えてきていると思いました。達郎さんの前で言うのもお恥ずかしいんですけれど、本当に音がよくてびっくりしました。
山下:ここ10年間のシングルは全部リミックスしてやり直しているんですけど、歌とか生楽器の音はいじっていないんです。シンセサイザーとかドラムセットは、もともとプリセットがあるから、音は完全に同じものだし、その当時のデータも残っています。要するに全部録音し直すと、オーディオスペックが上がるので空間構成とかもきれいになるんです。あとはリバーブも改善できる。
ハマ:そう、リバーブ感がすごい! 「SHINING FROM THE INSIDE」も、おっしゃっていた空間構成とかもすごいなって。「何をどうしたんだろう?」って。
山下:単純にオーディオの性能が上がったんです(笑)。プロ・ツールスの性能が上がったんですよ。
ハマ:へぇ~!
山下:そういうことができるようになったんです。あとはそれに合わせて、全世界の人がいろんなことを考えてさまざまなプラグインを開発して、それをうちのオタクなオペレーターが(取り入れた)。本当に大好きなんですよね、1日中ケーブルをいじっている。
ハマ:あはは(笑)! 達郎さんはリバーブを試すときは、どうやって試すんですか? 何か楽曲とかを録った音をかけて比較するんですか?(かけるのは)ご自身の曲とかですか?
山下:うん。変な話、ラージスピーカーで自分の曲をかけて、エド・シーランをかけて「負けないようにしよう」とか、マイケル・ジャクソンの『Off The Wall』をかけて「どうなのか?」っていう比較はします。
ハマ:リファレンス的な。それはお好きな曲と聴き比べて?
山下:そうですね、自分の音と聴き比べて。今のヒットチャートと昔のヒットチャートとかを聴き比べます。今の自分のやっているものが、どれくらいの音像かっていうのを見極めていく。それは昔からやっていますけれどね。
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<番組概要>
番組名:THE TRAD
放送日時:月~木 15:00~16:50
パーソナリティ:月・火:稲垣吾郎、吉田明世 水・木:ハマ・オカモト[OKAMOTO‘S]、中川絵美里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/trad/