住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Blue Ocean」。3月23日(木)放送の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんが登場。「食物アレルギー」について解説しました。
(左から)森田豊さん、住吉美紀
森田さんは東京大学大学院医学系研究科を修了後、米国ハーバード大学で専任講師として活動。現在は医師として医療現場に従事するかたわら、医療にまつわるさまざまな問題にメディアや講演などを通じて取り組んでいます。
◆“食物アレルギー”を解説
アレルギーとは、体に入ってきた異物をやっつける仕組みである“免疫”が、働きすぎたり異常を起こしたりして生じる反応です。アレルギーを引き起こす物質は「アレルゲン」と呼ばれ、多くの人にとってはそれほど害にならないような物質ですが、特定の人に対しては、アレルギーを起こす原因になることがあります。
主に乳幼児に起こりやすい食物アレルギーですが、成長とともに症状が緩和されるケースも少なくありません。しかし、一部の人は大人になってもアレルギーが残ったり、大人になってから発症する場合もあると森田さん。また、アレルギーの原因となる食べ物は、下記のように年齢によって発症者が増える傾向があります。
<アレルギーが出やすい時期と食べ物>
乳幼児期:鶏卵、乳製品、小麦
幼児期:木の実類、魚卵、落花生
小学生以上:果物類、甲殻類(エビ、カニなど)
ただ、森田さんいわく、鶏卵、牛乳、小麦、大豆などは、子どもの頃にアレルギーが出たとしても、3歳頃までに約50%、6歳頃までに約70%が自然に食べられるようになるそう。しかし、それ以外の食物アレルギーは改善が難しく、「一度発症すると、生涯にわたって食べるのを避ける必要が出てくるのが現状だと思います」と言います。
◆“食物アレルギー”の調べ方
食物アレルギーの多くは、原因となる食品を摂取してから数分~数時間で皮膚に症状が現れます。重篤な症状だと、「下痢が起きたり、喘鳴(ぜんめい)と言って(呼吸をするときに)ゼエゼエという音がするなど、全身に症状が現れます。これをアナフィラキシーと言います。さらに重篤なアナフィラキシーショックになると、意識障害や血圧低下などが起こり、死亡することもありますので、すぐに救急車を呼んで処置が必要です」と語ります。
ここで住吉が「食物アレルギーの診断は、どのようにおこなわれるのですか?」と伺うと、「何よりも問診が大事」と森田さん。“何を食べたか?”“どんな症状が出たか?”“食べてからどれだけ経ってから発症したか?”などと詳細を聞くことによって、疑わしいアレルギーを特定しやすくなります。
また、場合によっては医療設備の整った場所で実際に食べ物を食べて症状を確認する「食物経口負荷試験」をおこなうケースもあるそうですが、「こちらは医療機関でおこなうことなので、(自己判断で)勝手にやってはいけません」と注意を促します。
ちなみに、血液検査でアレルギーの陽性反応が出ることもありますが、「陽性だからといって“食べちゃダメ”というわけではない」と言う森田さんに、「え!? そうなんですね!?」と驚く住吉。
というのも、血液検査の診断は“将来、アレルギーが発症するリスクがある食べ物”があった場合に陽性反応が出るとのことで、「あくまで補助的な診断なので、その結果をどう受け止めるのかなどを医師に相談したほうが良いです。そして、もし(陽性反応が出た)食べ物を食べて何か反応が出たら、そのときはちゃんと医者に報告しましょう」と補足します。
◆乳幼児の食事で気を付けるポイント
食物アレルギーの予防法は、原因となる食品を取り除き、発症を防ぐことが基本です。ただし、アレルギーの発症は人それぞれで異なるため、調理法、摂取量などの把握が大切です。また、専門医師の管理のもと、原因となる食品を段階的に増やしながら食べていき、最終的にその食べ物に慣れて治していく“経口免疫療法”と呼ばれる治療法もありますが、量を増やす過程でアレルギー症状が出る可能性もあるため、医師の管理の下でおこなう必要があります。
乳幼児や子どものための食物アレルギーに対する対策としては、「離乳食を遅らせないこと」「食物除去をしすぎないこと」を挙げます。以前は“アレルギーを起こしやすい食べ物は、乳幼児から避けるとよい”と言われていましたが、最近の研究では、離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防につながらないことが明らかになっており、「むしろ、『早めにさまざまな食品を食べさせたほうがアレルギーになりにくい』という報告もあります。
また、血液検査で食物アレルギーを調べる方法もありますが、“陽性だから食べちゃダメ”ということではないので、食物除去をしすぎないことも大事だと思います」と解説します。
◆運動後に症状が出るアレルギーがある!?
次に“意外と知らないアレルギーの話”として、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを取り上げます。これは、原因となる食べ物を食べて2~4時間以内に一定の運動をしたときにアレルギー症状が出てくるというもので、運動量が増加する小学校高学年から成人に多く出る、という特徴があります。ちなみに、このアレルギーが発症する原因は、6割が小麦、3割が甲殻類で、ほかにも果物などでの発症も報告されています。疑わしい食べ物は、運動する前に食べない、そして、もし食べたら運動しないように心がけることが重要です。
最後に森田さんは、食物アレルギーを持つ家族がいる場合は“防災”の観点でも注意が必要と言います。災害時、避難所などで配布される食糧は種類が限られており、そのなかに発症する(原因となる)食べ物が入っていると食べることができないため、「災害時に備えて、食べられる物を自分である程度は用意したほうがいいと思います」と話していました。
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聴取期限 2023年3月31日(金)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/bo/
特設サイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/bopro/